脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200730070A
報告書区分
総括
研究課題名
脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究
課題番号
H19-こころ-一般-022
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
嘉山 孝正(山形大学医学部 脳神経外科)
研究分担者(所属機関)
  • 橋本 信夫(京都大学医学部附属病院 脳神経外科)
  • 吉峰 俊樹(大阪大学医学部附属病院 脳神経外科)
  • 高安 正和(愛知医科大学病院 脳神経外科)
  • 宇川 義一(福島県立医科大学附属病院 神経内科)
  • 馬場 久敏(福井大学医学部附属病院 整形外科)
  • 有賀 徹(昭和大学医学部附属病院 救急医学講座)
  • 喜多村 孝幸(日本医科大学附属病院 脳神経外科)
  • 深尾 彰(山形大学大学院医学系研究科 公衆衛生・予防医学講座)
  • 細矢 貴亮(山形大学医学部附属病院 放射線科)
  • 畑澤 順(大阪大学医学部 生体情報医学講座)
  • 篠永 正道(国際医療福祉大学熱海病院 脳神経外科)
  • 吉本智信(関東中央病院 脳神経外科)
  • 佐藤慎哉(山形大学医学部総合医学教育センター)
  • 西尾 実(名古屋市立大学医学部附属病院 脳神経外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「低髄圧症候群」は、脳脊髄液の漏出により頭痛、めまい、悪心、嘔吐等を引き起こす疾患で、50年以上も前にその疾患概念が提唱され、低髄圧症候群に関しては世界同一の概念でコンセンサスが得られている。一方、後年提唱された「脳脊髄液減少症」は、ほぼ同議語で用いられてはいるが、その中には低髄圧でないものも存在する等の論文があり、疾病の定義に混乱が生じている。これまでいくつかの診断基準が提唱されているが、未だ広くコンセンサスを得たものはない。本研究は、これまで髄液漏の根拠とされていた画像診断所見の疾患特異性、髄液漏と症状の因果関係を検討することによって、「低髄圧症候群・脳脊髄液減少症の科学的根拠に基づく誰がみても納得できる診療指針」の作成を目指す。
研究方法
本症に関する文献のシステマティックレビューの結果をもとに、臨床研究プロトコールを作成して、病態解明・診断法確立のための前方視的多施設共同臨床研究を行う。本研究班は、基本診療科である日本脳神経外科学会、日本整形外科学会をはじめ本症に関連のある6つの学会からの代表と放射線診断および統計学の専門家から構成され、既存の診断基準に今回の研究成果を加え「学会間の垣根を取り払ったガイドライン」の作成を行う。
結果と考察
今年度は、文献検索の結果をもとに、臨床研究プロトコールを作成した。現在、研究実施施設の倫理委員会にて臨床研究の審査中である。平成20年3月末時点で、4施設で申請が認められ登録を開始した。臨床研究プロトコールの概略を以下に示す。
○研究の対象:主任・分担研究者および研究協力者所属施設を受診した「座位または立位により発生、あるいは増悪する頭痛患者」。○検討項目:頭痛の性状・経過/頭痛以外の症状/先行する頭頸部外傷/画像所見(頭部MRI、MRミエログラフィー、脳槽シンチ)。○画像中央判定:画像は、画像診断検討委員会により中央判定を行う。○予定症例数:250例。

結論
近年、我が国では、脳脊髄液減少症と交通外傷の因果関係をめぐる問題が生じ、種々の社会問題を起こしている。そこには、過剰医療と見逃し医療や種々の疾病がこの疾患とされるものに含まれている可能性がある。その問題を解決する為には、本疾患の臨床像および診断基準を明確にする必要性がある。従って本研究の成果は、これらの混乱を科学的に解明でき、医学的にも社会的にも貢献するところは大である。

公開日・更新日

公開日
2009-03-10
更新日
-