文献情報
文献番号
200734009A
報告書区分
総括
研究課題名
食肉における家畜・家禽のウイルス疾病に関する研究
課題番号
H17-食品-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
棚林 清(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
- 岡崎克則(北海道医療大学薬学部)
- 池田秀利(動物衛生研究所人獣感染症研究チーム)
- 伊藤壽啓(鳥取大学農学部)
- 杉山 誠(岐阜大学応用生物科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
食用に供される家畜・家禽などのウイルス性疾病について食肉・食鳥衛生検査所等でも実施可能なウイルス学的検査法の開発や改良してきた方法について検証を行うとともに野生動物を含め食用と供される動物における人に感染する可能性のあるウイルスの感染状況調査を継続する。
研究方法
ウイルス学的検査の一つであるPCR検査行程でこれまでに設定した条件で野外材料のブタサーコウイルス2型およびE型肝炎ウイルスでの検出を行った。また、多種類病原体を検出するマイクロアレイを試作し、各種病原体ゲノムとの反応性を検討した。鳥インフルエンザ検査について人用迅速診断キット及び鳥用キットについて検出感度を比較検討した。さらに開発したRT-LAMP法で鶏肉乳剤中ウイルスの検出感度および実験感染鶏の各種臓器からの検出を試みた。健康牛の糞便からのA群ロタウイルスゲノムの検出と解析や捕獲エゾシカにおけるE型肝炎ウイルスの血清疫学調査を継続実施した。
結果と考察
設定したPCR検査条件でイノシシ肝臓のブタサーコウイルス2型およびE型肝炎ウイルスがそれぞれ4/108頭、7/108頭検出され他の方法と同等であり設定条件はほぼ妥当だった。試作病原体検出マイクロアレイでインフルエンザウイルスや病原細菌のゲノム核酸の検出ができ、実際の検体での検証や改良などが必要と考えられた。人用および開発中のH5亜型インフルエンザウイルス検出キットの鶏肉乳剤での感度はウイルス分離法に比べ低く、迅速簡易ではあるが使用にあたっては感度を考慮する必要がある。本研究で設計した鳥インフルエンザウイルスM遺伝子検出RT-LAMP法の感度はRT-PCR法と同等であり、感染鶏各臓器のすべてで検出でき有用であることが示された。健康牛糞便からロタウイルスVP4遺伝子が2146例中44例で検出され遺伝子型はP[5]、P[11]、P[14]と考えられた。昨年度に続き北海道日高地方のエゾシカで抗HEV抗体を保有することが示されブタの関与が強く示唆された。
結論
PCR検査法における市販機器やキットを用いた検体の乳剤化、核酸抽出、PCR反応条件が設定でき今後の食肉・食鳥検査所等での実施に有用な基礎的技術資料となる。また、開発した病原体検出マイクロアレイは多種病原体を一括して同定検出できる可能性が示された。鳥インフルエンザ検査においての簡易迅速キットは有用であるが改良が望まれる。また開発したRT-LAMP法の有用性が示された。食肉に供される健康牛でロタウイルスが、エゾシカでE型肝炎ウイルスの感染が起きていることがわかった。
公開日・更新日
公開日
2008-04-04
更新日
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