急性心筋梗塞症と脳卒中に対する超急性期診療体制の構築に関する研究

文献情報

文献番号
200722060A
報告書区分
総括
研究課題名
急性心筋梗塞症と脳卒中に対する超急性期診療体制の構築に関する研究
課題番号
H19-心筋-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
野々木 宏(国立循環器病センター心臓血管内科)
研究分担者(所属機関)
  • 菊地 研(獨協医科大学 心血管肺内科)
  • 安賀 裕二(国立循環器病センター CCU )
  • 石見 拓(京都大学大学院 医学研究科)
  • 嘉田 晃子(国立循環器病センター研究所 病因部)
  • 横山 広行(国立循環器病センター 緊急部)
  • 豊田 一則(国立循環器病センター 脳血管内科)
  • 長尾 建(駿河台日本大学病院循環器科)
  • 佐瀬 一洋(順天堂大学大学院医学研究科臨床薬理学教室)
  • 山本 保博(日本医科大学 救急医学 高度救命救急センター)
  • 安田 聡(東北大学大学院 医学系研究科)
  • 川村 孝(京都大学大学院 医学研究科)
  • 向仲 真蔵(大阪府済生会千里病院 総合診療部)
  • 角地 祐幸(東海大学八王子病院 循環器内科)
  • 筈井 寛(大阪府三島救命救急センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
31,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、地域医療圏における急性心筋梗塞症と脳卒中発症時に高度医療を時間の遅延なく効果的に提供できる救急医療システムの構築である。
研究方法
1) 臨床疫学的な研究:(1)搬送時間の遅れと予後の関係,2)搬送時間と循環器系死亡率解析:厚生労働省人口統計死亡データの2次利用を行い、高次救急医療施設の地域でGISから算出した搬送時間データと死亡率との関係を解析する。(3)搬送の遅れの要因解析:市民の意識調査、医療従事者の意識調査、実際の罹患症例における発症から入院までの時間の遅れの解析を行う。(4)院外心停止データの解析2)救急医療システムの検討:(1)モバイル・テレメディシン・システムの活用(2)ドクターカーの循環器救急システムへの活用調査研究。3)重症例への対応:低体温療法の標準化と治療抵抗性心室細動に対する薬物治療法の確立。心臓マッサージのみに単純化した蘇生法の教育効果の検証。
結果と考察
1)臨床疫学的検討:(1)急性心筋梗塞症のKillip分類による重症度分類と発症からの時間解析により、死亡例で発症から入院までの時間に遅れがあった。脳梗塞患者は発症時重症度で補正すると、早期来院例が退院時により多く自立していた。(2)広域医療圏は三次施設までの時間が長くなるにつれて死亡率の存在範囲が広くなっていた。都市部では、時間が長くなっても死亡率に大きな変化は認められなかった。(3)一般住民で疾患の正確な理解や緊急時に救急車利用をするものは低率で正しい知識や対応を普及啓発する必要がある。2)救急医療システムの検討:(1)モバイル・テレメディシン・システムの活用をモデル地域において検討した。(2)ドクターカー活用地域での救命率は高度に救急医療システムが発達した欧米諸国を上回るものであり、ドクターカーの積極的運用が功を奏していると考えられる。3)低体温療法のよい適応は、院外心臓性VFで、心拍再開するも昏睡状態にある成人患者であると考えられた。
結論
急性心筋梗塞症や脳卒中に対する根拠に基づく医療の普及・定着を図ることにより、地域で必要とされる医療資源やシステムに対して質の高いエビデンスを提供することが期待される。その結果、我が国において必要とされる地域循環器救急医療のシステム構築に当たり、効果的かつ効率的な循環器救命・治療対策の確立と国際的な標準化に資することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-04-07
更新日
-