文献情報
文献番号
200731037A
報告書区分
総括
研究課題名
新たな診断・治療法開発のための免疫学的手法の開発に関する研究
課題番号
H17-難治-一般-037
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
住田 孝之(筑波大学大学院人間総合科学研究科先端応用医学専攻臨床免疫学)
研究分担者(所属機関)
- 山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科内科学専攻アレルギーリウマチ学)
- 小池 隆夫(北海道大学大学院医学研究科内科学講座・第二内科)
- 三森 経世(京都大学大学院医学研究科臨床免疫学)
- 千住 覚(熊本大学大学院医学薬学研究部免疫識別学分野)
- 山村 隆(国立精神・神経センター神経研究所免疫研究部)
- 上阪 等(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科膠原病・リウマチ内科学)
- 松本 功(筑波大学大学院人間総合科学研究科先端応用医学専攻臨床免疫学)
- 桑名 正隆(慶応義塾大学医学部内科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
免疫難病発症の分子機構について分子免疫学的なアプローチにより解明し、サイエンスに基づく特異的治療を開発する。抗原特異的な制御方法をめざすため、自己抗原、B細胞およびT細胞の抗原受容体、抗原提示細胞上の主要組織適合抗原が主要なターゲット分子となる。
研究方法
(1)コラーゲン誘導関節炎モデルマウス(CIA)、GPI誘導関節炎モデルマウスM3R誘導唾液腺炎モデルマウスを作成し、CII、GPI、M3Rのアナログペプチドにより関節炎、唾液腺炎を制御する。
(2)ヒト由来ES細胞を樹上細胞に分化させる条件を検討した。
(3)関節浸潤T細胞のTCRをin vitroで再構築し、さらに制御分子を遺伝子導入する戦略によりCIAに対する治療効果を検定した。
(4)GPI誘導関節炎の発症機序について検討した。
(5)自然免疫に係わるトル様受容体の制御分子(TREM-1)を標的とした治療戦略の開発。
(2)ヒト由来ES細胞を樹上細胞に分化させる条件を検討した。
(3)関節浸潤T細胞のTCRをin vitroで再構築し、さらに制御分子を遺伝子導入する戦略によりCIAに対する治療効果を検定した。
(4)GPI誘導関節炎の発症機序について検討した。
(5)自然免疫に係わるトル様受容体の制御分子(TREM-1)を標的とした治療戦略の開発。
結果と考察
(1)CIAモデルマウスにおいては、アナログペプチドCII262G→Aは関節炎の治療効果および予防効果を呈した。動物モデルを用いた基盤研究の成果をもとにclinical trialに進む予定である。
(2)ヒト由来のES細胞から抗原提示可能な樹上細胞(ES-DC)への分化に成功した。この研究成果は遺伝的改変による抗原特異的制御の可能性を示した。
(3) CIAを特異的に抑制することができたことから、遺伝子発現情報に基づいた抗原特異的治療応用の発展が期待される。
(4)自己抗体により誘導される関節炎の機序としてIL-6/IL-17axisが重要である事が示された。
(5)TREM-1を制御することにより関節炎を抑制する事に成功し、新規治療標的として期待される。
(2)ヒト由来のES細胞から抗原提示可能な樹上細胞(ES-DC)への分化に成功した。この研究成果は遺伝的改変による抗原特異的制御の可能性を示した。
(3) CIAを特異的に抑制することができたことから、遺伝子発現情報に基づいた抗原特異的治療応用の発展が期待される。
(4)自己抗体により誘導される関節炎の機序としてIL-6/IL-17axisが重要である事が示された。
(5)TREM-1を制御することにより関節炎を抑制する事に成功し、新規治療標的として期待される。
結論
自己反応性T細胞のアナログペプチドによる制御、抗原提示細胞の遺伝子操作による調節性T細胞の誘導、T細胞抗原受容体の再構築法による抗原特異的制御、自己抗体による免疫難病の発症機構、自然免疫系の制御に関する基盤技術の開発を進めてきた。これらは、免疫難病の抗原特異的制御法を確立するうえで重要であり、国際的にもユニークで発展性のある研究である。
公開日・更新日
公開日
2008-04-08
更新日
-