金属アレルギーの克服へ向けた効果的診断・予防・治療法の開発研究

文献情報

文献番号
200729030A
報告書区分
総括
研究課題名
金属アレルギーの克服へ向けた効果的診断・予防・治療法の開発研究
課題番号
H19-免疫-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小笠原 康悦(国立国際医療センター 研究所、難治性疾患研究部、臨床免疫研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 菅原俊二(東北大学大学院歯学研究科)
  • 遠藤康男(東北大学大学院歯学研究科  )
  • 高田春比古(東北大学大学院歯学研究科 )
  • 椛島健治(産業医科大学医学部皮膚科 )
  • 西屋禎(北海道大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
金属アレルギーはピアス等装飾品をつける人口の増加および金属を用いた医療技術の発展に伴い増加しているが、金属アレルギー発症の分子機構は未だ分かっていない。掌蹠膿疱症などの金属アレルギー合併症は総じて難治であり、患者のQOLを著しく妨げている。金属アレルギー診断法としてパッチテストが有効であるものの、その施行および判定には患者の負担が大きく、より効果的な診断法も望まれている。従って本研究は金属アレルギー発症の分子機構を明らかにし、アレルギーの診断、予防、治療に役立つ理論的基盤の確立を目指すことを目的とする。
研究方法
1.金属アレルギー発症の分子機構の解明
マウス金属アレルギーモデルを開発し、マウス耳介の腫脹を測定した。感作したマウス脾細胞から抗原提示細胞を単離し、MHC分子と収容溝のペプチドを溶出し金属と結合するペプチドを分析した。
2.金属アレルギーにおける細菌成分のアジュバント効果
各種TLRリガンドによる口腔上皮系細胞へのアジュバント効果を検討した。
3.新規診断法と治療法の開発へ向けた理論的基盤の確立
パッチテストで陽性を確認した金属アレルギー患者を臨床症状別に分類し、各患者の末梢血の金属での細胞増殖刺激能を検討した。
結果と考察
1.金属アレルギー発症の分子機構の解明
Niで感作したマウスにおいて,Ni, Pd, Cr, Coはいずれも低濃度で炎症を誘導した。金属と結合するペプチドに関して、精製した試料中に約10のピークを得た。この中に金属と結合するペプチドが存在する可能性が高い。
2. 金属アレルギーにおける細菌成分のアジュバント効果
ヒト口腔上皮細胞において、各種TLRリガンド刺激によるNKG2Dリガンドの発現増強が認められた。TLR4とTLR5が樹状細胞の活性化を誘導することが判明した。
3.新規診断法と治療法の開発へ向けた理論的基盤の確立
金属アレルギー患者由来の末梢血においてLTTアッセイによる検出が可能となった。
結論
本研究班が開発した金属アレルギーマウスモデルは、Nature誌のNewsにとりあげられ、国際的に高い評価を得ている。
金属アレルギーマウスモデルにおいて、各種金属での交差反応を認めた。細菌成分とともに金属暴露がおこると極めて低濃度でアレルギーを発症することが判明した。
金属アレルギー発症に関わる自己抗原ペプチドを同定する方法の基盤を確立した。
TLR4とTLR5が樹状細胞の活性化を誘導する。
金属アレルギーにおけるパッチテスト陽性の患者由来の末梢血においてLTTアッセイによる検出が可能である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-07
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-01-22
更新日
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