文献情報
文献番号
200719007A
報告書区分
総括
研究課題名
乳幼児突然死症候群(SIDS)における科学的根拠に基づいた病態解明および臨床対応と予防法の開発に関する研究
課題番号
H17-子ども-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
戸苅 創(公立大学法人名古屋市立大学大学院医学研究科新生児・小児医学分野)
研究分担者(所属機関)
- 高嶋 幸男(国際医療福祉大学大学院)
- 中山 雅弘(大阪府立母子総合医療センター検査科)
- 的場 梁次(大阪大学大学院医学系研究科法医学)
- 横田 俊平(横浜市立大学大学院医学研究科発生成育小児医療学)
- 市川 光太郎(北九州市立八幡病院救命救急センター)
- 北島 博之(大阪府立母子総合医療センター新生児科)
- 中川 聡(国立成育医療センター手術集中治療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
7,710,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成16年度厚生労働省研究班(主任研究者:坂上正道)にて作成された「乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するガイドライン」によりSIDSなる疾患の概念が確立された。本研究事業においてはこのガイドラインの普及を目的としたパンフレットの作成、それに基づいた臨床現場での理想的な対応の構築、SIDSの病態解明および予防法の確立を目的として研究を行った。
研究方法
これまでに「乳幼児突然死症候群 (SIDS)に関するガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/04/h0418-1.html)と、「解剖による乳幼児突然死症候群 (SIDS)診断の手引き」を作成したが、今年度はこれに診断フローチャート図(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken06/index.html)と解剖医がより精度の高い解剖を実施できるよう臨床所見等のチェックリストを添付したパンフレットを作成し、全国医療機関に配布した。配付されたパンフレットの活用状況を調査するためアンケート調査を行った。科学的根拠に基づいた病態解明ならびに予防法の確立に向けた研究として、睡眠中の呼吸循環生理学的検討、神経病理を含めた病理組織学的検討、急性脳症、窒息および代謝性疾患との鑑別方法についての検討、家族への啓発方法、予防法の開発を念頭においた無呼吸を呈するウィルス感染症についての検討を行った。
結果と考察
全国の医療機関に対するアンケート調査では診断の手引き/問診・チェックリストの使用や有用性では過半数が認める結果であったが、今後の課題として解剖の承諾が得られにくいことから、乳児突然死の診断システムを構築すべきとの意見がみられ、法医解剖結果のフィードバック体制を確立して、臨床と法医との連携体制を作ることが期待されている。SIDSの病態には覚醒反応の欠如などの中枢神経系異常、呼吸循環調節系の発達的異常が関与する可能性が示唆された。乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防に対しては適切な保育環境が重要であり、分娩を扱う医療機関での積極的な啓発活動が期待された。予防法およびモニタリングの可能性については引き続き検討が必要である。
結論
全国医療機関に配布したパンフレットの啓発、および一般社会へのSIDSの啓発により本疾患に対するさらなる理解が得られるものと期待される。SIDSが正確に診断されることはSIDSの病態解明および予防法の確立を研究していくうえで非常に重要なことと考えられる。
公開日・更新日
公開日
2008-08-26
更新日
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