文献情報
文献番号
200731042A
報告書区分
総括
研究課題名
新規腎障害分子USAG-1を標的とした腎不全回復療法の開発
課題番号
H17-難治-一般-043
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
柳田 素子(京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 北 徹(京都大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年、腎臓病に薬理量のBMP-7 (Bone Morphogenetic Protein-7)を投与すると腎障害が回復することが報告された。これは腎不全からの回復という点で画期的だが、他臓器における副作用が問題である。申請者は新規腎臓特異的BMPアンタゴニストであるUSAG-1を発見し、「USAG-1は腎臓においてBMP-7の腎障害修復作用を負に調節する因子であり、USAG-1を標的とした治療法には腎不全治療薬としての可能性がある」という仮説を立てた。本研究課題では、USAG-1を標的にした新しい腎不全治療薬の開発を目的とする。
研究方法
(1) USAG-1遺伝子改変マウスを用いた生体内の機能解析
USAG-1遺伝子欠損マウスおよび強発現マウスを作成し、腎障害におけるUSAG-1の役割を明らかにすることで前述の仮説を検証し、USAG-1を標的とした治療戦略の妥当性を検証する。
(2) USAG-1の発現制御機構の解明
USAG-1の発現抑制剤には腎障害治療薬としての可能性があることから、USAG-1の発現制御機構の解明は重要である。USAG-1/LacZノックインマウスを作成し、腎障害モデルにおける発現検討を行なうとともに、初代尿細管細胞を用いてUSAG-1発現制御機構を検証する。
(3) USAG-1中和抗体などUSAG-1を標的とした治療法の可能性を探る
USAG-1遺伝子欠損マウスおよび強発現マウスを作成し、腎障害におけるUSAG-1の役割を明らかにすることで前述の仮説を検証し、USAG-1を標的とした治療戦略の妥当性を検証する。
(2) USAG-1の発現制御機構の解明
USAG-1の発現抑制剤には腎障害治療薬としての可能性があることから、USAG-1の発現制御機構の解明は重要である。USAG-1/LacZノックインマウスを作成し、腎障害モデルにおける発現検討を行なうとともに、初代尿細管細胞を用いてUSAG-1発現制御機構を検証する。
(3) USAG-1中和抗体などUSAG-1を標的とした治療法の可能性を探る
結果と考察
申請者らはUSAG-1遺伝子欠損マウスが尿細管障害、糸球体障害に抵抗性であり、その腎障害抵抗性はBMP-7の中和抗体でキャンセルされることを明らかにした。以上の結果から、USAG-1がBMP-7の腎修復機能の中心的抑制因子と考えられ、USAG-1を標的とした治療戦略には腎不全治療薬としての可能性があるだけではなく、USAG-1の発現が腎臓特異的であるため、副作用が少ないとことが予想される。
USAG-1発現解析では、USAG-1が遠位曲尿細管でBMP-7と共存すること、その発現が腎予後と相関することを見いだした。さらに申請者らはUSAG-1の発現誘導因子および発現抑制因子を複数同定しており、USAG-1の発現抑制剤開発に結びつく知見と考えられる。
USAG-1発現解析では、USAG-1が遠位曲尿細管でBMP-7と共存すること、その発現が腎予後と相関することを見いだした。さらに申請者らはUSAG-1の発現誘導因子および発現抑制因子を複数同定しており、USAG-1の発現抑制剤開発に結びつく知見と考えられる。
結論
以上の結果から、USAG-1を標的とした治療法には腎不全治療法としての可能性がある。腎生検サンプルにおけるUSAG-1発現は腎予後マーカーとしても有用である。
公開日・更新日
公開日
2008-04-11
更新日
-