障害者の自律移動支援における情報技術利用方法に関する調査研究

文献情報

文献番号
200724015A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者の自律移動支援における情報技術利用方法に関する調査研究
課題番号
H18-障害-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
中山 剛(国立身体障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
1,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
障害者の移動を支援するプロジェクトが各機関にて実施され、インフラ整備が行われつつある。本研究ではこれまで支援対象者にはあまり含まれていなかった高次脳機能障害者等を対象とした調査を行い、情報技術や社会情報インフラの有効な利用方法について明らかにすることを目的とする。歩行訓練の専門家の観点から情報技術や社会情報インフラの有効な利用方法の検討も併せて行う。
研究方法
平成19年度では歩行訓練専門家による神戸空港の実地調査、高次脳機能障害の当事者やご家族ならびに支援専門職へのヒアリング調査、移動時に利用できるランドマークの種類やタグの位置などに関する基礎調査の3点を行った。
結果と考察
神戸空港にはコントラストを上手く使った視認性の高い階段などロービジョンの人にとって行動しやすいデザインが随所に盛り込まれており、アクセシビリティが高いとの意見を得た。他方、誘導用ゼブラゾーンの間の空間にある植え込みなど少数ながら課題の指摘もあった。
ヒアリング調査の結果、各機関で実施されているプロジェクトの認知度はかなり低いことが明らかになった。一方で当該プロジェクトを活用できそうな高次脳機能障害者も多いことが示唆された(失語症の方を含む)。また携帯電話を利用している高次脳機能障害者は多いことが示唆された。しかし、基本機能以外のGPS機能やナビゲーション機能などの利用率は低い現状も明らかとなった。
視線検出装置を利用してタグの位置関係などに関する基礎的な検討の結果、階段のタグは照度が高いところに床面から120cmくらいの高さに貼るのが良い、白色背景の壁には黄色のタグより青色や赤色の方が見やすいなどの結果が得られた。また、高次脳機能障害の当事者とご家族ならびに東京都葛飾区の地域福祉・障害者センターの協力を得て、2次元コードをランドマークとして携帯情報端末(PDA)利用した屋内ナビゲーション実験を行った。その結果、機器の操作に戸惑った方も居たが1名を除いて全員が目的地までたどり着いた。特に若年の高次脳機能障害当事者は見事に今回の実験機器であるPDAを使いこなしていた。
結論
歩行訓練専門家の観点から神戸空港はアクセシビリティが高いデザインであること、高次脳機能障害者にとっても移動支援はニーズレベルが非常に高い課題であることが明らかとなった。また、当該プロジェクトを活用できそうな高次脳機能障害者は潜在的に多いことも明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2008-04-08
更新日
-