医療・福祉分野の安全性向上を目指した電子タグ応用の包括的研究

文献情報

文献番号
200732049A
報告書区分
総括
研究課題名
医療・福祉分野の安全性向上を目指した電子タグ応用の包括的研究
課題番号
H18-医療-一般-025
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 克幸(秋田大学医学部附属病院医療情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 稲田 紘(兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科)
  • 武田 裕(大阪大学医学部附属病院医療情報部)
  • 保坂 良資(湘南工科大学工学部情報工学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療・福祉分野では各種の事故防止が急務であり,人間の注意力に頼るだけでなくIT活用による支援も求められている.そうした中,電子タグの活用はその技術的特性から安全管理上の有効性が大いに期待されるもので,本研究では①輸血・薬剤投与ミス防止のための電子カルテや医療機器との融合活用,②医療機器管理,③位置情報の管理,などの視点から包括的に電子タグの利用を研究・開発・評価を行うとともに,その課題抽出も行う.
研究方法
本年度の研究では①薬剤投与における患者取り違え防止を目的とした電子カルテシステムとの融合活用効果の定量的評価,②医療環境の安全性向上のためのユースケースの検討,③アクティブタグの医療機関内使用の検討,④医療福祉介護施設での電子タグ利用に際しての電磁波環境の課題抽出と方策の検討につき,検討を行なった.
結果と考察
電子タグの業務効率性への効果は定量的にも示され,特に新採用職員の習熟度の観点からはバーコードシステムよりも優位性が明らかで,ほとんど訓練期間が不要なまま,安定的に業務可能であった.また,医療機器管理への応用については単なる機器管理以外に,マニュアルの適切な参照まで統合したシステム構築が可能で,他に麻薬等重要薬剤を管理するための金庫への応用などのユースケースも示された.人の動態管理の観点からは,昨年度の研究成果も踏まえて本年度はアクティブ型電子タグの利用可能性についても検討を行ない,模擬環境での実験までを行なった.PLCなどの周囲電磁波環境については電子タグへの影響が懸念され,さらなる検証が必要と思われた.
結論
電子タグは医療・福祉・介護領域での幅広い利用が見込まれ,安全性向上への寄与が期待できる技術で,本研究を通じて,様々な効果や新たなユースケースが示されつつある.アクティブタグなど幅広い選択肢を視野にいれつつ,最終年度の次年度はこれら検討結果を通じた有効性の評価とユースケースの明確化,工学的な課題の明示を行い,包括的な研究成果を示す予定である.

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
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