畜水産食品の微生物等の試験方法に関する研究

文献情報

文献番号
200734008A
報告書区分
総括
研究課題名
畜水産食品の微生物等の試験方法に関する研究
課題番号
H17-食品-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
宮原 美知子(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究分担者(所属機関)
  • 五十君 靜信(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
  • 荒川 英二(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 河野 潤一(神戸大学 農学部)
  • 甲斐 明美(東京都健康安全研究センター 微生物部)
  • 田口 真澄(大阪府立公衆衛生研究所 感染症部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
サルモネラ、黄色ブドウ球菌と腸炎ビブリオについて、食品中これら微生物の試験法を検討してきた。科学的根拠のある、多くの方の賛同が得られる検査法を提案するために、食品からの微生物検査標準法検討委員会を立ち上げ、できる限りその方針に沿った検討の仕方を行ってきた。検討委員会も公開し、その決定事項についてもホームページ上に載せ、学会等でも公開を行ってきた。今年度は最終年度でもあり、最初の目標を達成するように努力を行った。
研究方法
サルモネラは6機関での一斉検査を行って少数菌サルモネラ接種でも検出できることを確認した。その結果を受けて、14機関での低菌数と高菌数の2段階の接種、硫化水素産生サルモネラと硫化水素非産生サルモネラを使用してのコラボ研究を行った。黄色ブドウ球菌に関しては、卵黄加マンニット食塩培地とBPの比較検討を行い、両培地を比較するコラボ実験を検討することになった。予備試験が行われ、コラボ研究に向けて条件検討された。腸炎ビブリオでは今までの検討結果より、アルカリペプトン水に食塩濃度の検討を行った。腸炎ビブリオ判定の時間節約を考えると、培養後のPCR判定が妥当であると考えられた。そこで、腸炎ビブリオ特定のために考えられているPCRプライマーの中で、腸炎ビブリオ特異性を持ったプライマーを設定し、特異性について検討を行った。
結果と考察
サルモネラはコラボ研究によって、提案試験法が少数菌であっても硫化水素産生の有無にも関わりなく検出できることが確認された。黄色ブドウ球菌は条件検討により、コラボ用のプロトコールが設定された。また、菌数測定の2方法についてコラボが行われることになった。腸炎ビブリオは増菌培地により一緒に増菌されるビブリオ属に妨害されないプライマーの設定が行われた。特異性が作業班で確認され、接種実験でも良好に使用できた。
結論
検討したサルモネラ試験法はコラボでも確認されたことから、食品のサルモネラ試験法として、標準法として提案する。黄色ブドウ球菌はコラボの結果を待って、試験法として確立できることになると考えている。腸炎ビブリオは試験法の詳細検討は終了し、腸炎ビブリオ判定時間のための検討は適用法の検討中であるので、この部分についてはもう少し検討をしていきたい。

公開日・更新日

公開日
2008-04-09
更新日
-

文献情報

文献番号
200734008B
報告書区分
総合
研究課題名
畜水産食品の微生物等の試験方法に関する研究
課題番号
H17-食品-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
宮原 美知子(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究分担者(所属機関)
  • 五十君 靜信(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
  • 荒川 英二(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 河野 潤一(神戸大学 農学部)
  • 甲斐 明美(東京都健康安全研究センター)
  • 田口 真澄(大阪府公衆衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
サルモネラ、黄色ブドウ球菌と腸炎ビブリオについて、食品中これら微生物の試験法を検討してきた。科学的根拠のある、多くの方の賛同が得られる検査法を提案するために、食品からの微生物検査標準法検討委員会を立ち上げ、できる限りその方針に沿った検討の仕方を行ってきた。検討委員会も公開し、その決定事項についてもホームページ上に載せ、学会等でも公開を行ってきた。腸炎ビブリオについては判定時間短縮化も要望され、検討を行う。
研究方法
3つの試験法を策定する菌についての現在での国内外の試験法を検討し、各作業班での比較検討、実験を行って試験法を提案する。検討委員会の討議により、変更点または検討すべきことについて実験等を行い結果を出す。作業班内での確認実験を行った後に、10カ所を越えるような多くの機関でのコラボ実験を行って、試験法を確立する。すべての段階で検討委員会は開催され、その検討内容と結果についての確認が行われた。その意見は反映されるとともにWEB上に公開され、意見が集められた。
結果と考察
サルモネラ試験法についてはコラボ実験でも少数サルモネラでも検出できる方法であることが確かめられた。黄色ブドウ球菌については、直接塗抹あるいは増菌培養を行うMPNでの菌数計算法の2通りが菌数計算試験法が提案された。腸炎ビブリオは現在の試験法の詳細検討を行い、条件の修正を行い適正化した。さらに、判定時間短縮化のためのPCR診断について検討した。腸炎ビブリオに特異性の高いプライマーが設定され、検討された。新プライマーでの判定が培養での結果と一致した。判定までの日数が大幅に短縮化されると思われる。
結論
提案サルモネラ試験法は完成した。広範囲の食品に対して適用可能であることが実験で確かめられたことから、食品のサルモネラ試験法として標準法としての提案を行う。黄色ブドウ球菌はコラボが済んでいないが、今後早急にコラボを行い、試験法の確定が望まれる。腸炎ビブリオは基本的な試験条件の詳細検討は行った。これらを試験法に取り入れてもらうとともに、実際の役に立つ食品試験法としてのPCR試験を取り入れられるようにもう少し検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-09
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200734008C

成果

専門的・学術的観点からの成果
食品に対するサルモネラ試験法を確立した。科学的根拠が少ないままに使われてきた方法等にコラボ実験を行い、検出感度の立証も行った。少数菌も、硫化水素産生性に関わらず検出できる試験法である。黄色ブドウ球菌は分離検出培地を含めたコラボ研究が比較検討される。腸炎ビブリオ試験法は現行の試験法を整備し、より判定しやすい方法へ修正を行った。また、生鮮魚介類の成分規格を短時間で判定する方法をPCRに求め、腸炎ビブリオ検出に特性の高いプライマーを作製し、その検証を行った。今後、その使用法をさらに検討したい。
臨床的観点からの成果
この研究は臨床には関わらない。
ガイドライン等の開発
ガイドラインに提案予定であるが、現在の所は審議されていない。
その他行政的観点からの成果
サルモネラに関しては、H5年食肉製品に関する試験法を改訂することになり、損傷菌に対応した、有害化学物質を発生させない検査法として、また、液卵検査も充分であることから、食品全体のサルモネラ試験法として通知されるように働きかけたい。サルモネラ検査法の効率化が進む。黄色ブドウ球菌の検査法も現在直接塗抹だけの方法であるが、損傷菌に対応していないことが考えられ、今回の提案の増菌を伴う菌数測定法を採り入れ検出力があがる。腸炎ビブリオはもう少し検討されれば、適正な試験による、判定迅速化に貢献できる。
その他のインパクト
日本食品微生物学会H19年の学会でこの研究班のテーマが取り上げられた。主任研究者と分担研究者の二人がシンポジウムで講演を行った。学会誌にもシンポジウムの内容が掲載される。試験法作製のための新しいやり方として月刊フードケミカルにもとりあげられ紹介された。

発表件数

原著論文(和文)
6件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
7件
その他論文(英文等)
10件
学会発表(国内学会)
14件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
中 峰松、清水 晃、河野潤一 、他
市販ミンチ肉における黄色ブドウ球菌汚染調査と分離株の性状
日食微誌 , 23 (4) , 217-222  (2006)
原著論文2
清水 晃、河野潤一、五十君靜信、他
綿棒を用いた拭き取り増菌培養法による市販豚および牛スライス肉における黄色ブドウ球菌汚染調査と分離株の性状
日食微誌 , 23 (4) , 242-246  (2006)
原著論文3
尾畑浩魅、下島優香子、甲斐明美、他
腸炎ビブリオ食中毒事例におけるPCR法を用いた食品からの耐熱性溶血毒(TDH)産生菌の分離
感染症学雑誌 , 80 (4) , 383-390  (2006)
原著論文4
宮原美知子、田口真澄、塚本定三、他
食品からのサルモネラ新検出法の検討と鶏挽肉および未殺菌液卵でのサルモネラ検出
防菌防黴誌  (2008)
原著論文5
宮原美知子、荒川英二
食品からの腸炎ビブリオ迅速検出法の検討
防菌防黴誌  (2008)
原著論文6
Masashi Kanki, Masumi Taguchi, Michiko Miyahara et al.
Performance of PCR-based detection of Salmonella enterica in poultry meat at the broth pre-enrichment step.
J. Food Protect.  (2008)
原著論文7
藤尾公輔、清水 晃、河野潤一、他
市販食肉、健康人、豚および鶏から分離された黄色ブドウ球菌の薬剤耐性
日食微誌 , 24 (2) , 100-106  (2007)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-