広域における食品由来感染症を迅速に探知するために必要な情報に関する研究

文献情報

文献番号
200726029A
報告書区分
総括
研究課題名
広域における食品由来感染症を迅速に探知するために必要な情報に関する研究
課題番号
H18-新興-一般-016
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
寺嶋 淳(国立感染症研究所細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 清水 俊一(北海道立衛生研究所 微生物科)
  • 甲斐 明美(東京都健康安全研究センター 微生物部食品微生物研究科)
  • 松本 昌門(愛知県衛生研究所 微生物部臨床細菌科)
  • 勢戸 和子(大阪府立公衆衛生研究所 感染症部細菌課)
  • 中嶋 洋(岡山県環境保健センター 細菌科)
  • 堀川 和美(福岡県保健環境研究所 病理細菌課)
  • 渡辺 治雄(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 武田 直和(国立感染症研究所 ウイルス二部)
  • 染谷 雄一(国立感染症研究所 ウイルス二部)
  • 片山 和彦(国立感染症研究所 ウイルス二部)
  • 田中 智之(堺市衛生研究所 所長)
  • 秋葉 道宏(国立保健医療科学院 水道工学部施設工学室)
  • 八木田 健司(国立感染症研究所 寄生動物部)
  • 黒木 俊郎(神奈川県立衛生研究所 微生物部)
  • 片山 浩之(東京大学大学院 工学系研究科)
  • 森田 重光(麻布大学 環境保健学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
51,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
広域における食品由来感染症の被害拡大を未然に防ぐためには、感染源であるウイルス・細菌等の病原体を迅速に検出しその解析情報を共有することが重要である。本研究では、病原体の検出法の改良・開発と共に、解析技術の精度管理を行い、病原体の解析情報に基づく互換性のあるデータベースを構築しながら、分離株の解析情報を共有・還元して食品由来感染症の制御に役立つシステム構築を目的とする。
研究方法
1)食品由来細菌感染症の起因菌に対して標準化PFGE法、IS-printing法及びMultilocus variable-number tandem repeat analysis (MLVA)法による解析と解析技術の精度管理を行い、PFGE解析データベースの構築を継続する。
2)ノロウイルス(NoV)及びサポウイルス(SaV)の組換えウイルス様粒子(VLPs)の作成から抗体作成を行う。食品からのNoVの迅速診断方法としてイムノクロマト(IC)キットの開発を行う。カリシウイルスの解析情報共有化にむけて日本版カリシネットを整備する。
3)水道水源環境における原虫類の遺伝子型別濃度分布の解明及び検査法や除去法の改良を行う。

結果と考察
本研究班の構成機関である地研等において標準化PFGEの解析結果が行政対応に活用されている。遺伝子型が一致する腸管出血性大腸菌O157が広域から分離されており、継続的な監視活動が必要である。NoV及びSaVのVLPsを発現させ、その高力価血清を作成した。これらのVLPsは遺伝子群特異的単クローン抗体の選択に有用である。NoV感染症の迅速診断用にIC法を開発し、平成19年末に厚生労働省よりNoV体外診断用医薬品として認可された。インターネット上のカリシウェブを整備した。さらに、各遺伝子型の基準配列及び遺伝子解析の操作ガイドを公開した。水道水源周辺環境の原虫の遺伝子型別分布濃度及び下水処理施設での除去性を明らかにした。
結論
病原体解析情報の共有化に向けて、細菌解析ネットワークであるパルスネットが稼動しつつあり、NoV等については、インターネット上のカリシウェブを整備し各遺伝子型の基準配列及び遺伝子解析の操作ガイドを公開した。迅速診断法としてIC法を確立した。水道水源周辺環境のクリプトスポリジウム等の原虫の遺伝子型別分布や発生源である下水処理施設における除去性が明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2008-05-02
更新日
-