悪性胸膜中皮腫の病態の把握と診断法、治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200721017A
報告書区分
総括
研究課題名
悪性胸膜中皮腫の病態の把握と診断法、治療法の確立に関する研究
課題番号
H18-がん臨床-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
金子 昌弘(国立がんセンター中央病院内視鏡部)
研究分担者(所属機関)
  • 江口 研二(帝京大学医学部内科学講座)
  • 浅村 尚生(国立がんセンター中央病院肺外科)
  • 松野 吉宏(北海道大学病院病理部)
  • 軒原 浩(国立がんセンター中央病院第一領域外来部肺科)
  • 楠本 昌彦(国立がんセンター中央病院放射線診断部)
  • 岸本 卓巳(岡山労災病院副院長)
  • 井内康輝(広島大学大学院医師薬総合研究科病理学)
  • 西本 寛(国立がんセンターがん対策情報センター)
  • 柿沼 龍太郎(国立がんセンターがん予防・検診研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
172,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 悪性胸膜中皮腫(Malignant Pleural mesothelioma:MPM)の確実な検診と治療法を普及させ、本疾患による死亡の増加に歯止めを掛け、また一般住民の不安を解消することを目的として研究を行う。
研究方法
1) MPMに関する内外の信頼できる文献の検索により、現状での一般的な知見を整理し分析を行なう。
2)MPM発生の現状と治療方法および予後の現状を把握するために、前向きに症例を登録し病理的、臨床的、疫学的な分析を行なう。
3)低線量CTでのアスベスト関連疾患検診システム(Japan general screening for asbestos-related diseases: JG SARD)を構築し、一般住民に検診を行い、その所見と問診データの対比検討を行う。
4)より簡便かつ確実に診断するための血液や胸水等のマーカーや、遺伝子の異常についての分析を行う。
5)精密検査画像所見の解析と、指摘された異常部位からの適確な標本の採取技術の標準化についての検討と技術開発を行う。

倫理面への配慮
 MPMの前向き症例登録も、JG SARDにおいても、中央にデータを送る際には匿名化が行なわれているので、研究者には個人の同定は不可能になっている。
結果と考察
 診療ガイドラインについては、新たな信頼できる大規模な研究成果は未だ発表されていない。
 MPM症例の全国的な前向き登録に関しては、病理所見や画像所見と治療内容と予後を比較することにより、病態に応じた適切な治療方法が確立できると考えられる。
 一般住民に関する低線量CT検診については、今後の検診方法を定めるためにも非常に有用なデータになると思われる。
腫瘍マーカーや遺伝子に関しては客観的な検査なので全国で一律に同一の基準で検査を行なうことが可能になる。
 診断技術の研究としては、より安全で確実な検体採取方法とその検体の取り扱い方法の確立が重要である。
画像診断に関しても、専門医の肉眼的な判定だけではなく、数値的な分析や、診断支援システムの開発も必要になると思われる。
結論
 MPMに関しては、早期発見法および治療方法は確立していない。前向きな検討と、一般市民の検診所見とを統合することで、本疾患の分布状況と自然史が明らかになり、早期発見、診断と治療法が確立し、MPMによる死亡数増加に対して歯止めを掛けることが可能になる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-