重粒子線治療等新技術の医療応用に係る放射線防護のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200732009A
報告書区分
総括
研究課題名
重粒子線治療等新技術の医療応用に係る放射線防護のあり方に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
辻井 博彦(独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター)
研究分担者(所属機関)
  • 金井達明(独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター )
  • 上蓑義朋(理化学研究所仁科加速器研究センター)
  • 西澤かな枝(独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター )
  • 赤羽恵一(独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター )
  • 松藤成弘(独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
陽子線・重粒子線(以下重粒子線等という)を使用した放射線治療は、新しい治療技術として良好な治療成績を示しており、今後の普及が予想される。現状では重粒子線等の施設にかかる特別な規制はなく、通常の加速器施設と同様な安全管理がなされている。そこで、一般的な医療としての安全性確保のため、従来と異なる規制の必要性の検討を行う。
研究方法
本班研究内に設置した測定ワーキンググループにより、粒子線治療施設における防護の観点から、治療装置と患者の粒子線との核反応により発生する中性子線の線量分布を評価した。
海外の主な粒子線等施設のうち、ドイツ、インドの施設を訪問し、施設を見学すると共に管理担当者等から防護関連規制法令及び防護体制について詳細な説明を受け、実情を把握した。また、国内の粒子線施設にたいし、想定される水・空気の放射化の評価を行う等、安全管理に関する現情を調査・整理した。
結果と考察
国内外の粒子線及び陽子線治療施設の防護体制に関する情報をまとめ、防護の基本的考え方や他の共通点と、施設固有の管理体制を把握した。粒子線施設に対する規制は放射線障害防止法および、医学利用に関しては現在高エネルギー放射線発生装置に関する医療法施行規則が準用されているが、安全は充分確保されている。
治療中の治療室内の中性子線量分布は施設により違いがあるが、利用線錐に比べ充分低いと言える。
結論
粒子線治療施設における防護のあり方の検討のため国内外の安全管理の実態を調査し、現行の規制により安全は担保されていると結論された。しかし、医療法施行規則に関する届け出時の管理対象区域の設定など、国内施設の統一的な規制管理のためには、粒子線施設に関し、明文化が役立つと思われた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-09
更新日
-

文献情報

文献番号
200732009B
報告書区分
総合
研究課題名
重粒子線治療等新技術の医療応用に係る放射線防護のあり方に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
辻井 博彦(独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター)
研究分担者(所属機関)
  • 金井達明(独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター )
  • 上蓑義朋(理化学研究所仁科加速器研究センター)
  • 西澤かな枝(独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター )
  • 赤羽恵一(独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター )
  • 松藤成弘(独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
陽子線・重粒子線(以下重粒子線等という)を使用した放射線治療は、新しい治療技術として良好な治療成績を示しており、今後の普及が予想される。現状では重粒子線等の施設にかかる特別な規制はなく、通常の加速器施設と同様な安全管理がなされている。そこで、一般的な医療としての安全性確保のため、従来と異なる規制の必要性の検討を行う。
研究方法
重粒子線等治療では、医療従事者、患者家族などが被ばくする主な原因は、照射重粒子線等と、機器や患者を構成する原子核との核反応によって生成される誘導放射能が、照射終了後も残留することによる。この残留放射能の影響を評価するため、共通プロトコルを策定し、国内の4施設で測定を行った。また患者の被ばく評価のために、治療にともなって発生する中性子線の線量分布を測定した。さらに国内の粒子線施設にたいし、想定される水・空気の放射化の評価を行う等、安全管理に関する現情を調査・整理した。
海外の主な重粒子線等治療施設7施設を訪問し、管理担当者等から防護関連規制法令及び防護体制について詳細を聞き、実情を把握した。
結果と考察
残留放射能の測定結果から、最も被ばくする可能性の高い診療放射線技師と患者家族に対する線量の実質的な上限値、および環境への影響を評価した。これらの被ばくや影響は現行の規制基準を十分満足しており、安全は確保されていた。また患者の中性子被ばくは十分低いと考えられた。
国外7施設の粒子線及び陽子線治療施設の防護体制に関する情報をまとめ、共通する防護の基本的考え方と、施設固有の管理体制を把握した。重粒子線等に対する特別な規制は設けられておらず、高エネルギー医療電子加速器に対する規制が用いられていた。
結論
重粒子線等治療施設における防護のあり方に関し、諸外国の実態調査と国内施設の測定実験結果に基づき検討を行った。海外の施設では、通常の加速器施設と同じ規制による防護がなされていた。また、国内の重粒子線等治療施設において、治療装置及び患者の放射化について測定した結果、被ばくや環境への影響は現行の規制基準を満足していた。これらから、重粒子線等治療施設における防護は、既存の規制で対応できていると結論付けられた。

公開日・更新日

公開日
2008-07-16
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200732009C