エネルギー必要量推定法に関する基盤的研究

文献情報

文献番号
200722023A
報告書区分
総括
研究課題名
エネルギー必要量推定法に関する基盤的研究
課題番号
H18-循環器等(生習)-一般-041
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
田中 茂穂(独立行政法人国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム)
研究分担者(所属機関)
  • 高田 和子(独立行政法人国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム)
  • 宮地 元彦(独立行政法人国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム)
  • 佐々木 敏(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 内藤 義彦(武庫川女子大学 生活環境学部)
  • 海老根 直之(大分大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「日本人の食事摂取基準(2005年版)」のエネルギー必要量は、集団・個人レベルでの推定法をはじめ、いくつかの課題を残している。また、「健康づくりのための運動指針2006(エクササイズガイド2006)」における身体活動量の評価法については、十分に標準化されていない。
そこで、エネルギー消費量や身体活動量の推定法を改善・確立し、食事摂取基準のエネルギー必要量や運動基準・指針に資する研究を行う。
研究方法
1)健康な成人男女を対象に、複数の加速度計を装着させた上で、基礎代謝量および計14種類の日常生活活動中のエネルギー消費量を測定した。2)身体活動量質問紙(JALSPAQ)および加速度計を用いた日常生活における身体活動量評価方法の妥当性を、二重標識水法を基準として検討した。3)成人男女を対象に、既存の基礎代謝量推定式の妥当性や新しい推定式を検討した。4)各活動時のエネルギー消費量から、各種体格補正法の問題点を検討した。
結果と考察
1)歩行だけを評価の対象とした従来の加速度計では家事活動などの日常生活活動を評価できないが、アルゴリズム等の工夫によって測定精度が大きく改善することが明らかとなった。これにより、エネルギー消費量の推定に加え、日常生活全般における時間毎の活動強度が評価可能となった。2)生活活動を評価できる3次元加速度計は、一部の対象集団において、二重標識水法を妥当基準とした日常生活のエネルギー消費量を、従来の方法より正確に推定できた。3)体重当たりの基礎代謝量は体重によって異なるため、体重あたりの基礎代謝量を一律に定めている現在の基準値の見直しが必要である。また、既存の基礎代謝量推定式のうち、国立健康・栄養研究所が発表した推定式が最も優れていることが明らかとなった。4)活動時のエネルギー消費量を体重で除すると静的活動において、基礎代謝量や座位安静時代謝量で除すると生活活動や歩行活動において、活動強度の評価が体格に依存する可能性が示唆された。
結論
新しい加速度計により、エネルギー必要量を従来より正確に推定できる方法を提示できたとともに、運動指針における身体活動量評価の妥当基準が確立できた。また、家事活動などの日常生活活動を評価できる加速度計を用いると、従来の方法による総エネルギー消費量の過小評価が解消できたことは、総エネルギー消費量評価におけるこれらの日常生活活動の寄与が大きいことを示唆する。

公開日・更新日

公開日
2008-04-15
更新日
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