法制化後の小児慢性特定疾患治療研究事業の登録・管理・評価・情報提供に関する研究

文献情報

文献番号
200719021A
報告書区分
総括
研究課題名
法制化後の小児慢性特定疾患治療研究事業の登録・管理・評価・情報提供に関する研究
課題番号
H19-子ども-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
倉辻 忠俊(国立成育医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 原田 正平(国立成育医療センター研究所)
  • 掛江 直子(国立成育医療センター研究所)
  • 武井 修治(鹿児島大学医学部保健学科)
  • 内山 聖(新潟大学大学院医歯学総合研究科内部環境医学講座小児科学分野)
  • 藤枝 憲二(旭川医科大学小児科)
  • 伊藤 善也(日本赤十字北海道看護大学基礎科学講座)
  • 小池 健一(信州大学医学部附属病院小児科)
  • 有賀 正(北海道大学大学院医学研究科病態制御学専攻生殖発達講座小児科学分野)
  • 西牧 謙吾(国立特殊教育総合研究所教育支援研究部)
  • 柳澤 正義(日本子ども家庭総合研究所)
  • 別所 文雄(杏林大学医学部小児科)
  • 森川 昭廣(群馬大学大学院医学系研究科小児生体防御学)
  • 杉原 茂孝(東京女子医科大学東医療センター小児科)
  • 伊藤 道徳(国立療養所香川小児病院)
  • 飯沼 一宇(石巻赤十字病院)
  • 松井 陽(国立成育医療センター病院)
  • 斉藤 進(日本子ども家庭総合研究所母子保健研究部)
  • 柳川 幸重(帝京大学医学部小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児慢性特定疾患(小慢)事業による患児及び家庭の福祉改善のため、法制化前後の登録状況の分析、各疾患群の影響等を明らかにし、医療政策提言することを目的とする。
研究方法
全国の小慢事業実施主体から厚生労働省に送付された電子データ(平成10-18年度)を集計し点検、データクリーニングの上、分担研究者に担当関連データを送付、分担研究者はこのデータに加えて医療機関等への質問紙調査、フォロアップや他のデータベース等の組み合わせにより解析を行った。
結果と考察
法制化で疾患名を変更した疾患、疾患定義に病理組織診断や重症度を取り入れた疾患いついて登録数の減少の原因は、あいまい診断例や軽症例が除外されたことにより、医療助成の観点からはより必要な疾患に集中したことを明らかにし、また医学的精度はより高いものとなった。心疾患は川崎病の減少に伴い、先天性心疾患の割合が増加した。悪性新生物は、診断・治療法の改善により、年齢分布と経年変化・長期予後との関連で、小慢対象年齢・所得などからくる問題点が生じることを指摘した。腎疾患児の肥満頻度の解析で、学校生活管理指導区分の生活制限との関連が明らかにした。喘息は基準の変更から登録数が大幅に減少し、逆に慢性呼吸器疾患の重要性が増した。糖尿病は法制化により細分類され、治療との比較検討を行った結果、コントロール状態の悪化が明らかとなり、対策を提言した。先天代謝異常症は、早期に発症或は診断される症例が多く、乳幼児医療費補助事業に登録される場合が多い。患者数の推定には2つの異なるデータベースを用いたCapture-recapture法が有用である。新生児マススクリーニング以外で発見された甲状腺疾患の診断にfT4測定が有用である。疾患により登録の際の記載事項について追加事項を、小慢疾患児への教育的支援につき、教育と医療の連携方法を提言した。
結論
法制化前および後に、小慢事業に登録された11疾患群514疾患、延べ968,352人分の電子データを集計・解析を行った。小児の医療福祉事業の適切な展開のため、データクリーニング、またさらに別のデータベースを組み合わせて分析する必要がある。除外された軽症例については、当該疾患の専門学会で検討する必要もある。全体の登録状況は国立成育医療センター研究所のホームページ、各疾患群に関しては関連学会あるいは研究室のホームページに掲載、重要検討事項は報告書に記載の上母子保健課と協議した。

公開日・更新日

公開日
2008-12-12
更新日
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