文献情報
文献番号
200728014A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎ウイルスにより惹起される炎症性誘発要因及びウイルス増殖に対する人為的制御による肝炎征圧
課題番号
H19-肝炎-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
下遠野 邦忠(慶応義塾大学医学部)
研究分担者(所属機関)
- 堀田 博(神戸大学大学院医学系研究科)
- 加藤 宣之(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
- 小原 恭子(兵庫医科大学)
- 西口 修平(熊本大学大学院医学薬学研究部)
- 落谷 孝広(国立がんセンター研究所)
- 杉山 和夫(埼玉医科大学)
- 丸澤 宏之(京都大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
63,743,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
HCV感染・増殖による細胞の種々の変化を明らかにし、その原因となるウイルス側および宿主側要因とその機構を明らかにし、HCV感染による肝疾患を予防、あるいは治療するための方策を見出すことを目的とする。さらに、持続的な感染による炎症の過程で引き起こされる細胞側の変化についても解析を進め、炎症過程で惹起される各種変化の分子機構を明らかにする。また、人為的に効率よいウイルス排除法の確立を目指す。
研究方法
(1)ウイルス複製に関与する細胞側の種々の要因を明らかにするため、HCV感染複製系を用いて、ウイルス蛋白質およびウイルスゲノム複製複合体の細胞内局在の解析を通してウイルス粒子産生に必要な細胞内環境を理解する。
(2) HCV複製細胞の遺伝子発現をcDNAマイクロアレイで解析する。
(3) HCV感染細胞における遺伝子変異率を高める要因を遺伝子編集酵素AIDの発現との関連で解析する。
(4)HCV感染によるアポトーシス、小胞体ストレス、細胞周期変化を調べる。
(5)ヒト間葉系幹細胞から肝細胞への分化させる効率よい方法を明らかにする。
(2) HCV複製細胞の遺伝子発現をcDNAマイクロアレイで解析する。
(3) HCV感染細胞における遺伝子変異率を高める要因を遺伝子編集酵素AIDの発現との関連で解析する。
(4)HCV感染によるアポトーシス、小胞体ストレス、細胞周期変化を調べる。
(5)ヒト間葉系幹細胞から肝細胞への分化させる効率よい方法を明らかにする。
結果と考察
(a) HCVゲノムは細胞内の油滴量を増やし、蓄積した油滴を利用して感染性ウイルス粒子を産生させることがわかった。
(b) HCV複製を制御する宿主因子を明らかにした。
(c) HCV感染細胞で遺伝子編集酵素AIDの発現亢進を観察した。また、HCVゲノム複製細胞で発現亢進しているDHCR24はアポトーシスを抑制すると推定された。
(d) C型慢性患者におけるミトコンドリア異常は、IFN投与により、HCVが消失しても認められない症例があることがわかった。
(e)ヒト間葉系幹細胞から肝細胞への分化培養系を改良し得られた細胞を用いたHCV感染実験、評価実験を可能にした。
以上、HCV感染による細胞変化の解析を通して、慢性肝炎、肝硬変などの病態を理解し、予防・治療に向けた研究展開を目指して研究を行い、見るべき成果を得た。
(b) HCV複製を制御する宿主因子を明らかにした。
(c) HCV感染細胞で遺伝子編集酵素AIDの発現亢進を観察した。また、HCVゲノム複製細胞で発現亢進しているDHCR24はアポトーシスを抑制すると推定された。
(d) C型慢性患者におけるミトコンドリア異常は、IFN投与により、HCVが消失しても認められない症例があることがわかった。
(e)ヒト間葉系幹細胞から肝細胞への分化培養系を改良し得られた細胞を用いたHCV感染実験、評価実験を可能にした。
以上、HCV感染による細胞変化の解析を通して、慢性肝炎、肝硬変などの病態を理解し、予防・治療に向けた研究展開を目指して研究を行い、見るべき成果を得た。
結論
HCV感染により引き起こされる細胞の変化を分子レベルで明らかにした。これらの成果は、HCV感染による疾患発症を予防する方策の開発に役立つと考えられる。また、ウイルス複製を制御する宿主因子を標的とした抗HCV剤の開発み道を開く成果を得た。間葉様系細胞を分化誘導して得られた肝細胞を用いたHCVウイルス学的な研究および、肝疾患の研究を可能にした。
公開日・更新日
公開日
2008-05-16
更新日
-