医師の専門性を考慮した勤務実態を踏まえた需給等に関する研究

文献情報

文献番号
202001005A
報告書区分
総括
研究課題名
医師の専門性を考慮した勤務実態を踏まえた需給等に関する研究
課題番号
19AA2002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
小池 創一(自治医科大学 地域医療学センター地域医療政策部門)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 晋哉(産業医科大学 公衆衛生学教室)
  • 松本 正俊(広島大学大学院 医歯薬保健学研究科)
  • 今中 雄一(京都大学大学院 医学系研究科)
  • 康永 秀生(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 鈴木 達也(香川大学 創造工学部 建築・都市環境コース)
  • 谷川 武(順天堂大学大学院 医学系研究科)
  • 堀口 裕正(独立行政法人国立病院機構 本部 総合研究センター 診療情報分析部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
20,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、医師の専門性を考慮した勤務実態を踏まえた需給等をめぐる諸課題を明らかにするとともに必要となる対策を検討することにある。
研究方法
 3年計画の2年目となる令和2年度は、昨年度実施した医師の勤務実態調査の詳細な分析を通じた医師の勤務実態の把握・分析、長時間労働の医師の健康確保措置に関するマニュアルの作成、診療科別必要医師数の将来推計に向けた課題の整理、DPCデータの分析による集中治療室(ICU)病床の占有率に関する検討、集計単位の違いとアクセスの観点からみた必要医師数推計方法、診療情報集積基盤(NCDA)における医師診療実績の把握に関する研究を実施した。
結果と考察
 医師の勤務実態調査の詳細な分析を行ったところ、医師の副業が大学病院で多いこと、女性の離職が多いことなど、医師の兼業の実態が明らかとなった。また、医師の働き方改革に向けた解決策の一つとして、タスクシフトが求められるが、現場では必ずしもタスクシフトが進んでいない現状も明らかとなった。長時間労働の医師への健康確保措置に関するマニュアル作成委員会を設置し「長時間労働の医師への健康確保措置に関するマニュアル」を作成した。
 診療科別必要医師数の将来推計に向けた課題の整理の一環として、医療機関構成を補正した病院における内科・総合診療科、外科、小児科、産婦人科、救急、麻酔、臨床研修医、その他の8領域の勤務時間について把握し、年代別には大部分の診療科で20代が最も長くなっていること等を明らかとした。
 集中治療室(ICU)病床の占有率に関する分析では、日本のICU占有率は、全国の各日のICU占有率の平均値は60.0%であり、アメリカの97 ICUを含む先行研究で、ICU占有率は約70%、うち約30%が人工呼吸器管理を要する患者によって占められていたことに比較すると、非常に低い割合であったことを明らかにした。
 集計単位の違いとアクセスの観点からみた必要医師数推計方法に関する研究では、集計単位が詳細になるほど居住している地域と受療できる医療機関の立地する地域が異なるケースが多くなることが明らかになった。また、居住地ベースの患者数による推計に比べ、医療機関までのアクセスを考慮することで必要医師数は多くなり、集計単位が詳細になるほど必要医師数が多く推計されることを明らかにした。
 診療情報集積基盤(NCDA)における医師診療実績に関する研究では、昨年度から実施したデータベース作成方法では、いくつかのデータについて欠損になってしまう部分が出てくることが判明した点に対して、調査手法及びデータセット作成手法のさらなるブラッシュアップを実施し、システムとしての課題解決を行なった。新型コロナウィルスの流行の影響については、病院における患者数が令和元年度の上半期と令和2年度の上半期の比較で概ね80〜90%の新入院患者数で推移するなど、病院の診療活動の激変が見られたことを明らかにした。
結論
 本研究を通じ、医師の勤務実態の把握・分析、長時間労働の医師の健康確保措置に関するマニュアルの作成、診療科別必要医師数の将来推計に向けた課題の整理、集中治療室(ICU)病床の占有率に関する分析、集計単位の違いとアクセスの観点からみた必要医師数推計方法に関する研究、診療情報集積基盤(NCDA)における医師診療実績に関する研究を行うことができ、医師の専門性を考慮した勤務実態を踏まえた需給等を検討するために必要な新たな知見を得ることができたものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2021-11-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-11-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202001005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
27,040,000円
(2)補助金確定額
25,154,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,886,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,587,524円
人件費・謝金 6,723,606円
旅費 92,870円
その他 8,510,430円
間接経費 6,240,000円
合計 25,154,430円

備考

備考
物品の購入に不足金が生じ、自己資金で補充したため。

公開日・更新日

公開日
2022-05-31
更新日
-