大腿骨頚部骨折予防技術による施設介護高齢者の転倒恐怖緩和、生活機能及びQOLの維持・向上に関する研究

文献情報

文献番号
200718041A
報告書区分
総括
研究課題名
大腿骨頚部骨折予防技術による施設介護高齢者の転倒恐怖緩和、生活機能及びQOLの維持・向上に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-033
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
原田 敦(国立長寿医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 徳田 治彦(国立長寿医療センター臨床検査部)
  • 長屋 政博(国立長寿医療センター骨関節機能訓練科)
  • 奥泉 宏康(東御市立みまき温泉診療所)
  • 加藤 智香子(名古屋大学医学部保健学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
11,050,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒッププロテクターは、大腿骨頚部骨折予防に関して介護施設高齢者での有効性が認められてはいるものの、いまだ一定の評価が得られていない。本研究では介護施設高齢者において、プロテクターの大腿骨頚部骨折予防の追加検証に加えて転倒恐怖、生活機能、QOLにも有用かを検討した。
研究方法
介護施設高齢者で無作為対照比較試験を実施中で、参加基準は、介助車いす以上の移動能力で1つ以上の大腿骨頚部骨折リスクのある70歳以上女性とした。開始時調査は、病歴・薬歴、転倒・骨折歴、認知能力、ADL、超音波骨評価、血液検査で、開始後は、プロテクター装着状況、転倒と外傷が毎日記録された。重度認知障害のない者には、転倒恐怖、身体活動量、QOLが追跡された。
結果と考察
平成20年2月で57施設612名が登録、施設別無作為化により18施設が硬性プロテクター群、18施設が軟性プロテクター群、21施設がコントロールに割り付けられ、硬性プロテクター群137名、軟性プロテクター群148名、コントロール245名、計530名が今回解析された。年齢は平均86.0才で、骨代謝検査からはビタミンD不足が明らかで、ADL低下による骨形成能低下及び肝・腎・栄養維持機能低下によるPTH分泌亢進を介した骨吸収亢進により急速に骨量減少が引き起こされている可能性が強く示唆され、転倒頻度は、硬性プロテクター群27.0%、軟性プロテクター群27.7%、コントロール群43.1%とプロテクター群で低かった。コンプライアンスは、硬性プロテクター83.8%、軟性プロテクター76.6%であった。大腿骨頚部骨折は、平均213日間に14例起こり、発生率は、硬性プロテクター群1.46%、軟性プロテクター群1.35%で両群合わせると1.40%、コントロール4.08%であった。プロテクター群とコントロールとの差の有意性は境界領域であった、また、骨折全体の発生率はプロテクター群2.46%、コントロール7.34%とプロテクター群で低かった。重度の認知障害がなく6ヶ月追跡ができた44名では、その間に歩数や転倒恐怖、QOLの指標は両群ともに有意変化を示さず、プロテクターの間接効果について明らかなものは見出せなかった。
結論
途中解析結果からはヒッププロテクターは直接効果として骨折予防には有用な傾向があったが、転倒恐怖やQOLなどへの間接効果はみられなかった。

公開日・更新日

公開日
2008-07-30
更新日
-