食事バランスガイドを活用した栄養教育・食環境づくりの手法に関する研究

文献情報

文献番号
200722022A
報告書区分
総括
研究課題名
食事バランスガイドを活用した栄養教育・食環境づくりの手法に関する研究
課題番号
H18-循環器等(生習)-一般-039
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
武見 ゆかり(女子栄養大学栄養学部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 敏(東京大学大学院医学系研究科)
  • 村山 伸子(新潟医療福祉大学医療技術学部)
  • 松月 弘恵(東京家政学院大学家政学部)
  • 岡田 加奈子(千葉大学教育学部)
  • 福田 吉治(国立保健医療科学院疫学部)
  • 中嶋 康博(東京大学大学院農学生命科学研究科)
  • 大久保 公美(女子栄養大学栄養学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生活習慣病対策のポピュレーションアプローチのツールである「食事バランスガイド」を活用し、3つの栄養教育・食環境づくりプログラムを開発し、その効果検証を行った。
研究方法
Aは、新潟市内の小学校7校を、学校単位で無作為に食事バランスガイドを教材とする健康学習群(4校)と環境学習群(3校)に割付け、平成18年10~11月に介入を実施。学習前、学習直後、1年後の全ての調査に回答した児童,健康学習群141名,環境学習群85名を解析対象とした。
Bでは、スーパーマーケット店舗で食事バランスガイドを活用した食情報提供を実施し、店舗利用者の1年後の食態度・食行動・食物摂取内容等の変化、及びPOSデータからその効果を検証した。子育て世代(30-50歳代)のモニター登録者、介入店舗群292名(男性80、女性212)、比較店舗群372名(男性111、女性261)を解析対象とした。
Cでは、3事業所で肥満男性を対象に、食事バランスガイドに基づく「バランス弁当」と栄養・健康情報のメッセージカードを週3回3ヶ月間、昼食時に提供し、食態度・食行動及び肥満改善への効果を検証した。
主要アウトカムは、AとBは食物摂取内容、Cは体重変化とし、副次的指標として食態度・食行動も測定した。
結果と考察
Aでは、食事バランスガイドのヒモにあたる甘い飲料類の摂取が減少し,その効果は1年後も持続していた。
Bでは、女性で鉄、ビタミンC、葉酸、男性でカロテンの変化量に有意差がみられ、いずれも介入店舗群で摂取量が増加していた。
Cでは、RCTを実施した1つの事業所で介入群(59名)に有意な体重減少がみられた(79.5 → 78.6、P < 0.01)が、対照群(59名)との体重変化量の差は有意水準の境界域だった(P = 0.05)。もう1つのRCTでは、介入群(45名)で変化はなかったが、対照群(45名)に有意な体重増加がみられ(75.6 → 76.7kg、P < 0.001)、変化量に有意差がみられた(P=0.039)。プログラム終了後のフォーカスグループインタビューから、「バランス弁当」の喫食体験が食事の適量理解に役立ったことが示された。
結論
以上から、食事バランスガイドを活用した栄養教育・食環境づくりは、対象特性とライフスタイルに応じた適切なプログラムを提供することで、食物摂取や体重変化に対し、望ましい効果をもたらすことが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2008-08-14
更新日
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