中空粒子を用いたウイルス性肝炎の新しい検査・予防法の開発

文献情報

文献番号
200726043A
報告書区分
総括
研究課題名
中空粒子を用いたウイルス性肝炎の新しい検査・予防法の開発
課題番号
H19-新興-一般-014
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
武田 直和(国立感染症研究所ウイルス第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 智之(堺市衛生研究所)
  • 恒光 裕(動物衛生研究所)
  • 勝二 郁夫(神戸大学)
  • 李 天成(国立感染症研究所)
  • 石井 孝司(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
44,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
E型肝炎ウイルス(HEV)ウイルス様粒子(HEV-LP)を抗原とする迅速、高感度抗体検出系、および特異抗体を用いた抗原検出系を確立する。HEV-LPを経粘膜接種し、その免疫原性ならびにE型肝炎粘膜ワクチンとしての有効性を評価する。各遺伝子型B型肝炎ウイルス(HBV)由来の中空粒子を利用して遺伝子型特異的なHBV抗原診断法の開発を目指す。C型肝炎ウイルス(HCV)構造蛋白遺伝子の強制発現細胞系で中空粒子を産生させ、精製法を確立する。得られた中空粒子を用いて新たなHCV診断法の開発を目指す。
研究方法
血清、便、肝臓等を用いて、E型肝炎検査マニュアルにしたがって、抗体、抗原、HEV遺伝子を検出した。ノトバイオート豚でHEV感染実験を行なった。種々の遺伝子型のB型肝炎ウイルス(HBV)クローンを用いてHBs抗原分泌機構を解析した。HCV J6/JFH1株の継代培養を行なった。HCVのsubgenomic repliconを用いた一過性の発現を行なった。
結果と考察
HEV伝播の要因を解析する目的で野生イノシシのmtDNA, 核GPIP遺伝子型を検索した結果、家畜ブタとの交雑は認められなかった。トバイオート豚を用いてHEV投与実験を行った。経口投与では30日齢の豚は3日齢の豚に比べて糞便ならびに血清中のHEV RNAの検出期間は短く、検出量も少なかった。ヨーロッパ型のgenotype A (HBV-Ae)は本邦に多いgenotype C (HBV-CA)より複製効率は低いものの、上清中への分泌効率が高かった。HCV J6/JFH1株の継代培養により従来より感染価の高いウイルス産生細胞を樹立することを試み、従来より10-100倍感染価の高いウイルス産生系の樹立に成功した。HCVのsubgenomic repliconを保持する細胞にJFH-1株の構造蛋白をtransに供給し、一過性の感染はおこるが増殖はしないHCVのvirus-like particlesを作製した。
結論
・HEV保有率の高い家畜ブタとイノシシの交雑の可能性は低い。
・HEVの経口感染において豚の日齢が進むにつれて感受性が低くなる。
・VLPを用いたHEV抗体検出用ELISA法は有効な方法である。
・ヨーロッパ型のgenotype A (HBV-Ae)は本邦に多いgenotype C (HBV-CA)より複製効率は低いものの、上清中への分泌効率が高い。
・HCVのsubgenomic repliconを保持する細胞にHCVの構造蛋白をtransに供給することにより、HCV様粒子が培養上清中に放出される。

公開日・更新日

公開日
2008-05-02
更新日
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