文献情報
文献番号
200718037A
報告書区分
総括
研究課題名
軽度認知障害の、推定背景病理に基づく、最適認知症進展予防法の開発
課題番号
H18-長寿-一般-028
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
村山 繁雄(財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団、東京都老人総合研究所)
研究分担者(所属機関)
- 有馬 邦正(国立精神・神経センター武蔵病院)
- 石井 賢二(東京都老人総合研究所ポジトロン研究施設附属診療所)
- 松田 博史(埼玉医科大学病院脳核医学)
- 池田 学(熊本大学医学薬学研究部脳機能病態学分野)
- 齊藤 祐子(東京都老人医療センター・剖検病理科)
- 高尾 昌樹(美原記念病院神経内科)
- 小尾 智一(独立行政法人国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
14,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書（概要版）
研究目的
軽度認知障害（MCI）の背景病理を明らかにし、症例ごとの最適介入法を開発する。
研究方法
高齢者ブレインバンクを用いた後方視的研究により、MCIの病理学的背景を検討、アルツハイマー病（AD）、レビー小体型認知症（DLB）以外に、脳血管障害、高齢者タウオパチー（嗜銀顆粒性認知症：DG・神経原線維変化優位型認知症:NFTD）、海馬硬化、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫及びこれらの重複の関与を明らかにした。
結果と考察
背景病理毎の臨床症状の特徴として、AD・NFTDが展望・近時記憶障害を特徴とし、DLBは幻覚妄想・睡眠・嗅覚障害、DGは前頭側頭型認知症の要素が明らかになった。生前MRIと剖検所見の対応で、中脳被蓋面積の減少が進行性核上性麻痺（PSP）/皮質基底核変性症（CBD）群に特徴的で、DLBは正常とPSP/ CBD群の中間にくること、側頭葉内側面前方の左右差を持った萎縮がDGの診断に有用であること、海馬硬化はFLAIR冠状断で高輝度に相応することが明らかになった。FDG- PETと剖検所見の対比で、ADは後部帯状回・頭頂葉の代謝低下、DLBは後頭葉の代謝低下と線条体の代償的上昇、PSPは中脳・前帯状回・前頭弁蓋の代謝低下、DGは側頭葉内側面前方の代謝低下を、Dopamine PETでは、DLBは節前機能の線条体全体の低下と節後機能の代償的増加、PSPでは両者の低下が明らかであった。髄液バイオマーカーと剖検診断との対比で、リン酸化タウがADの早期マーカーとして、HVA, 5HIAAがDLBの診断に有用である結果を得た。
結論
上記結果を背景に参加全施設で、CT、病歴聴取、Mini Mental State Examination（MMSE）と長谷川式簡易認知症スケール改良版（HDSR）を一次スクリーニング、髄液バイオマーカー（タウ、リン酸化タウ、Aβ、HVA、5HIAA）、MRI（VSRAD）、脳血流シンチ（ECD-SPECT eZis v 3.0 SVF）、リバーミィード行動記憶検査（RBMT）を二次スクリーニング、当施設ではFDG-PET、脳アミロイドプローベ（PIB）PET、Dopamine PETを三次スクリーニングとするプロトコールに変更し、推定背景病理ごとの介入を開始した。
公開日・更新日
公開日
2008-07-30
更新日
-