バイオマーカーを導入した原発性乳癌の集学的治療アルゴリズムの構築と意思決定過程の定式化に関する研究

文献情報

文献番号
200720010A
報告書区分
総括
研究課題名
バイオマーカーを導入した原発性乳癌の集学的治療アルゴリズムの構築と意思決定過程の定式化に関する研究
課題番号
H18-3次がん-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
戸井 雅和(京都大学医学部附属病院乳腺外科)
研究分担者(所属機関)
  • 冨田 勝(慶応義塾大学環境情報学部先端科学研究所)
  • 内藤 泰宏(慶応義塾大学環境情報学部先端科学研究所)
  • 近藤 正英(国立大学法人筑波大学人間総合科学研究科ヒューマン・ケア科学保健医療政策学分野)
  • 古田 榮敬((財)がん集学的治療研究財団)
  • 稲本 俊(財団法人田附興風会医学研究所 北野病院)
  • 笹野 公伸(東北大学医学研究科病理診断学分野)
  • 林 慎一(東北大学大学院医学系研究科・保健学専攻基礎検査学医科学講座・分子機能解析学分野)
  • 黒井 克昌(東京都立駒込病院臨床試験科外科)
  • 石濱 泰(慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
34,280,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国における乳癌罹患患者数は急速に増加しており、今後も増加は続くと予測される。医療の高度先進性を維持しつつ患者予後を向上し、生活の質を高め、同時に経済効率性を追求するには、治療の個別化を加味した診療パラダイムが必要になる。本研究では、予後、治療効果を予測するバイオマーカーを診療アルゴリズムに導入、臨床的な意思決定過程を定式化して、医療の個別化、診療上ならびに経済的効率性の向上を図ることを目的とした。
研究方法
ホルモン療法・化学療法・分子標的治療の効果予測に関するバイオマーカー研究を行った。非浸潤性乳癌のホルモン依存性の検討、術前ホルモン療法施行例でのエストロゲン応答性遺伝子群を用いた効果予測、血液材料を用いたプロテオミクス研究を行った。化学療法の効果予測におけるホルモン受容体、HER2、topoisomerase-IIの有用性に関する研究、抗HER2療法に関して、HER family蛋白発現解析、リン酸化プロテオミクスを用いた検討、また、21遺伝子シグナチャーに関する検討を行った。
実地診療データベースを基に、腋窩リンパ節転移予測、術前化学療法の効果予測に関する数理モデルを検討した。
遺伝子シグナチャー、化学予防等について医療経済効率性を検討した。
結果と考察
- 組織内E2, 5α-DHT等が初期乳癌のホルモン依存性マーカーになることが見出された。
- HDAC6, IGFBP4,EGR3等がホルモン療法の効果予測に有用であった。
-血液プロテオミクス研究からホルモン療法効果予測ピークを同定した。
- HER2蛋白総発現量、2量体発現量、リン酸化HER2発現量が抗HER2療法効果予測に有用であった。リン酸化プロテオーム解析からE2刺激経路とEGFR伝達経路の交絡性が見出された。
-術前化学療法の効果予測に、ERとHER2の組み合わせが有用であり、topoisomerase IIの有用性も確認された。
-腋窩リンパ節転移の予測、術前化学療法の効果予測のための数理モデルを作成し、ソフト開発を行った。
- 21遺伝子シグナチャーは費用対効果に優れ、検査費用によっては医療費減にもつながる可能性が示された。ホルモン療法を用いた乳癌予防は,高リスク者において費用対効果に優れることが明らかになった。
結論
緻密で最適化された個別化医療を可能とする集学的診療アルゴリズムを構築し、医療効率、経済的効率を同時に高めることが可能である。

公開日・更新日

公開日
2008-05-01
更新日
-