肝炎状況・長期予後の疫学に関する研究

文献情報

文献番号
200728022A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎状況・長期予後の疫学に関する研究
課題番号
H19-肝炎-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
吉澤 浩司(広島大学大学院医歯薬学総合研究科疫学・疾病制御学)
研究分担者(所属機関)
  • 小山 富子(財団法人岩手県予防医学協会県南センター)
  • 日野 啓輔(山口大学大学院医学系研究科基礎検査学)
  • 三浦 宜彦(埼玉県立大学保健医療福祉学部)
  • 田中 純子(広島大学大学院医歯薬学総合研究科疫学・疾病制御学)
  • 阿部 弘一(岩手医科大学第一内科)
  • 池田 健次(虎の門病院肝臓センター肝臓科)
  • 鳥村 拓司(久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門)
  • 柚木 久雄(日本赤十字血液事業本部中央血液研究所核酸増幅検査部)
  • 相崎 英樹(国立感染症研究所ウイルス第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
38,416,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国における肝炎、肝がん対策の推進に資する基礎的データを提示することを目的とする。
研究方法
基礎医学、臨床医学、社会医学の専門家の参加を得て3年計画の1年目にあたる研究を実施する。
結果と考察
今年度は以下の事項を明らかにした。
1)肝炎ウイルス検診受診者集団から得られた5年分のデータをもとに出生年別のHBV、HCVキャリア率を算出した結果、HBVキャリア率は50-60歳代で、またHCVキャリア率は60-70歳以上の高年齢層で高い値を示すこと。
2)1986-1997年に出生した集団では、HBs抗原、抗体陽性率は、それぞれ0.04%、0.97%となっており、HBVの自然感染例(HBc抗体陽性例)も激減していること。また、この集団におけるHCVキャリア率は0.01%に止まること。
3)年齢、性、検診種類別に分けて肝炎ウイルス検診受診者を解析した結果、特に40-50歳代の働き盛りの男性集団では検診受診の機会を職域検診や1日人間ドックでの検査に依存している比率が高いこと。

4)B型慢性肝疾患の長期予後を解析した結果、50歳以上の男性では慢性肝炎から肝硬変、肝がんへの移行確率(年率)が高いことから、この集団を重点的な抗ウイルス療法の対象とすべきであること。
5)肝発がんのリスクに応じたプロトコールを作成し、組織的に経過観察を行うことにより、肝がんの早期発見と長期予後の改善に寄与する事ができること。
6)わが国におけるHBVジェノタイプAの感染は、20-30歳代の男性を中心に拡散しつつあること。
7)2001年と2006年の状態を対比すると、HBV感染例の中に占めるHBVジェノタイプAの感染の増加率の最も高い地域は関東の2.0%から9.5%、沖縄の1.3%から9.1%となっていること。
8)宿主が産生するHBs抗体の影響を受けずにHBs抗原を検出することができる高感度の検出系は、いわゆる「オカルトHBV感染例」の解析、強力な免疫抑制を伴う治療例でのHBV感染のreactivationのモニタリングに有用である可能性が高いこと。
9)HCVのエンベロープに対する抗体(HCVenv抗体)高力価の血漿プールを原料として調製したガンマグロブリン分画には、HCVの感染を防御する中和抗体活性があること。
結論
これらの知見は、いずれも標記の研究目的に適うものである。

公開日・更新日

公開日
2008-04-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-01-22
更新日
-