黄斑変性カニクイザルを用いた補体活性抑制剤による加齢黄斑変性の予防・治療法の確立と情報収集解析システムの開発

文献情報

文献番号
200731047A
報告書区分
総括
研究課題名
黄斑変性カニクイザルを用いた補体活性抑制剤による加齢黄斑変性の予防・治療法の確立と情報収集解析システムの開発
課題番号
H18-難治-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
岩田 岳(独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター(感覚器センター))
研究分担者(所属機関)
  • 三宅 養三(愛知淑徳大学医療福祉学部)
  • 寺尾 恵治(医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター)
  • 吉川 泰弘(東京大学大学院農学生命科学研究科)
  • 溝田  淳(順天堂大学医学部浦安病院眼科)
  • 西村 俊秀(東京医科大学臨床プロテオームセンター)
  • 村上  晶(順天堂大学医学部眼科)
  • 安川  力(名古屋市立大学大学院医科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
52,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は加齢黄斑変性のリスク因子と発症機序の解明とそこから得られる基礎的情報をもとに早期診断及び予防・治療法を開発し、データベース化することを目的とする。患者の遺伝子多型解析、血漿プロテオーム解析による疾患バイオマーカーの探索、若年性カニクイザルを用いた補体抑制剤による予防法の開発を行う。
研究方法
日本人に多い滲出型加齢黄斑変性の疾患バイオマーカーの探索を目的に、患者DNAの遺伝子多型解析を行い、質量分析計による血漿プロテオーム解析を行った。さらに、霊長類医科学研究センターで発見された若年性黄斑変性カニクイザルを用いて、補体活性化を抑制することによって、ドルーゼンの生成を抑制し、疾患の予防につながるか検討を行った。
結果と考察
遺伝子多型解析の結果、複数の感受性遺伝子の発見に成功し、血漿バイオマーカーについても患者群で優位に検出される血漿蛋白を複数同定した。黄斑変性カニクイザルはヒト萎縮型加齢黄斑変性に類似していることが明らかになり、ドルーゼンが黄斑部に多数集積している個体については視機能の低下が観察された。今後原因遺伝子の発見による発症機序の解明が期待される。補体因子C3に対する補体抑制薬による薬効試験が開始され、1年間の効果を詳しく検証する。
結論
本研究によって、加齢黄斑変性の感受性遺伝子及び血漿バイオマーカーが発見された。また、世界で唯一の加齢黄斑変性カニクイザルを用いた補体抑制による薬効試験が開始された。本研究で収集された膨大なデータは予防法や治療法の条件検討を支援するための支援情報システムを構築中である。

公開日・更新日

公開日
2008-05-13
更新日
-