アルツハイマー病発症と進展の客観的評価法確立のための多施設縦断臨床研究:J-ADNIコアスタディ

文献情報

文献番号
200718075A
報告書区分
総括
研究課題名
アルツハイマー病発症と進展の客観的評価法確立のための多施設縦断臨床研究:J-ADNIコアスタディ
課題番号
H19-長寿-一般-024
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
岩坪 威(東京大学大学院薬学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 朝田 隆(筑波大学 臨床医学系)
  • 荒井 啓行(東北大学 加齢医学研究所)
  • 山田 正仁(金沢大学 医学部)
  • 松田 博史(埼玉医科大学 医学部)
  • 佐藤 典子(国立精神神経センター)
  • 伊藤 健吾(国立長寿医療センター)
  • 桑野 良三(新潟大学脳研究所)
  • 井原 康夫(同志社大学生命医科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
29,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
AD根本治療薬の有効性を評価し速やかに実用化するには、疾患の本質過程に直結したサロゲートマーカーの制定が不可欠である。このためにADNI研究では世界統一のプロトコールを用いて、MRIやPETデータの長期的変化に関する一定の基準値を作るための方法論を確立し、根本治療薬の臨床治験に役立てることが本研究の目的である。

研究方法
臨床コアの朝田は利根町コホートを場として、複数の心理検査バッテリーを用いた認知症臨床症状評価の最適化について検討を行った。同・荒井は従来本邦での定版の存在しなかったCDRにつき、J-ADNIにおける遂行方法につき検討を加えた。山田はPETと臨床評価を併用したADの臨床総合評価法を検討した。桑野はADおよびコントロール被験者血漿中のアミロイドβをELISA測定し、その診断的意義につき検討を加えた。松田はMRIによる脳撮像のゆがみ補正法につき検討した。伊藤は多施設PET研究における標準化撮像体制について検討した。佐藤は画像・臨床データを集積するデータベースを策定、設立した
結果と考察
朝田らは高齢者の大規模集団におけるデータを用いて、4つの主要テストについて標準化を行った。荒井らはCDRの日本語への翻訳を完成し、J-ADNIにおける施行方法を確定した。桑野、井原らはAD, MCIのバイオマーカーとして血漿アミロイドβ40、42の意義を検討した。山田らはアルツハイマー病(AD)の早期診断における頭部MRI,脳血流SPECT,FDG-PET,脳脊髄液マーカー検査の有用性を比較検討した.伊藤はPETコア主任として研究実施計画の策定、関連マニュアルの作成などを行い、研究体制を確立した。松田はMRI撮像シーケンスを検討し、MPRAGEに統一した。佐藤はITコア主任としてデータベースを構築した。従来米国版とのcompatibilityが問題であった各種の神経心理学的バッテリーの整備、機種間較差の問題となるMRI, PETの撮像法標準化、データベースの確立、そして全国共同研究体制が確立され、J-ADNI臨床研究の実施に必要な基盤が完全に確立・整備されたものと考えられる。

結論
画像・体液バイオマーカーを駆使したADの進行度マーカーを確立するJ-ADNI研究の遂行が本邦においていよいよ可能となった。

公開日・更新日

公開日
2008-12-14
更新日
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