医療安全推進に必須の組織文化(安全文化)の測定および簡便な有害事象把握手法の開発と活用

文献情報

文献番号
200732072A
報告書区分
総括
研究課題名
医療安全推進に必須の組織文化(安全文化)の測定および簡便な有害事象把握手法の開発と活用
課題番号
H19-医療-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
種田 憲一郎(国立保健医療科学院政策科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院政策科学部)
  • 平尾 智広(香川大学医学部医療管理学)
  • 長谷川 敏彦(日本医科大学医療管理学教室)
  • 長谷川 友紀(東邦大学医学部社会医学講座)
  • 池田 俊也(国際医療福祉大学大学院・医療経営管理)
  • 兼児 敏浩(三重大学医学部付属病院安全管理室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 医療安全の推進には安全文化の醸成が必須であるが、客観的かつ定量的に評価するツールはない。また対策の最終的な目標は患者への有害事象の発生の抑制であり、その発生頻度の有効な測定手法は診療録のレビューであるが、資源と経験を要するため個々の医療機関ではほとんど実施されていない。3ヵ年計画である本研究の今年度の目的は、医療安全活動の評価を、ソフト面(安全文化測定)とハード面(有害事象把握)から包括的に行う手法・簡便なツールの開発を行うことである。
研究方法
 (1) 既に米国で妥当性の証明されている安全文化測定ツール(質問票)を用いて、日本の病院における安全文化の測定を20箇所程度の病院で行い、調査内容および調査方法の妥当性を検討し、日本語版の測定ツールを開発する。(2) 分担研究者らが先に行った「医療事故の全国的発生頻度に関する研究」のノウハウを用いて、個々の施設で行える簡便なインシデントおよび有害事象把握手法の開発、有効性の評価を行う。
結果と考察
 安全文化測定ツールの開発では、過去のパイロット研究で開発した質問票の妥当性(face validity)および表現の不明瞭さを検討した。また、新たに和訳を行った調査票を含む2つの日本語の質問票を各々、再度英訳した(back translation)。これらを基に医療安全・言語学・翻訳学などの専門家グループによって質問票の改訂を行い、言語学的妥当性が改善された。改訂した質問票を用いた調査を18施設で実施し、現在、分析を進めている。
 簡便な有害事象把握手法の開発では、先行研究の精査を行い、内外の新知見を加えた、調査実施マニュアルと新スクリーニング基準の作成を行った。現在3施設を対象に試行を行っており、感度の検証中である。調査を終えた施設では、概ね感度は良好で、先行研究と比較しても遜色のない結果が得られた。またインシデントを含めて把握する「日本版スクリーニング基準」の有用性が示唆された。
結論
 本年度は、安全文化測定ツールの言語学的妥当性と調査の実施方法の検証を行った。さらに統計的な側面(因子分析など)から妥当性の検証を行う予定である。簡便な有害事象把握手法の開発では、現在実施中の試行を進めるとともに、継続的な有害事象モニター手法を開発する。2年目には、安全文化を醸成する効果的な研修の開発を行い、その研修の効果等を両評価手法にて検証する。最終年度には安全文化測定と有害事象把握の手法とその活用を提案する。

公開日・更新日

公開日
2008-04-08
更新日
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