受動喫煙対策にかかわる社会環境整備についての研究

文献情報

文献番号
200722002A
報告書区分
総括
研究課題名
受動喫煙対策にかかわる社会環境整備についての研究
課題番号
H17-循環器等(生習)-一般-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
大和 浩(産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 田中勇武(産業医科大学 産業生態科学研究所 労働衛生工学)
  • 大神 明(産業医科大学 産業生態科学研究所 呼吸病態学)
  • 大藪貴子(産業医科大学 産業生態科学研究所 労働衛生工学)
  • 吉積宏治(産業医科大学 産業生態科学研究所 作業病態学)
  • 太田雅規(産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学)
  • 寶珠山務(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
11,059,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
公共交通機関(JR6社と私鉄)の車両の禁煙化率、および、宿泊施設、プロ野球が使用する野球場、国際会議場、地方自治体における建物内禁煙の実態、また、医・歯学部における敷地内禁煙の導入状況を明らかにする。それらの結果に基づき受動喫煙対策の改善を求める要望書を提出することにより、対策が遅れている施設の自主改善を促す。
研究方法
各施設に受動喫煙対策の良否を判定する調査票を郵送し、全ての施設から回答が得られるまで督促を繰り返した。一部の施設に対しては、回答と実態が一致するかどうかを確認するために立ち入り調査も行った。
結果と考察
JR6社の在来線特急では、JR東海と西日本以外の禁煙化率が90%に達した。プロ野球球場は2007年度にあらたに3施設が建物内禁煙、喫煙室の設置をおこなう改善が認められ、13施設のうち7施設は良好な対策となった。敷地内全面禁煙の導入・決定をおこなった医学部は30→40%、附属病院は45→65%、歯学部は21→35%、附属病院は48→55%に改善していた。京都市内の宿泊施設では、禁煙ルームが22%から33%へ、飲食店の全席禁煙は朝食66→82%、昼食17→42%、夕食12→37%と改善していた。国際会議場と地方自治体の庁舎の建物内禁煙の実施状況は遅れていることが認められた。
結論
特定の業種・業界における受動喫煙対策の調査を行い、その結果を公開することは、施設の管理者に受動喫煙対策の自主改善を促す効果があることが示唆された。また、喫煙しにくい社会環境を整備することにより受動喫煙を受ける非喫煙者が減少し、同時に、禁煙を決意する喫煙者が増えることが期待でき、わが国における喫煙関連疾患を減少させる上で重要な調査研究であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-

文献情報

文献番号
200722002B
報告書区分
総合
研究課題名
受動喫煙対策にかかわる社会環境整備についての研究
課題番号
H17-循環器等(生習)-一般-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
大和 浩(産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 田中勇武(産業医科大学 産業生態科学研究所 労働衛生工学)
  • 大神 明(産業医科大学 産業生態科学研究所 呼吸病態学)
  • 大藪貴子(産業医科大学 産業生態科学研究所 労働衛生工学)
  • 吉積宏治(産業医科大学 産業生態科学研究所 作業病態学)
  • 太田雅規(産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学)
  • 寶珠山務(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「たばこ規制に関する世界保健機関枠組み条約」では、第8条で「たばこの煙にさらされることからの保護」を締約国に対して求めている。わが国の受動喫煙対策に関する社会環境についてサーベイランスを行い、かつ、その推進について介入していくことを目的とした。
研究方法
まず、喫煙コーナー、喫煙室、建物内禁煙の受動喫煙対策を取っている施設において、粉じん濃度の測定をおこなうことで、その対策の効果について判定をおこなった。次に、特定の業種・業界に対して受動喫煙対策に関する調査票を郵送し、全ての施設から回答が得られるまで督促を行った。一部の施設については、回答と実態が一致するかどうかについての立ち入り調査を行った。調査結果から、その業種・業界における受動喫煙対策の平均的な内容とベストプラクティスをまとめ、各施設にフィードバックを行った。
結果と考察
複数年の観察および調査結果のフィードバックが可能であった公共交通機関(新幹線、JR6社の在来線特急)の車両の禁煙化率、医・歯学部と附属病院の敷地内禁煙導入状況、宿泊施設の禁煙ルームの割合と全席禁煙である施設内飲食店の割合、プロ野球球場の喫煙コーナーの廃止状況、には大幅な推進がみられた。最終年度に断面調査を行った国際会議場、地方自治体の建物内禁煙の導入状況は遅れていた。
結論
特定の業種・業界における受動喫煙対策の調査を行い、その結果を公開することは、施設の管理者に受動喫煙対策の自主改善を促す効果があることが示唆された。喫煙しにくい社会環境を整備することにより受動喫煙を受ける非喫煙者が減少し、同時に、禁煙を決意する喫煙者が増えることが期待されることから、わが国における喫煙関連疾患を減少させる上で重要な対策であると考えられた。本研究の結果はホームページに公開されており、今後もわが国の受動喫煙対策の推進に貢献できるものと思われた。
http://www.tobacco-control.jp/


公開日・更新日

公開日
2008-04-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-04-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200722002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
JR、私鉄、タクシーなどの公共交通機関、宿泊施設、大型遊戯施設の禁煙化が進んだことにより、利用者だけでなくそこで働く従業員の高い濃度の受動喫煙が解消された。また、医・歯学部と附属病院の敷地内禁煙が進んだことにより、患者で禁煙を決意する人が増加し、また、そこで働く医療関係者で禁煙を決意する者が増えたと思われる。
臨床的観点からの成果
日常生活で受動喫煙に曝露される場所の受動喫煙対策が進んだことにより、受動喫煙による健康障害が減少し、また、そこで働く喫煙者にとっては喫煙しにくい環境となったことにより、禁煙を決意する者を増やす効果が発生したことが考えられた。
ガイドライン等の開発
日本学術会議による要望書「脱タバコ社会の実現に向けて」(2008年3月4日)に医・歯学部の敷地内禁煙の調査結果が引用。
禁煙ガイドライン(Circulation Journal, vol. 69, suppl IV, 2005)にJRの列車内における受動喫煙調査結果が引用。
その他行政的観点からの成果
「タクシー乗務員の受動喫煙訴訟」の担当裁判官に対して先行研究を基に2005年5月に意見書を提出し、「タクシーは全面禁煙化が望ましい」というコメントが得られ、全国のタクシーの全面禁煙化に貢献。
その他のインパクト
JR在来線特急、新幹線、医・歯学部、宿泊施設、プロ野球球場の調査結果は、それぞれ数回にわたり新聞、ネット記事として取り上げられ、施設管理者に対する自主改善の動きを促進した。
日本学術会議が主催する公開シンポジウム「脱タバコ社会の実現に向けて」のシンポジストとして、本研究結果を発表。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
7件
その他論文(英文等)
2件
産業医科大学 国際シンポジウム
学会発表(国内学会)
17件
日本産業衛生学会、日本公衆衛生学会など
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件
禁煙ガイドライン、日本学術会議「脱タバコ社会の実現に向けて」

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-