高齢者と障害者のケアの統合化と効率性に関する政策研究

文献情報

文献番号
200724009A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者と障害者のケアの統合化と効率性に関する政策研究
課題番号
H18-障害-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 進一(大阪市立大学・大学院 生活科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 まり(立命館大学 産業社会学部)
  • 所 道彦(大阪市立大学・大学院 生活科学研究科 )
  • 清水 (丸山) 由香 (大阪市立大学・大学院 生活科学研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
4,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、高齢者および障害者の特性を考慮しながら、どのような点が高齢者と障害者のケア提供で共通している点なのかを明らかにする。そして、地域の高齢者と障害者に対する統合ケア提供のガイドラインとその研修方法を明示する。本年度は、高齢者および精神障害者に対するケアマネジメントを行っている者(介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士など)に対する共通点および相違点を明らかにする。また、それぞれの者の研修に対するニーズや研修に対する考え方を明らかにし、高齢者および精神障害者のケアマネジメント研修のあり方の提言を行う。
研究方法
アンケート質問紙を用いた量的調査およびインタビューを用いた質的調査を併用しながら本研究を進めた。量的調査における対象者の選択においては、WAMNETなどを活用し、全国の居宅支援事業所、精神障害者関連施設などを抽出し、回答を依頼した。また、インタビューでは、分担研究者が関わっているプログラムなどの職員にインタビューを実施した。さらに、介護支援専門員あるいは精神保健福祉士を長年行っている者にインタビューを行い、研修についての考え方や高齢者および精神障害者ケアマネジメントの統合化や合同研修のあり方などについてのフォーカス・グループを実施した。
結果と考察
高齢者に対するケアマネジメントを担っている介護支援専門員が行っているケアマネジメントは、プロセスなどではかなり標準化されて、実施されていることが明らかとなった。サービス決定でのプロセスでは、地域内の事前アセスメントや目標設定の基準を明確に捉えている介護支援専門員が、具体的支援を適切に行っていた。介護支援専門員が研修を受けている内容は、ケアマネジメント論および認知症ケアの割合が多く、次いで、面接技法および権利擁護となっていた。
結論
ケアの統合化においては、障害者特性を配慮しながら行われなければならないが、潜在的な可能性として、現在の介護支援専門員の再教育の徹底を図り、障害者福祉論、社会資源論、地域ケア論、相談援助論、エンパワメント論などの科目の充実を図れば、高齢者および精神障害者のケアマネジメントにおける統合化は可能性が高いと考えられる。その場合、精神保健福祉士に対しても介護支援専門員資格を取得できるように配慮することが求められる。また、その場合に、共通領域を合同研修とし、個別領域に関しては、それぞれの領域別研修を行うように工夫を行い、研修に係る費用の削減と効率的な研修企画を行うことが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200724009B
報告書区分
総合
研究課題名
高齢者と障害者のケアの統合化と効率性に関する政策研究
課題番号
H18-障害-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 進一(大阪市立大学・大学院 生活科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 まり(立命館大学 産業社会学部)
  • 所 道彦(大阪市立大学・大学院 生活科学研究科 )
  • 清水 (丸山) 由香(大阪市立大学・大学院 生活科学研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究においては、地域における高齢者と障害者(精神障害者)に対するケアの共通性から、どのようなケアの統合化が可能であるのかについて2年間の研究を通じて明らかにした。特に、ケアマネジメントの統合化を中心に研究を進め、今後のケアマネジメントのあり方を提示した。
研究方法
アンケート質問紙を用いた量的調査およびインタビューを用いた質的調査を併用しながら本研究を進めた。量的調査における対象者の選択においては、WAMNETなどを活用し、全国の居宅支援事業所、精神障害者関連施設などを抽出し、回答を依頼した。また、インタビューでは、分担研究者が関わっているプログラムなどの職員にインタビューを実施した。さらに、介護支援専門員あるいは精神保健福祉士を長年行っている者にインタビューを行い、研修についての考え方や高齢者および精神障害者ケアマネジメントの統合化や合同研修のあり方などについてのフォーカス・グループを実施した。
 
結果と考察
 設定された研究目的は達成されていると判断した。本研究事業の主な目的は、高齢者と障害者(特に精神障害者)ケア、それに関連するケアマネジメントの統合化の可能性を明確にすることであった。高齢者と障害者のケアマネジメントは、制度で規定されている違いがあるものの、それを実施する者に対する研修体制は統合化できることが本研究で明らかとなった。さらに、本研究では、高齢者ケアマネジメントを担う介護支援専門員の長所および短所、精神障害者のケアマネジメントを担う精神保健福祉士の長所および短所が明らかとなり、その共通点と相違点も明らかとなった。したがって、ストレングス・アセスメントや基本的なケアプラン実施などの共通点に関しては、高齢者・障害者ケアマネジメントの統合化および合同研修を実施することで、効率的なケアマネジメント実施が可能となると考えられる。また、制度、手続き、サービス内容などの相違点においては、それぞれの領域別に研修を行うことも可能であり、また、障害者の高齢化を考慮すると、介護支援専門員も障害領域の知識・技術を習得し、精神保健福祉士も高齢者領域の知識・技術を習得することも視野にいれておくことも意義深いと考えられる。
結論
高齢者および精神障害者のケアマネジメントにおける統合化は可能性が高いと考えられる。その場合、精神保健福祉士に対しても介護支援専門員資格を取得できるように配慮することが求められる。また、その場合に、共通領域を合同研修とし、個別領域に関しては、それぞれの領域別研修を行うように工夫を行い、研修に係る費用の削減と効率的な研修企画を行うことが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-01-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200724009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
高齢者および障害者ケアの統合化あるいはケアマネジメントの統合化についての学術的な議論は、これまであまり行われてこなかった。しかし、障害者の高齢化が生じ、ケアの連続性が必要となってきている。特に、我が国においては、障害者の高齢化が進みつつあり、早急に対応していく必要性があると考えられる。国際的にも、高齢者および障害者ケアおよびケアマネジメントの共通点および相違点を明らかにしていくことが求められており、本研究の学術的な研究意義は高いと考えられる。
臨床的観点からの成果
ケアの統合化においては、障害者特性を配慮しながら行われなければならないが、潜在的な可能性として、現在の介護支援専門員の再教育の徹底を図り、障害者福祉論、社会資源論、地域ケア論、相談援助論、エンパワメント論などの科目の充実を図れば、高齢者および精神障害者のケアマネジメントにおける統合化は可能性が高いと考えられる。
ガイドライン等の開発
ケアの統合化においては、障害者特性を配慮しながら行われなければならないが、潜在的な可能性として、現在の介護支援専門員の再教育の徹底を図り、障害者福祉論、社会資源論、地域ケア論、相談援助論、エンパワメント論などの科目の充実を図れば、高齢者および精神障害者のケアマネジメントにおける統合化は可能性が高いと考えられる。また、本研究に基づいて、ゲイアドラインの作成は可能である。
その他行政的観点からの成果
ケアマネジメントの共通領域として統合化していくことが望ましい。そのことにより、研修教育コストにおけるスターティング・コストの節約ができ、また、体系的で効率的な教育研修を行うことができると考えられる。省内関係部局の調整が可能となれば、本研究の成果は、行政的な観点からも意義深いものと考えられる。
その他のインパクト
日本社会福祉士会等からの問い合わせがあり、報告書を送付した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
日本社会福祉学会等で発表を行った。
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-