高齢者の腰痛に及ぼす脊柱変性、生活習慣要因および生活習慣病の影響と相互作用の解明

文献情報

文献番号
200718045A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の腰痛に及ぼす脊柱変性、生活習慣要因および生活習慣病の影響と相互作用の解明
課題番号
H18-長寿-一般-037
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
中村 利孝(産業医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉田 英世(東京都老人総合研究所)
  • 細井 孝之(国立中部病院先端研究部)
  • 井上 聡(東京大学大学院医学系研究科)
  • 斎藤 充(東京慈恵会医科大学)
  • 藤原 佐枝子(放射線影響研究所)
  • 吉村 典子(東京大学大学院医学系研究科)
  • 青柳 潔(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 白木 正孝(成人病診療研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
15,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、高齢者の腰痛に及ぼす脊柱変形、生活習慣要因および生活習慣病の影響を明らかにし、高齢者の腰痛の危険因子を包括的に検討すること、さらに、生活習慣やこれらの代謝異常への介入が腰痛発生にどのような効果があるかを検討することである。
研究方法
本年度は、総括研究として多施設共同研究を行った。肥前大島、広島、和歌山、長野、秋田、宇都宮の6つの各コホートにおける50歳以上の男女高齢者のデータより腰痛と身体要因、生活習慣要因、生活習慣病などの共通項目を抽出しデータベースを作成し、ロジスティック回帰分析にて検討した。さらに男女別、50-65歳までの層、65-75までの前期高齢者層、75歳以上の後期高齢者層で分けて腰痛に関与する因子を検討した。対照として日立コホートにおける65歳未満の勤労者のデータを用いた。
結果と考察
多施設共同研究では、高齢者では2868名(男性584名、女性2284名)が勤労者では46,950名(男性39,084人、女性7,866人)のデータが集積された。腰痛有訴率は勤労者が15-20%であるのに対し高齢者では30-70%と高齢になるに従い、腰痛有訴率の上昇がみられた。腰痛に関連のある要因は、高齢者では、性別、年齢に加え生活習慣要因として飲酒、喫煙が、生活習慣病では骨粗鬆症が独立して関連することがわかった。男女別でみると男性では、年齢、喫煙と骨粗鬆症が腰痛有訴率に関連する項目であり、女性では、年齢、喫煙、飲酒、骨粗鬆症が有訴率に関連のある項目であった。また、各世代別で検討すると、50-65歳の層ではBMI、喫煙、糖尿病、骨粗鬆症が腰痛有訴率に関連する因子であり、65-75歳の前期高齢者層では、性、喫煙、飲酒、骨粗鬆症が、そして75歳以上の後期高齢者層では、性と骨粗鬆症のみが関連する因子となり、骨粗鬆症の有無は全ての層で腰痛に関連する因子であったが、その他は各世代で関連する因子が異なることがわかった。
結論
高齢者の腰痛には、性別、年齢に加え、生活習慣要因として飲酒、喫煙が、生活習慣病では骨粗鬆症が独立して関連していた。性別でみると、男性では、年齢、喫煙と骨粗鬆症が腰痛有訴率に関連し、女性では、年齢、喫煙、飲酒、骨粗鬆症が有訴率に関連した。

公開日・更新日

公開日
2008-07-30
更新日
-