安全・安心な母子保健医療提供体制整備のための総合研究「子どもの病気に関する包括的データベース(難治性疾患に関する疫学研究データベース等を含む)の構築とその利用に関する研究」

文献情報

文献番号
200719005A
報告書区分
総括
研究課題名
安全・安心な母子保健医療提供体制整備のための総合研究「子どもの病気に関する包括的データベース(難治性疾患に関する疫学研究データベース等を含む)の構築とその利用に関する研究」
課題番号
H17-子ども-一般-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
原田 正平(国立成育医療センター研究所 成育政策科学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 藤本 純一郎(国立成育医療センター研究所 副所長)
  • 加藤 忠明(国立成育医療センター研究所 成育政策科学研究部)
  • 中村 好一(自治医科大学 公衆衛生学部門)
  • 山口 清次(島根大学 医学部 小児科)
  • 松原 洋一(東北大学大学院 医学系研究科 遺伝病学)
  • 松井 陽(国立成育医療センター 病院長)
  • 根東 義明(東北大学大学院 医学系研究科 医学情報学)
  • 山野邉 裕二(国立成育医療センター病院 医療情報室)
  • 芳野 信(久留米大学 医学部 小児科)
  • 坂本 なほ子(国立成育医療センター研究所 成育社会医学研究部)
  • 掛江 直子(国立成育医療センター研究所 成育政策科学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
39,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「子どもの病気に関する包括的データベース(DB)構築」という最終目標に対し、平成19年度は、1)小児科の各専門学会が必要としているDBを調査し、国立成育医療センター内の症例情報DBを利用した、より効率的なDB構築を提言する、2)インターネットや電子カルテを利活用し、より効率的で精度の高い情報収集、情報提供システムを提言する、3)電子情報利用の取り決めを公的に定める、4)データベース構築への社会的支援の具体案を提言する、という目的で研究を行った。
研究方法
1.各種の成育難治性疾患患児から採取された検体保存システム構築。2.倫理的・法的諸問題の研究。3.疫学的検討。4.専門医の診断ネットワークシステムを活用した特殊検査・診断体制維持の研究。5.新しい新生児・乳幼児マススクリーニング(MS)対象疾患の登録等システムの構築。6.新生児MS検査済み乾燥濾紙血液検体の長期保存と目的外使用に関する研究。7.子どもの病気に関するインターネットを利用した情報提供。8.第19回川崎病全国調査結果とWeb上に構築した川崎病迅速報告システムの実証実験。9.小児慢性特定疾患治療研究事業(小慢事業)とそれ以外の登録システムの統合研究。10.症例情報DB構築の実際。11.成育医療の各専門分野との連携に関する研究。12.メディカルセルの意義に関する研究。13.電子カルテシステムのデータ入出力機能の現状と展望。
結果と考察
平成10-18年度の延べ968,352件の小慢事業医療意見書電子情報を、「症例情報DB」に取り込んだ。重複症例、転入症例を排除するようにデータクリーニングを行った。1)国立成育医療センターの各診療科と専門学会との連携がいくつか進展をみせた。2)インターネットや電子カルテの利活用については、複数のWebサイトを構築し、情報提供の促進をはかり、また「川崎病迅速報告システム」が稼働し始めたなど、この面でも進展が見られた。3)電子情報利用の取り決めを公的に定める、4)データベース構築への社会的支援の具体案を提言する、という点は十分な検討が行えず、今後の課題と考えられた。
結論
国立成育医療センター内に構築した「症例情報DB」を基盤に、複数のDBの統合、DBの精度の向上を図り、また複数のWebサイトにより情報収集、情報提供を促進した。今後は、情報提供のルール化、電子カルテとの連携といった課題の解決が問題となる。

公開日・更新日

公開日
2008-10-09
更新日
-

文献情報

文献番号
200719005B
報告書区分
総合
研究課題名
安全・安心な母子保健医療提供体制整備のための総合研究「子どもの病気に関する包括的データベース(難治性疾患に関する疫学研究データベース等を含む)の構築とその利用に関する研究」
課題番号
H17-子ども-一般-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
原田 正平(国立成育医療センター研究所 成育政策科学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 松井 陽(国立成育医療センター病院長 )
  • 藤本 純一郎(国立成育医療センター研究所副所長)
  • 加藤 忠明(国立成育医療センター研究所 成育政策科学研究部)
  • 掛江 直子(国立成育医療センター研究所 成育政策科学研究部)
  • 松原 洋一(東北大学大学院 医学系研究科 遺伝病学)
  • 山口 清次(島根大学 医学部 小児科)
  • 中村 好一(自治医科大学 公衆衛生学部門)
  • 芳野 信(久留米大学 医学部 小児科)
  • 根東 義明(東北大学大学院 医学系研究科 医学情報学)
  • 山野邉 裕二(国立成育医療センター 医療情報室)
  • 坂本 なほ子(国立成育医療センター研究所 成育社会医学研究部)
  • 秦 順一(前・国立成育医療センター総長)
  • 高山ジョン一郎(国立成育医療センター病院 総合診療部)
  • 加藤 則子(国立保健医療科学院 生涯保健部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
子どもと家族が安全に安心して暮らせる社会を維持し、健全な次世代の育成を図るための、科学的根拠に基づく政策決定(evidence-based policy making)の基盤として、「子どもの病気に関する包括的データベース(DB)」を構築することが必要と考えられた。小児慢性特定疾患治療研究事業(小慢事業)により集積された医療意見書を経年的に照合したDBの構築を中核とし、それに既存・新規の種々の疾患DBを統合していく仕組みが適切であるという作業仮説を立て、本研究を行った。
研究方法
1.小慢事業の医療意見書を経年照合した「症例情報DB」構築。2.各種の成育難治性疾患患児からの検体を体系的に保存するシステム構築。3.包括的データベース構築およびその利活用における倫理的・法的諸問題。4.専門医の診断ネットワークシステムの活用。5.新しい新生児・乳幼児マススクリーニング(MS)対象疾患の管理システムの構築。6.川崎病疫学全国調査施行とWeb上の川崎病迅速報告システム構築。7.新生児MS検査済み乾燥濾紙血液検体の長期保存・目的外使用の研究。8.メディカルセルと研究用データベース構築。9.電子カルテ内での小児疾患登録機能の統合に関する研究。10.疫学的検討。11.成育コホート。12.新生児MS陽性者追跡と精度保証体制確立。13.子どもの病気に関するインターネットを利用した情報提供。
結果と考察
子どもの病気に関する包括的DBのプロトタイプとして、11疾患群504疾患を対象とした小慢事業に申請され、当該自治体で電子化された医療意見書を基にして、個々の登録例の複数の電子情報を経年的に連結することで精度を高めた「症例情報DB」を国立成育医療センターのサーバー内に構築した。今後の課題の一つは、「メディカルセル」という医療医学知識の情報単位という考え方をさらに発展させること、電子カルテからの小慢医療意見書への情報抽出は、早急に解決すべき課題と考えられる。 
結論
「子どもの病気の包括的データベース」として、電子化された小慢事業の医療意見書を基にした「症例情報DB」を国立成育医療センター内に構築した。複数のDBの統合、DBの精度の向上、情報提供のルール化、電子カルテとの連携といった課題は残されているが、小児の慢性疾患の有り様をおよそ俯瞰できる、一種の包括的DBが構築できたものと考える。

公開日・更新日

公開日
2008-08-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200719005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
大規模データベース(DB)の欠点である個別症例の登録精度向上のために、標識再補法(Capture-recapture method)を自動化したプログラムを組み込むことで、複数の情報源からなる包括的DB構築が可能であることを示した。
臨床的観点からの成果
小児慢性特定疾患治療研究事業の医療意見書を平成10~18年度までののべ968,352件について、経年的に照合してデータベース(DB)化することで、個別の症例の長期経過を追うことのできる「症例情報DB」を構築した。このDBを利用することで、多くの小児慢性疾患の長期予後が、短期間にかつ少ない費用で調査できることが示された。
ガイドライン等の開発
ガイドライン等の作成には未だ至っていない。
その他行政的観点からの成果
行政施策への反映などにも未だ至っていない。
その他のインパクト
情報公開のためのホームページを複数作成した。1)こども健康倶楽部(http://kodomo-kenkou.com/default/index)、2)川崎病迅速報告システム(http://www.kawasaki-disease.net/kawasakidata/)、3)抄録管理システム、4)全国禁煙情報データベース、5)小児慢性特定疾患治療研究事業の説明。

発表件数

原著論文(和文)
15件
原著論文(英文等)
58件
その他論文(和文)
23件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
67件
学会発表(国際学会等)
21件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
5件
ホームページ5種類。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
顧艶紅、加藤忠明、原田正平、他
日本のMenkes病に関するTwo-source capture recapture methodを用いた発症率の検討
日本先天代謝異常学会雑誌 , 22 (1) , 84-87  (2006)
原著論文2
M HIratsuka, A Ebisawa, K Sakuyama, et al.
Competitive allele-specific short oligonucleotide hybridization (CASSOH) with enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) for the detection of pharmacogenetic single nucleotide polymorphisms (SNPs)
J Biochem Biophys Methods , 67 , 87-94  (2006)
原著論文3
H Yanagawa, Y Nakamura, M Yashiro, et al.
Incidence of Kawasaki disease in Japan: the nationwide surveys of 1999-2002
Pediatrics International , 48 , 356-361  (2006)
原著論文4
F Kamada, S Kure, T Kudo, et al.
A novel KCNQ4 one-base deletion in a large pedigree with hearing loss: implication for the genotype-phenotype correlation
J Hum Genet , 51 , 455-460  (2006)
原著論文5
T Niihori, Y Aoki, Y Narumi, et al.
Germline KRAS and BRAF mutations in cardio-facio-cutaneous syndrome
Nature Genetics , 38 (3) , 294-296  (2006)
原著論文6
H Kobayashi, Y Hasegawa, M Endo, et al.
A retrospective ESI-MS/MS analysis of newborn blood spots from 18 symptomatic patients with organic acid and fatty acid oxidation disorders diagnosed either in infancy or in childhood
J Inherit Metab Dis  (2007)
原著論文7
H Kobayashi, Y Hasegawa, E Endo, et al.
ESI-MS/MS study of acylcarnitine profiles in urine from patioents with organic acidemias and fatty acid oxidation disorders
Journal of Chromatography B , 855 , 80-87  (2007)
原著論文8
J Kanno, S Kure, A Narisawa, et al.
Allelic and non-allelic heterogeneities in pyridoxine dependent seizures revealed by ALDH7 A1 mutational analysis
Mol Genet Metab , 91 , 384-389  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-06-11
更新日
2016-05-20