慢性心不全におけるメタボリック症候群の意義に関する研究

文献情報

文献番号
200722029A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性心不全におけるメタボリック症候群の意義に関する研究
課題番号
H18-循環器等(生習)-一般-047
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
下川 宏明(東北大学大学院医学系研究科循環器病態学)
研究分担者(所属機関)
  • 福本 義弘(東北大学大学院医学系研究科循環器病態学 )
  • 筒井 裕之(北海道大学大学院医学系研究科循環器病態学)
  • 代田 浩之(順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学)
  • 友池 仁暢(国立循環器病センター)
  • 松崎 益徳(山口大学大学院器官制御医科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
メタボリック症候群は、内蔵肥満を基盤とし、軽度の高血圧・高脂血症・糖尿病を合併する病態として心血管病の成因に深く関係した病態である。本研究では、慢性心不全におけるメタボリック症候群の意義を明らかにし、メタボリック症候群の治療が慢性心不全の発症予防や治療標的として有用か否かを全国規模の調査研究を通じて明確にし、日本人の特性に留意した真にエビデンスに基づく予防・治療体系の確立を目指す。
メタボリック症候群の重要性は、虚血性心臓病では広く認識されるようになったが、慢性心不全における意義に関しては、まだ明らかにされていない。そこで、本研究では、全国各地の第一線の施設の協力を得て、日本人の慢性心不全におけるメタボリック症候群の意義に関する多施設共同研究を開始した。

研究方法
当初の研究計画は下記のごとく、3研究である.
1.慢性心不全におけるメタボリック症候群の頻度・臨床的特徴に関する研究:平成18?20年度
2.メタボリック症候群患者における慢性心不全の発症に関する研究:平成19?20年度
3.メタボリック症候群を合併した慢性心不全に対する治療介入の意義に関する研究:平成19?20年度

結果と考察
患者登録データに基づいて、メタボリック症候群が心不全増悪因子であることが示されれば、慢性心不全治療におけるメタボリック症候群の治療の重要性が明らかになる。また、慢性心不全の重症度や予後が、メタボリック症候群の有無で違いがあれば、その治療目的がより明確になる。本研究により、早期より効果的に慢性心不全を予防することが可能になり、臨床応用できる極めて有用なエビデンスが得られることが期待される。
結論
実際の臨床現場では、慢性心不全患者は頻繁に入退院を繰り返しており、それが我が国の医療費の高騰をもたらす一因となっている。この問題は臨床上の問題点のみならず、医療経済の観点からも大きな社会問題である。最近日本でもようやく、慢性心不全の効果的治療法や予防法の確立を目的とした大規模な臨床研究が始まろうとしている。従って、本研究は社会的にも意義深いものであり、その研究結果は、今後の心不全医療の質の向上を通じて、患者の予後改善をもたらすとともに医療経済上の効果も期待され、国民医療の増進に大きく寄与することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
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