ライソゾーム病(ファブリ病含む)に関する調査研究

文献情報

文献番号
200731054A
報告書区分
総括
研究課題名
ライソゾーム病(ファブリ病含む)に関する調査研究
課題番号
H19-難治-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
衛藤 義勝(東京慈恵会医科大学小児科学講座・DNA医学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木義之(国際医療福祉大学大学院)
  • 芳野 信(久留米大学 医学部 小児科学)
  • 田中 あけみ(大阪市立大学大学院医学研究科 医学部 発達小児医学)
  • 島田 隆(日本医科大学 生化学分子生物学)
  • 酒井規夫(大阪大学大学院医学系研究科 医学部  小児発達医学)
  • 高橋 勉(秋田大学 医学部 小児科学)
  • 高柳正樹(千葉県こども病院 代謝科)
  • 大野 耕策(鳥取大学 医学部 脳神経小児科)
  • 辻 省次(東京大学大学院医学系研究科 医学部 神経内科学)
  • 難波 栄二(鳥取大学 生命機能研究支援センター)
  • 鈴木 康之(岐阜大学医学部 医学教育開発センター)
  • 桜庭 均(明治薬科大学 分析化学教室)
  • 北川 照男((財)東京都予防医学協会)
  • 桜川 宣男(北里大学医療衛生学部 再生医学寄附講座)
  • 奥山 虎之(国立成育医療センター 臨床検査部)
  • 坪井 一哉(名古屋セントラル病院 血液内科)
  • 松田純子(東海大学 未来科学技術共同研究センター)
  • 加藤俊一(東海大学 医学部 基盤診療学系再生医療科学)
  • 遠藤文夫(熊本大学大学院医学薬学研究部 小児科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
33,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の最終目的はLSD患者の予後、ADL、QOLの改善にあり、そのために臨床的な病像を明らかにし、さらに病態を詳細に解析することにより、今後の診断および治療法の開発に結び付けていく必要がある。このような視点でLSDに関するさまざまな観点からの研究が行われた。 
 
研究方法
 従来の柱であるI. 臨床像の把握、II. 病態の解析、III. 治療法の開発、の三つのテーマを中心にさまざまな新しい検討が加えられた。まずはI.ではファブリー病患者における健康関連QOLの調査、ハイリスクスクリーニング、ポンペ病、ムコ多糖症I型の新生児スクリーニング、ムコ多糖症の酵素補充症例の検討、自然歴とBMT効果の比較、聴覚異常で発見されたGM1ガングリオシドーシスの検討、ペルオキシゾーム病の病像、全国疫学調査が施行された。II.ではI-cell病の解析、GBAとパーキンソン病の関連、ニーマンピック病の解析、神経型ゴーシェ病モデルマウスの作成が行われ、更にIII.ではMPSII型の酵素補充とBMTの比較、MPSI型由来細胞に対する酵素効果、シャペロン療法、AAVやレンチウイルスを用いた遺伝子治療の基礎実験、キャリア細胞の開発、BMTの後方視的研究、が施行された。
結果と考察
 まず臨床病像の把握ではファブリー病、糖原病II型(Pompe病)、ムコ多糖症に加え、新たにペルオキシゾーム病の調査が加わった。スクリーニングやQOLに関して新たな知見が得られつつあり、今後の診療にあたって重要になるものと思われる。 病態解析ではニーマンピック病、ゴーシエ病(神経型モデルマウス、パーキンソン病との関連、骨粗すう症)、I-cell病に主に焦点が当てられた。 更に治療開発に関してはここ数年で保険承認された酵素補充療法に関連する研究が主にムコ多糖症(I,II型)についてなされ、更に骨髄移植の包括的な研究報告、AAV, lenti-virusを用いた遺伝子治療、ケミカルシャペロン療法といった基礎研究も進展が見られている。 今後もこれらの結果を総合的に活用し、ライソゾーム病の予後改善に向けて調査研究を発展的に続けていく方針である。
結論
 ライソゾーム疾患に苦しむ患者の方々の予後、QOLの改善を目指しさまざまな検討を行った。これまでの長い基礎研究の結果、ここ数年のいくつかのライソゾーム疾患の酵素治療薬の保険承認が実現し、未来に大きな展望が開けたように、今後も現在のわが国における臨床病像の把握、各疾患の病態解析、治療法の開発といった柱を中心に精力的、持続的、かつ総合的に研究を進めていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
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