結核菌に関する研究

文献情報

文献番号
200726025A
報告書区分
総括
研究課題名
結核菌に関する研究
課題番号
H18-新興-一般-012
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 誠也(財団法人結核予防会結核研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 坂谷 光則(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
  • 高松  勇(地方独立行政法人大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター)
  • 前田 伸司(財団法人結核予防会結核研究所)
  • 御手洗 聡(財団法人結核予防会結核研究所)
  • 切替 照雄(国立国際医療センター研究所)
  • 山岸 文雄(独立行政法人国立病院機構千葉東病院)
  • 森   亨(国立感染症研究所ハンセン病研究センター)
  • 重藤えり子(独立行政法人国立病院機構東広島医療センター)
  • 磯部  哲(獨協大学法学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
63,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬剤耐性結核、特に多剤耐性結核の効果的・効率的な予防・診断・治療法を確立し、行政サービスとして普及するための方法を検討する。
研究方法
それぞれの分担課題に応じ、細菌学、遺伝子工学的検討、アンケート、ワークショップ現地視察などの方法を用いた。
結果と考察
①薬剤感受性全国調査:前回の調査よりも参加施設が減少し、検体数も少なくっているために、全国調査としての代表性の問題が生ずる懸念が大きい。病原体サーベイランスを構築する必要がある。②結核菌遺伝子タイピング:北京型が多い日本で適用できるVNTR法としてJATA(12)を開発した。③結核菌遺伝子分析による薬剤感受性検査の開発:ラジナミド耐性遺伝子ラインプローブ法の評価を実施中である。INH診断法開発のために、新たな領域(inhAのプロモーター領域)に22種類の変異を見出した。④薬剤感受性検査の精度管理制度:(1)被験菌5株で薬剤感受性検査の外部精度評価を試行し、検査精度の評価には不十分と考えられた。(2)人工痰(第二世代)を開発した。培養検査への応用、核酸増幅法による抗酸菌検出も可能であり、精度評価にも応用の可能性がある。⑤薬剤耐性結核の発生防止のための日本版DOTS:「服薬支援看護システム」の活用を通した治療支援体制の構築によって、治療成績の向上や活動内容の改善が明らかになった。⑥多剤耐性結核の診療システム:(1) 多剤耐性結核の全国調査を実施した。持続排菌MDRは97例でXDRが43.3%を占めていた。(2) 多剤耐性結核の分子疫学的検討を行い、分別能が高いlocusによるVNTR法を見出した。(3) 多剤耐性結核に対する外科療法の治療成績を検討した結果、肺切除術の治療成績は極めて良好であった。(4) マウスで15k gralnulysinDNAによる抗結核効果を明らかにした。⑦小児結核:小児におけるQFTの有用性を検討した。活動性結核の補助的診断方法として非常に有用であるが、潜在性結核診断における感度は乳児例で低い可能性が示唆された。⑧HIV合併結核:医療機関を対象にHIV感染者に対する潜在性結核感染治療についてアンケート調査及び入院結核患者HIV感染調査を行った。解析は次年度の予定。⑨長期入院患者:(1)慢性排菌患者調査を実施した。(2) オランダ、ドイツでは強制隔離の施設及び制度が整備されており、公衆衛生学的な脅威となる患者がこの制度の下に入院していた。
結論
最終年度の目的達成に向けた研究成果が得られつつある。

公開日・更新日

公開日
2008-06-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-04-22
更新日
-