ハンセン病の啓発と難治症例に対する予防・診断・治療に関する研究

文献情報

文献番号
200726023A
報告書区分
総括
研究課題名
ハンセン病の啓発と難治症例に対する予防・診断・治療に関する研究
課題番号
H18-新興-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
向井 徹(国立感染症研究所ハンセン病研究センター 病原微生物部)
研究分担者(所属機関)
  • 松岡 正典(国立感染症研究所ハンセン病研究センター 生体防御部)
  • 牧野 正彦(国立感染症研究所ハンセン病研究センター 病原微生物部)
  • 前田 百美(国立感染症研究所ハンセン病研究センター 病原微生物部)
  • 福富 康夫(国立感染症研究所ハンセン病研究センター 病原微生物部)
  • 寺尾 恵治(医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター)
  • 石井 則久(国立感染症研究所ハンセン病研究センター 生体防御部)
  • 儀同 政一(国立感染症研究所ハンセン病研究センター 生体防御部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
49,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ハンセン病の包括的対策のため1.ハンセン病の分子疫学、2.難治性ハンセン病治療薬の開発、3.ワクチンおよび難治性ハンセン病に対する免疫療法開発、4.ハンセン病診療のネットワーク構築および啓発・普及を目的とした。
研究方法
1.新規感染防止のため、感染源検索を行い、高有病率地域の生活用水中のらい菌の生死検討を行った。2.新規抗らい菌薬開発のため、新規ニューキノロン系薬剤MFLXのin vivoの、またDC-159aのin vitroの抗らい菌活性を検討した。3.ウレアーゼ遺伝子破壊BCG株を用い各種免疫誘導能の検討を行った。らい菌接種幼若サルの経過観察を行った。4.皮膚科医を中心にハンセン病に関する講習会を開催した。また、各種パンフレットを作成・配布を行った。
結果と考察
1.採取された33生活用水より14検体にらい菌の生活性が検出された。2.MFLXは、SPFXより強い抗らい菌活性を有し、DC-159aは多剤耐性らい菌にin vitroで最も強い抗らい菌作用を示した。3.遺伝子破壊株は、CD4陽性メモリーT細胞の効率的産生に大きく寄与することが示された。らい菌接種サルのうち1頭は、らい菌蛋白に対する免疫応答を持続した。4.ハンセン病の知識が向上し、理解が増加してきた。
結論
1.自然界のらい菌による感染を考慮する必要性が示唆された。2.増加している薬剤耐性菌に対し、有望な薬剤を示した。3.遺伝子破壊株は、ワクチンや免疫療法に重要な免疫メモリー機能に対し有効な作用をすることを示した。6頭中1頭のらい菌接種サルに、持続感染成立が強く示唆された。4.医療関係者に対する継続的な教育と回復者に対する一般医療機関への受診の促しが今後の課題と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2008-05-02
更新日
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