小児期メタボリック症候群の概念・病態・診断基準の確立及び効果的介入に関するコホート研究

文献情報

文献番号
200722015A
報告書区分
総括
研究課題名
小児期メタボリック症候群の概念・病態・診断基準の確立及び効果的介入に関するコホート研究
課題番号
H17-循環器等(生習)-一般-032
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
大関 武彦(浜松医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 知雄(日本大学医学部 小児科)
  • 吉永 正夫(国立病院機構鹿児島医療センター)
  • 朝山 光太郎(東京家政学院大学)
  • 有阪 治(獨協医科大学小児科)
  • 井上 文夫(京都教育大学体育学科)
  • 杉原 茂孝(東京女子医科大学東医療センター)
  • 玉井 浩(大阪医科大学小児科)
  • 花木 啓一(鳥取大学医学部保健学科)
  • 村田 光範(和洋女子大学大学院総合生活研究科)
  • 中川 祐一(浜松医科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
31,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本人小児におけるメタボリックシンドロームの概念・病態の解明から診断基準を確立し効果的な介入方法を決定する。
研究方法
1) 体格値の縦断的・横断的データ収集、2) 健康小児、肥満小児のデータの収集、3)川崎病罹患のリスクに関する研究、4) アデイポサイトカイン、摂食促進・摂食抑制ペプチドの測定、5) 運動(生活)習慣と食習慣の聞き取り調査、6)本症候群の診断基準の確立と病態の解明、7) 介入試験の実施、8)ガイドラインの作成、9) 簡便なコンピュータプログラムの作成を行った。
結果と考察
1)日本人小児に関するエビデンスに基づいた診断基準を提示することができた。すなわち、(1)腹囲の増加(80cm以上)、(2)中性脂肪120 mg/dl以上ないしHDL-コレステロール40 mg/dl未満、(3)収縮期血圧125 mmHg以上ないし拡張期血圧70 mmHg以上、(4)空腹時血糖100 mg/dl以上の項目のうち(1)を必須とし(2)-(4)のうちの2つを含む場合に診断される。これに加え腹囲/身長が0.5以上である場合と小学生の場合は腹囲75cm以上をメタボリックシンドロームと診断する。2)小学5年生約3800人,中学1年生約2900名について、本事業の診断基準で用いられている基準が適切であることが確認された。3)小児期メタボリックシンドロームの頻度についての調査を行った。2.小児期メタボリックシンドロームの病因と病態1)メタボリックシンドロームと血中レプチン、アディポネクチン、ビスファチン、グレリン、11HSD1およびGR等の関連について検討を行った。3)幼児期の生活習慣と身体発育の関連について検討を行った。3.小児期における動脈硬化1)動脈硬化の指標であるPWVおよびFMDについて検討を行った。4.小児期メタボリックシンドロームの効果的な介入の検討1)「家庭体重血圧腹囲測定」を行い、有用性を検討した。2)肥満の小中学生に対して介入を行い、一定の効果をあげることができた。3)学童期の肥満出現頻度が高い地域において、食生活実態調査を行った。4)肥満小児を対象に運動療法と食事療法を併用した減量プログラムを実施した。5)小児期のメタボリックシンドロームのデータベース作成プログラムを作成した。6)本研究事業で策定された小児のメタボリックシンドローム診断基準について啓発ポスター原案を作成した。
結論
本研究事業では日本人小児に関するエビデンスに基づいた診断基準を提示することができた。今後さらに小児における病態、介入の有効性などを明らかにし社会的な貢献へと展開されると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2008-07-02
更新日
-

文献情報

文献番号
200722015B
報告書区分
総合
研究課題名
小児期メタボリック症候群の概念・病態・診断基準の確立及び効果的介入に関するコホート研究
課題番号
H17-循環器等(生習)-一般-032
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
大関 武彦(浜松医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 知雄(日本大学医学部・小児科)
  • 吉永 正夫(国立病院機構鹿児島医療センター)
  • 朝山光太郎(東京家政学院大学)
  • 鮎沢 衛 (日本大学 医学部小児科)
  • 有阪 治(獨協医科大学・小児科)
  • 井上 文夫(京都教育大学体育学科・学校保健)
  • 越後 茂之(えちごクリニック)
  • 内山 聖(新潟大学大学院医歯学総合研究科・小児科学分野)
  • 杉原 茂孝(東京女子医科大学東医療センター・小児科)
  • 玉井 浩(大阪医科大学・小児科学)
  • 長嶋 正實(あいち小児保健医療総合センター)
  • 花木 啓一(鳥取大学医学部保健学科 母性・小児家族看護学講座)
  • 村田 光範(和洋女子大学大学院総合生活研究科)
  • 中川 祐一(浜松医科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
3年間の研究により、日本人小児におけるメタボリックシンドロームの概念・病態の解明から診断基準を確立し効果的な介入方法を決定する。

研究方法
1) 体格値の縦断的・横断的データ収集、2) 健康小児、肥満小児のデータの収集、3)川崎病罹患のリスクに関する研究、4) アディポサイトカイン、摂食促進・抑制ペプチドの測定、5) 運動(生活)習慣と食習慣の聞き取り調査、6)本症候群の診断基準の確立と病態の解明、7) 介入試験の実施、8)ガイドラインの作成、9) 簡便なコンピュータプログラムの作成を行った。
結果と考察
平成17・18年度の研究により、各コホートの研究結果およびそれらの統計的解析を行い、日本人小児(6-15歳)のメタボリックシンドロームの診断基準案を策定した。平成19年度ではこの診断基準案の検証を行い、本邦小児のエビデンスに基づく有用な診断基準であることが確認された。すなわち、(1)腹囲の増加(80cm以上)、(2)中性脂肪120 mg/dl以上ないしHDL-コレステロール40 mg/dl未満、(3)収縮期血圧125 mmHg以上ないし拡張期血圧70 mmHg以上、(4)空腹時血糖100 mg/dl以上の項目のうち(1)を必須とし(2)-(4)のうちの2つを含む場合に診断される。これに加え腹囲/身長が0.5以上である場合と小学生の場合は腹囲75cm以上をメタボリックシンドロームと診断する。
小児期メタボリックシンドロームの日本における有病率は肥満小児の0.5-2.5%であることが明らかとなった。レプチン、アディポネクチン、ビスファチン、グレリン、11HSD1およびGR等の関連について検討を行うとともに幼児期の生活習慣と身体発育の関連について検討を行った。
小児期におけるメタボリックシンドロームと動脈硬化の関連を明らかにするため、その指標であるPWV、FMD、IMT、β-indexなどについて検討した。
小児期メタボリックシンドロームの効果的な介入の検討として肥満の小中学生に対して介入を行った。運動療法と食事療法を併用した減量プログラムが有効であることが示唆され、今後の介入方法の方向性を示すと考えられた。診断と経過観察のためのコンピューターによるプログラム、情報提供のためのポスターなどを作成した。これにより、広く小児のメタボリックシンドロームが理解され、その対策を立てるための支援が可能となると考えられた。
結論
本研究事業では日本人小児に関するエビデンスに基づいた診断基準を提示することができた。今後さらに小児における病態、介入の有効性などを明らかにし社会的な貢献へと展開されると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2008-07-03
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200722015C