司法精神医学の人材育成等に関する研究

文献情報

文献番号
200730009A
報告書区分
総括
研究課題名
司法精神医学の人材育成等に関する研究
課題番号
H17-こころ-一般-011
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
林 拓二(京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 清水 徹男(秋田大学医学部精神科学分野)
  • 三國 雅彦(群馬大学大学院医学系研究科脳神経精神行動学)
  • 中谷 陽二(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 倉知 正佳(富山大学大学院医学薬学研究部神経精神医学講座)
  • 佐野 輝(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科精神神経医学)
  • 宮岡 等(北里大学医学部精神科)
  • 岡崎 祐士(東京都立松沢病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々の研究は、法務関連の施設においても人材が極度に不足している現状の中で、医療観察法下の精神医療を充実させるために、司法精神医学に関心を持つ精神科医を如何にして育てるかを考え、どのような方策が可能かを実践することにある。
 それゆえ、我々の報告は、研究報告というよりも活動報告という色彩が強い。
研究方法
 各地域に設立された司法精神医学研究会や精神鑑定の検討会は、若手精神科医が司法精神医学の知識や鑑定の実務に触れるまたとない機会である。また、これらの会を中心に、裁判官や弁護士、あるいは矯正施設の法務関係者によるネットワークが作られてきている。昨年からは鹿児島大学を中心にした研究会も発足し、われわれの関与する各都道府県・各大学での活動は、ますます活発となっている。
結果と考察
 簡易鑑定は、一部の医師に集中する傾向があったが、大学の医師を含めて分担されるようになり、精神鑑定を引き受ける医師の数も増加してきた。若手医師が鑑定助手として画像診断や神経心理学的検査などの新しい評価法に触れることにより、多くの精神科医が司法精神医学に興味を抱く契機となっている。
 鹿児島大学や群馬大学において精神鑑定に関する実態調査が実施された。秋田大学や北里大学では、司法精神医学への学生の意識調査が行われた。筑波大学では、司法精神医療の多職種連携の現状を把握するため、看護師の触法患者へのイメージ調査を行ない、医療観察法下での弁護士活動、さらには審判への判定医の対応についてのアンケート調査が実施された。
 客観的な診断技術としての画像や神経心理学的研究が、富山大学や京都大学で行なわれている。鑑定などへの臨床応用はまだ難しいものの、研究成果の発表が活発に行なわれている。
結論
 この3年間の研究活動を振り返り、法精神医学研究会やサイコパスの研究を通じて、若手大学院生の間に司法精神医学に興味を抱く者が次第に増加して来ていることは確かであり、本研究の大きな成果であると考える。
 今年度の班会議では、司法精神医学の専門医制度を重点的に議論した。専門医制度は、卒前・卒後教育とともに、司法精神医学の教育システムの根幹となるべきものであり、松沢病院の班会議メンバーを中心に、司法精神医学会の関係者とともに検討を重ねた。今後、精神神経学会や司法精神医学会との連携のもとに議論を深めていく予定である。

公開日・更新日

公開日
2008-06-06
更新日
-

文献情報

文献番号
200730009B
報告書区分
総合
研究課題名
司法精神医学の人材育成等に関する研究
課題番号
H17-こころ-一般-011
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
林 拓二(京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 清水 徹男(秋田大学医学部精神科学分野)
  • 三國 雅彦(群馬大学大学院医学系研究科脳神経精神行動学)
  • 中谷 陽二(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 倉知 正佳(富山大学大学院医学薬学研究部神経精神医学講座)
  • 佐野 輝(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科精神神経医学)
  • 宮岡 等(北里大学医学部精神科)
  • 岡崎 祐士(東京都立松沢病院)
  • 伊豫雅臣(千葉大学大学院医学研究院精神医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 我々の研究は、法務関連の施設においても人材が極度に不足している現状の中で、医療観察法下の精神医療を充実させるために、司法精神医学に関心を持つ精神科医を如何にして育てるかを考え、どのような方策が可能かを実践することにあった。そのために、我々の報告は、研究報告というよりも活動報告という色彩が強い。
研究方法
 卒前・卒後教育を含む司法精神医学の教育と啓発のために、適切な教科書の出版を考えている。
 また、我々は各地に司法精神医学研究会を設立した。これらの研究会は、若手精神科医が司法関連の知識を得る場であるとともに、精神科医と司法関係者の交流の場にもなっている。
結果と考察
 精神鑑定に応用可能な客観的な診断技術として、神経画像や神経心理学的研究が富山大学、群馬大学、それに京都大学で行なわれた。鑑定への臨床応用はまだ難しいが、今後の成果が期待される。
 京都医療少年院を中心に行なわれたサイコパスの研究は、神経心理テスト・バッテリーが用いられ、この3年間のデータは、日本司法精神医学会などで発表された。また、群馬女子少年院では、構造化面接と質問紙法によるPTSDなどの調査が行なわれた。
 秋田大学や北里大学では、学生の意識調査が行なわれ、司法精神医学の卒前教育の重要性を示している。筑波大学では、司法精神科医療における多職種連携研究として、看護師への調査に引き続き、医療観察法下での弁護士活動や、審判への判定医の対応についてのアンケート調査が行なわれた。また、成年後見を含む鑑定の実情調査が、鹿児島大学や群馬大学において実施された。
結論
 平成19年度の研究の中心テーマとして、司法精神医学の専門医制度を重点的に議論した。専門医制度は、司法精神医学の教育システムの根幹となるべきものであり、班会議メンバーを中心に、司法精神医学会の関係者とともに検討を重ねた。今後、精神神経学会や司法精神医学会との連携のもとに議論を深めていく予定である。
 最後に、専門医制度を検討する中で議論されたことは、精神鑑定書が精神科医の業績として正当に評価されていないことであり、なんらかの改善を要すると思われる。今後、精神保健判定医の要件として、「刑事鑑定の経験」を求めるようにすべきかも知れないが、会議の参加者からは、精神鑑定書が医学論文と等価に評価され、大学での採用・昇進に際して、最低一編の鑑定書の作成を条件とするべきであるとの提言がなされている。

公開日・更新日

公開日
2008-06-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-01-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200730009C