重症多形滲出性紅斑に関する調査研究

文献情報

文献番号
200731056A
報告書区分
総括
研究課題名
重症多形滲出性紅斑に関する調査研究
課題番号
H19-難治-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 公二(愛媛大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 飯島 正文(昭和大学 医学部)
  • 池澤 善郎(横浜市立大学 大学院医学研究科)
  • 塩原 哲夫(杏林大学 医学部)
  • 森田 栄伸(島根大学 医学部)
  • 木下 茂(京都府立医科大学)
  • 中村 好一(自治医科大学)
  • 相原 雄幸(横浜市立大学附属市民総合医療センタ- 小児総合医療センター)
  • 玉井 克人(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 岸本 治郎(資生堂ライフサイエンスセンター 毛髪研究所)
  • 白方 裕司(愛媛大学 大学院医学系研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
42,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重症多形滲出性紅斑は全身の皮膚多形紅斑、皮膚粘膜移行部のびらん、発熱を主症状とする疾患で、表皮の壊死性変化をきたし、しばしば重篤な視力障害を残す。従って、早期診断と迅速な治療が必要であり、診断基準整備と治療法の確立が急務である。本研究は①疫学調査、②診断基準の制定、③重症度の分類と治療ガイドラインの作成、④発症に関与する遺伝子多型の解析、⑤皮膚・角膜再生医療の開発を主な研究目的とした。
研究方法
重症多形滲出性紅斑の疫学調査に関する一次アンケート調査を行い、DIHSの治療指針案を作成した。発症に関与する遺伝子多型の解析については患者群、対照群のサンプルを収集をし、HLA型についても検討した。患者血清中のsoluble FAS-L(sFAS-L)について解析した。培養角膜、培養皮膚の簡易迅速作製法の開発、毛包を有する培養皮膚の開発、骨髄由来幹細胞を用いた表皮、角膜の再生法の開発に関する基礎的データを収集した。
結果と考察
DIHS治療指針案を作成した。副腎皮質ステロイド剤の使用が必要であると考える。病態に関しては患者血清中sFAS-LはSJS/TENで特異的に上昇しているわけではなく、DIHSにおいても上昇しており、むしろ皮疹の範囲や重症度と相関していた。DIHSの再燃の特徴として高い発症年齢、高熱、末梢血白血球高値、重篤な肝障害、HHV-6以外のヘルペスウィルスの再活性化、合併症が多いことが明かとなった。HLA型に関する検討ではカルバマゼピンによるDIHSにはSJSで多くみられるB1502は検出されなかった。創傷刺激により骨髄由来間葉系幹細胞や骨髄由来表皮前駆細胞が損傷皮膚に動員され表皮再生に寄与していることが明らかとなった。また、損傷皮膚より放出される動員因子を同定単離することに成功した。毛包誘導能を有する毛乳頭細胞の最適な培養法と、自己血清を用いた低血清線維芽細胞培養法を確立した。
結論
本研究により重症多形滲出性紅斑の疫学調査を開始し、診断基準、治療指針がほぼ確立できた。ウィルスの再活性化、関与する遺伝子多型、血中サイトカインなど、病態が徐々に明らかとなりつつある。骨髄間葉系幹細胞を用いた表皮の再生医療法の可能性を明らかにし、損傷皮膚への間葉系幹細胞動員因子を同定した。培養皮膚を用いた再生医療においてはより実践的な課題である安全性について検討し、システム構築の基礎を築いた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
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