文献情報
文献番号
200727026A
報告書区分
総括
研究課題名
エイズ対策におけるテーラーメイド予防啓発介入の効果の定量的評価
課題番号
H18-エイズ-若手-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
松田 智大(国立がんセンターがん対策情報センターがん情報・統計部)
研究分担者(所属機関)
- 児玉知子(国立保健医療科学院政策科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
2,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国においてエイズ教育の必要性が指摘されてきたが、適切なデザインを用いた定量的評価研究は少なく、またわが国の性に対する文化・慣習を考慮すると、欧米諸国で奏功したプログラムに同様の効果を期待できるかどうかは不明である。本年度は大学生を対象としたエイズ予防啓発プログラムの介入調査を実施した。
研究方法
2種類の講義を実施する介入群(Aグループ:生命・人間関係を重視、Bグループ:性感染症の知識向上に基づいてエイズ予防することを重視、それぞれ1時間)において介入前・直後・6ヵ月後の計3回、非介入群(Cグループ)では1回目調査、6ヵ月後調査の計2回、評価を行った。評価に用いたエイズ予防行動質問票は、知識(43問)、動機(24問)スキル(36問)、行動(18問)の4部からなり、定量化される。回答は匿名とし携帯・PCからオンラインで行った。
結果と考察
東京都近郊5大学7クラスの大学生233名を対象にエイズ予防啓発プログラムの介入調査を平成19年6-7月に実施し、6ヵ月後の12月に、3回目の調査を実施した。参加者はA:92人、B:47人、C:94人であった。平均年齢は20.8歳(標準偏差2.2)で、男女比は27:73であった。参加者のうち、これまで性行為経験があったのは59.7%で、調査の直近1ヶ月以内(経験者のうち62.9%)のコンドーム使用は、「まったく使用しなかった」から「ときどき使用した」までを合わせると25.0%であった。
「エイズ予防に対しての自分の心理状態(行動変容ステージ)」についての質問では、無関心期と関心期が全体の7割を占めており、介入前の知識尺度の平均正答率は72.0%(標準偏差11.1)だった。知識尺度は、非介入群で変化がなかったのに対し、介入後にスコアの向上が認められ、3回目の調査でも向上したスコアを維持していた。同様にスキル尺度でも向上が見られたが、行動変容ステージや、動機尺度の得点に有意な変化は見られなかった。しかしながら、行動変容ステージごとの分析では、動機尺度の有意な向上が見られた。
「エイズ予防に対しての自分の心理状態(行動変容ステージ)」についての質問では、無関心期と関心期が全体の7割を占めており、介入前の知識尺度の平均正答率は72.0%(標準偏差11.1)だった。知識尺度は、非介入群で変化がなかったのに対し、介入後にスコアの向上が認められ、3回目の調査でも向上したスコアを維持していた。同様にスキル尺度でも向上が見られたが、行動変容ステージや、動機尺度の得点に有意な変化は見られなかった。しかしながら、行動変容ステージごとの分析では、動機尺度の有意な向上が見られた。
結論
参加者の知識は、介入プログラムによって向上し、スキルにも変化が見られた。本研究は、リスク別の厳密な評価ではないが、テーラーメイド型予防啓発に資するエビデンスとして、エイズ対策に貢献すると考える。また、調査手法としての携帯電話の利用は、若者の性行動に関する調査には多くの利点がある。
公開日・更新日
公開日
2008-06-04
更新日
-