文献情報
文献番号
200731028A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性膵疾患に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H17-難治-一般-028
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
大槻 眞(産業医科大学医学部 消化器・代謝内科)
研究分担者(所属機関)
- 武田 和憲(独立行政法人国立病院機構仙台医療センター 外科)
- 峯 徹哉(東海大学医学部 消化器内科学)
- 下瀬川 徹(東北大学大学院 消化器病態学)
- 片岡 慶正(京都府立医科大学大学院 消化器内科学)
- 竹山 宜典(近畿大学医学部外科 肝胆膵部門)
- 伊藤 鉄英(九州大学大学院 病態制御内科学)
- 丸山 勝也(独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター)
- 川 茂幸(信州大学健康安全センター)
- 西森 功(高知大学医学部附属病院 光学医療診療部)
- 岡崎 和一(関西医科大学 内科学第三講座)
- 神澤 輝実(東京都立駒込病院 内科)
- 成瀬 達(三好町民病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
重症急性膵炎では、急性膵炎(ERCP後膵炎を含む)の診断と重症度判定基準の改訂と検証、特定疾患医療受給者証新規及び更新交付申請書の改訂、慢性膵炎では、早期慢性膵炎診断方法の確立、慢性膵炎の転帰(悪性腫瘍の種類と頻度)と合併症の調査、自己免疫性膵炎(AIP)のアジア診断基準の作成と膵外病変の検討、膵嚢胞線維症(CF)では、病態の解明と診療指針の作成である。
研究方法
重症度判定基準改訂案の妥当性を前向き研究で検証した。1994に登録した慢性膵炎患者の2006年の転帰を2007年に調査した。さらに、慢性膵炎患者追跡期間中の標準化死亡比(SMR)を算出した。日韓AIPシンポジウムを開催した。難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究班と共同で、AIPに合併する硬化性胆管炎(AIP-SC)と原発性硬化性胆管炎(PSC)の臨床病態を解析した。CFの臨床調査票を解析し、病状経過と治療の実態を解析した。
(倫理面への配慮)全ての研究は主任研究者と担当研究者の所属する機関の倫理委員会の承認後に実施した。
(倫理面への配慮)全ての研究は主任研究者と担当研究者の所属する機関の倫理委員会の承認後に実施した。
結果と考察
改訂急性膵炎重症度判定基準に従うと、重症急性膵炎は13.5%に減り、致命率は19.0%に上昇したが、「難病」の基準としては妥当と考えられた。重症急性膵炎医療受給者証更新用臨床調査個人票には、更新が必要である具体的な理由を記載させるようにした。EUSや血中soluble fractalkine値で慢性膵炎を可逆的な時期に診断できる可能性を示した。一般病院を受診しているアルコール性慢性膵炎患者は、必ずしもアルコール依存症ではない可能性を示した。慢性膵炎では、慢性膵炎の治療だけではなく糖尿病にも注意する必要がある。慢性膵炎患者のSMRは一般集団の1.56倍、特に膵癌では7.33倍と著しく高かった。AIPアジア臨床診断基準を作成し、ステロイドによる治療的診断は加えないことにした。AIP-SCとPSCでは発症年齢、血清生化学検査値が明らかに異なっていた。CFの発症頻度は白人に比べて極めて少なかったが病態は類似していた。
結論
改訂急性膵炎診断基準と重症度判定基準を検証した。重症急性膵炎に対する医療受給者証新規並びに更新用臨床調査個人票を改訂した。慢性膵炎患者は、膵癌の高危険群であった。AIPアジア臨床診断基準2006を発表した。「膵嚢胞線維症の診療の手引き」を作成した。
公開日・更新日
公開日
2008-05-13
更新日
-