2型糖尿病患者のQOL、血管合併症及び長期予後改善のための前向き研究

文献情報

文献番号
200722056A
報告書区分
総括
研究課題名
2型糖尿病患者のQOL、血管合併症及び長期予後改善のための前向き研究
課題番号
H19-循環器等(生習)-一般-022
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山田 信博(筑波大学・大学院人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 森 保道(虎の門病院 内分泌代謝内科)
  • 松久 宗英(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 沖田 考平(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 鈴木 進(太田西ノ内病院 糖尿病センター)
  • 横手 幸太郎(千葉大学大学院医学研究院)
  • 佐藤 麻子(東京女子医科大学 糖尿病センター)
  • 曽根 博仁(お茶の水女子大学大学院人間文化創生研究か)
  • 渥美 義仁(東京都済生会中央病院)
  • 井藤 英喜(東京都老人医療センター)
  • 水流添 覚(熊本大学医学部付属病院)
  • 大橋 靖雄(東京大学大学院医学系研究科)
  • 山下 英俊(山形大学医学部)
  • 石橋 俊(自治医科大学医学部)
  • 及川 眞一(日本医科大学内科学講座)
  • 片山 茂裕(埼玉医科大学内分泌糖尿病内科)
  • 林 登志雄(名古屋大学医学部付属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
48,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生活習慣病の代表格である糖尿病におけるEvidence-based Medicine(EBM)の重要性は高まる一方である。2型糖尿病は世界中でみられるが、病態や合併症には人種や民族による差異がある。現代の糖尿病診療ガイドラインは欧米人患者のエビデンスに基づく部分が大きいが、それらがすべてアジア人患者にも当てはまるかどうかは明らかでなく、日本人を含むアジア人患者の診療や療育指導は、可能であればアジア人患者のエビデンスに基づいて行う方がよい。本研究Japan Diabetes Complications Study (JDCS)は、日本人2型糖尿病患者の病態的特徴や専門施設の診療状況・治療効果を検討し、糖尿病合併症を抑制するためのエビデンスを確立し、患者の生命予後とQOLの改善に貢献することを目的とする。
研究方法
2033人の日本人2型糖尿病患者を対象に、コホート全体の観察により、日本人患者やその診療状況を追跡調査している。また、患者指導を中心とした介入が、コントロール指標改善や合併症抑制に有効かどうかも解析している。各合併症の診断基準は予めプロトコールで定められており、それぞれ専門家の判定委員により判定されている。各種データはコンピューターに入力し、疫学統計の専門家による解析や効果判定を実施各合併症の発症率やリスクファクターの解析を行っている。
結果と考察
本年度の解析では、糖尿病網膜症や腎症の発症や増悪における血糖コントロールの重要性が改めて明らかになったこと、腎症の改善がかなり多くの患者で認められたこと、大血管合併症特に冠動脈疾患のリスクファクターとしてnon HDLコレステロールが有用であったこと、介入の効果が男性のアルコール摂取量や砂糖の摂取量で認められたこと、などが明らかにされた。これまでの中間報告で明らかになった、欧米人患者とは異なる日本人糖尿病患者の特徴、たとえば肥満度や、合併症のリスクファクター、メタボリックシンドロームの臨床的インパクト、アルコール摂取の影響や薬物の感受性などに関する違いと共に、日本人患者における合併症の発症率やリスクファクターな
ど、本研究において初めて明らかにされたものも多い。
結論
わが国の多くの糖尿病専門医・患者ならびに関係者の長年の努力の結晶であるJapan Diabetes Complications Study (JDCS)のデータベースは、これまでも日本人糖尿病のエビデンスを生み出してきたが、今後も多くの解析が予定されており、将来の糖尿病診療に大きく貢献することが期待される。 

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
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