膠原病の生命予後規定因子である肺合併症の診断及び治療法の再評価と新規開発に関する研究

文献情報

文献番号
200729034A
報告書区分
総括
研究課題名
膠原病の生命予後規定因子である肺合併症の診断及び治療法の再評価と新規開発に関する研究
課題番号
H19-免疫-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
宮坂 信之(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科膠原病・リウマチ内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 亀田 秀人(埼玉医科大学総合医療センターリウマチ・膠原病内科)
  • 杉山 温人(国立国際医療センター呼吸器科)
  • 曽根 三郎(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 高崎 芳成(順天堂大学医学部膠原病内科)
  • 田中 良哉(産業医科大学第一内科)
  • 當間 重人(独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
  • 土肥 眞(東京大学医学部附属病院アレルギー・リウマチ科)
  • 原 まさ子(東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター)
  • 針谷 正祥(東京医科歯科大学薬害監視学講座)
  • 平形 道人(慶應義塾大学医学部内科学教室血液・感染・リウマチ内科)
  • 保田 晋助(北海道大学大学院医学研究科病態内科学講座・第二内科)
  • 吉澤 靖之(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科統合呼吸器病学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
膠原病専門医と呼吸器専門医とが協同研究を行うことにより、膠原病の最大の生命予後規定因子である肺合併症の早期診断法、鑑別法及び治療法の再評価と新規開発を行い、その成果を診療マニュアルとして公開することにより、国民に対する良質な医療を提供することを目的とする。
研究方法
1.関節リウマチ・全身性エリテマトーデスなどの膠原病患者を対象に、入院中に間質性肺炎(縦隔気腫を含む)・肺胞出血・肺高血圧・肺肉芽腫および肺感染症の治療が施行された患者を登録・調査する。2.膠原病における免疫療法下の肺感染症に関する前向き研究の目的で、Webサイトから登録によって肺感染症の種類、頻度、発症予測因子、ニューモシスチス肺炎(PCP)に対する予防投与、肺炎球菌ワクチンの有効性、短期的生命予後などについて調査する。3.膠原病に対するタクロリムスの有効性の検討と薬剤抵抗性改善の検討を行う。4.Ninjaデータベースを用いて関節リウマチの肺合併症の頻度、予後などを解析する。
結果と考察
1.膠原病の肺合併症診断及び治療法に関する後ろ向き研究及び膠原病における免疫療法下の肺感染症に関する前向き研究を本年度より開始した。本研究により、膠原病の肺合併症を有する患者のデータベース作成が可能となる。2.膠原病に対するタクロリムスの有効性に関して、本年度より分担研究者の施設で検討を開始し、概して高い有効性と安全性が認められている。しかし、amyopathic DMは治療抵抗性であり、今後のさらなる検討を要する。3.NinJaデータベースを用いた関節リウマチにおける肺合併症の発生頻度の解析では、1)肺結核の標準化罹患比(SIR)は2.43と高いが、予後は良好である、2)間質性肺炎発生率は0.38%であるが、死亡率は22.2%と高かった、3)その他の肺炎の発生率は0.82%で、死亡率は5.19%であった。これらの結果より、RA患者において肺合併症は予後規定因子としてきわめて重要であることが示唆された。4.膠原病患者の免疫抑制療法中に合併するPCPに対する治療薬に対する副作用の検討から、N-acetyltransferase (NAT2)の遺伝子多型が重症副作用に関与することが判明し、ST合剤の重症副作用を回避できる可能性が示唆された。
結論
本研究の遂行により、膠原病の生命予後規定因子である肺合併症の診断及び治療法の再評価と新規開発を可能にすることが期待される。また、研究終了時までに、膠原病の肺合併症に対する診療マニュアルの作成を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-04
更新日
-