軽度認知機能障害の簡易スクリーニング手法に関する研究

文献情報

文献番号
200718031A
報告書区分
総括
研究課題名
軽度認知機能障害の簡易スクリーニング手法に関する研究
課題番号
H18-長寿-一般-021
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
浦上 克哉(鳥取大学医学部生体制御学)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 仁(鳥取大学総合メディア基盤センター)
  • 谷口美也子(鳥取大学医学部生体制御学)
  • 山崎 學(慈光会病院)
  • 千葉 潜(青南病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年認知症の早期発見、予防介入の重要性が認識され、いろいろな地域で試みられている。しかし、その方法は確立されていない。我々は、タッチパネル式コンピューターを用いる方法で、1次検査は5分以内で行え、感度、特異度が極めて高いもの、2次検査は世界的な治療評価法として確立されているAlzheimer’s disease assessment scale(ADAS)を導入したもの(TDAS)を用いた。本研究では、このシステムを多施設で有用性を確認する。次に軽度認知障害(MCI)に予防介入を行い認知症への予防効果を検証する。
研究方法
青森県五所川原市、平内町、新郷村の3地区、群馬県高崎市、鳥取県琴浦町、福岡県大牟田市で実施した。青森県と群馬県は、一次検査に脳の健康度チェック、タッチパネル式検査を、2次検診はMMSE、TDASを行なった。両方法の有効性を比較した。一次検査は、脳の健康度チェック表で5項目以上、タッチパネル検査で13点以下を2次検査とした。2次検査は、MMSE24点以下、TDAS7点以上を陽性者とした。要精検は専門医療機関へ紹介した。鳥取県琴浦町と福岡県大牟田市はタッチパネル式検査とTDASを行った。ハイリスク者に予防教室への参加を促した。教室は運動や知的活動を促進するもので週1回3ヶ月間行い前後で評価した。
結果と考察
1)青森県:五所川原市は、1次検診受診者94名、2次検診受診者18名、予防教室対象者9名。平内町は1次検診受診者139名、2次検診受診者22名、予防教室対象者16名。新郷村は、1次検診受診者69名、2次検診受診者25名、予防教室対象者16名。精密検査の結果はアルツハイマー型認知症5名、MCI 6名、正常1名。2)群馬県:群馬方式は1次検診受診者116名、2次検診受診者42名、2次検診異常者12名10.3%)。鳥取方式は1次検診受診者124名、2次検診診者41名、2次検診異常者20名(16.1%)。3)鳥取県:1次検診受診者347名、2次検診受診者101名、予防教室参加者44名。予防教室はスクリーニング検査では0.6ポイントの上昇、TDASでは1.2ポイントの改善。4)福岡県:中央公民館と手鎌公民館の検診は、1次検診受診者77名、2次検診受診者19名、予防教室参加者13名(22.9%)。大牟田市文化会館の検診は、1次検診受診者52名、2次検診受診者31名、予防教室参加者19名。認知症予防教室は現在実施中。
結論
タッチパネル式コンピューターを用いた認知症検診システムの有効性を多施設で確認した。さらに、認知症予防教室の効果判定にTDASが高い信頼性を有することが分かった。

公開日・更新日

公開日
2008-07-29
更新日
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