文献情報
文献番号
200731045A
報告書区分
総括
研究課題名
アミロイドーシスの画期的診断・治療法に関する研究
課題番号
H17-難治-一般-046
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
池田 修一(信州大学医学部内科学(脳神経内科、リウマチ・膠原病内科))
研究分担者(所属機関)
- 安東 由喜雄(熊本大学医学薬学研究部病態情報解析学講座)
- 石原 得博(山口大学医学系研究科情報解析医学系学域病理形態分野)
- 金子 清俊(東京医科大学医学部神経生理学講座)
- 樋口 京一(信州大学大学院医学系研究科加齢生物学分野)
- 松田 正之(信州大学医学部内科学講座)
- 祖父江 元(名古屋大学大学院医学系研究科神経内科)
- 中野 正明(新潟大学医学部保健学科臨床生体情報学講座)
- 山田 正仁(金沢大学大学院医学系研究科脳病態医学講座脳老化・神経病態学)
- 宇根 有美(麻布大学獣医学部病理学研究科)
- 松田 博史(埼玉医科大学国際医療センター核医学)
- 満屋 裕明(熊本大学大学院医学薬学研究部血液内科学)
- 亀谷 富由樹(東京都精神医学総合研究所分子神経生物)
- 山田 学(動物衛生研究所ウイルス病研究チーム)
- 松井 高峯(帯広畜産大学獣医学科病態獣医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
全身性アミロイドーシスの診断と治療法を画期的に前進させるため、以下の研究を行った。
研究方法
アミロイドにより特異的に結合する核種として99m Tc-aprotininを生成してアミロイドーシスのRI診断法を検討した。アミロイドーシスの伝播に関する研究の一環としてAAアミロイドーシスに罹患した高齢牛の腎臓からアミロイド細線維を分離・精製して、複数の炎症刺激を加えたマウスまたは飛節潰瘍を有するウサギに投与した。
アミロイドーシスの治療関してはALにおいてはBJP吸着療法の有用性を、関節リウマチに併発したAAではTNF-αを標的とした生物学的製剤の治療効果を検討した。わが国で認知度の低いアミロイドーシス関連疾患として、家族性地中海熱と老人性全身性アミロイドーシスの検索をアンケート調査で行った。
アミロイドーシスの治療関してはALにおいてはBJP吸着療法の有用性を、関節リウマチに併発したAAではTNF-αを標的とした生物学的製剤の治療効果を検討した。わが国で認知度の低いアミロイドーシス関連疾患として、家族性地中海熱と老人性全身性アミロイドーシスの検索をアンケート調査で行った。
結果と考察
高齢牛の腎臓から精製されたアミロイド細腺維の投与を受けた両動物にAAアミロイドーシスが高率に誘発された。また飼育チーターが高率に本疾患により死亡する機序として、罹患動物の糞便中へ排泄されるAAアミロイド細線維を他の個体が摂取する結果、その個体にAAアミロイドーシスが発生していることが考えられた。関節リウマチに併発したAAにおいてTNF-αが有効な患者では胃粘膜生検組織上のアミロイドが消退していくことが示された。FAP患者の若年発症群と高齢発症群の病態の差違が示され、高齢者では心障害が目立つことが特徴であった。また眼病変の進行抑制に網膜の光凝固が有効なことが報告された。アンケート調査で全国から得られた家族性地中海熱疑い例は60名であり、年齢分布では30歳以上の成人例が相対的に高いことが本邦の特徴であった。また老人性全身性アミロイドーシスが60歳代から発症していること、心不全症状に加えて手根管症候群、脳塞栓などの症状で発病する例があることがわかった。
結論
全身性アミロイドーシスにおいては薬物治療の進歩により、病態の明瞭な改善が示された。今後は認知度の低い全身性アミロイドーシスの診断・治療法の開発が必要である。
公開日・更新日
公開日
2008-04-08
更新日
-