文献情報
文献番号
200718005A
報告書区分
総括
研究課題名
MCIを対象とするアルツハイマー病の早期診断に関する多施設共同研究
課題番号
H17-長寿-一般-023
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 健吾(国立長寿医療センター研究所長寿脳科学研究部)
研究分担者(所属機関)
- 福山秀直(国立大学独立行政法人京都大学医学研究科高次脳機能総合研究センター)
- 千田道雄(財団法人先端医療振興財団・先端医療センター)
- 尾内康臣(県西部浜松医療センター・先端医療技術センター)
- 鷲見幸彦(国立長寿医療センター病院 外来診療部)
- 池田 充(国立大学法人名古屋大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
13,218,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
軽度認知障害(MCI)を対象とした前向きの多施設共同試験により、アルツハイマー病(AD)の早期診断に関するFDG-PETの有用性を中心に科学的根拠の確立を目的としている。
研究方法
登録症例の追跡調査を確実に進め、脱落症例を最小限にするよう努力するともに、登録された症例について、1)神経心理検査等臨床データの解析、2)PET画像の中央読影の実施とPET画像の画像解析、4)MRI画像の画像解析を分担して実施し、登録された症例群の特徴を明らかにした。
結果と考察
1)登録時臨床データの解析
114例のMCI登録症例に対して神経心理検査を中心に解析を行った。男女比は50:64で平均年齢は70.8±7.5歳。各神経心理検査の平均値はWMS-R(即時再生) 8.15±3.46、WMS-R(遅延再生) 3.15±2.95、MMSE 26.3±1.86、ADAS-Jcog 8.89±4.53、GDS 4.30±2.20であった。
2)登録時PET画像の解析
FDG-PET画像の委員会読影での判定では69.9%がADパターンと判定された。
また、MCI登録症例のPET画像を画像統計解析(SPM)を用いて、正常データベースと群間比較を行ったところ、MCI登録症例は群としても初期ADに特徴的な所見を呈するとともにSilvermanの分類毎に特徴的な所見を呈していた。さらに、CDRの結果から分類したsingle domain群(I群:64例)とmultiple domain群(II群:49例)と間で、群間比較を行ったところ、I群と比較して、 II群では、楔前部-後部帯状回、後頭葉、頭頂側頭連合野、右前頭葉で相対的に糖代謝の低下が認められた。
3)登録時MRI画像の解析
VSRADを用いて解析した場合の海馬傍回萎縮の陽性率は69.7%、Z-score平均値は1.82であった。
健忘のみの群に比較し、健忘に加えてその他の症状を伴う群では、海馬傍回以外のより広い範囲の領域でも局所の萎縮が認められた。即時再生スコアと灰白質体積は、前部帯状回、下前頭回で正の相関を示し、遅延再生スコアは楔前部、海馬傍回で正の相関を示した。以上の結果は、遅延再生が海馬傍回機能と密接に関わること、MCIの病態に応じた局所脳萎縮が生じていることを示している。
114例のMCI登録症例に対して神経心理検査を中心に解析を行った。男女比は50:64で平均年齢は70.8±7.5歳。各神経心理検査の平均値はWMS-R(即時再生) 8.15±3.46、WMS-R(遅延再生) 3.15±2.95、MMSE 26.3±1.86、ADAS-Jcog 8.89±4.53、GDS 4.30±2.20であった。
2)登録時PET画像の解析
FDG-PET画像の委員会読影での判定では69.9%がADパターンと判定された。
また、MCI登録症例のPET画像を画像統計解析(SPM)を用いて、正常データベースと群間比較を行ったところ、MCI登録症例は群としても初期ADに特徴的な所見を呈するとともにSilvermanの分類毎に特徴的な所見を呈していた。さらに、CDRの結果から分類したsingle domain群(I群:64例)とmultiple domain群(II群:49例)と間で、群間比較を行ったところ、I群と比較して、 II群では、楔前部-後部帯状回、後頭葉、頭頂側頭連合野、右前頭葉で相対的に糖代謝の低下が認められた。
3)登録時MRI画像の解析
VSRADを用いて解析した場合の海馬傍回萎縮の陽性率は69.7%、Z-score平均値は1.82であった。
健忘のみの群に比較し、健忘に加えてその他の症状を伴う群では、海馬傍回以外のより広い範囲の領域でも局所の萎縮が認められた。即時再生スコアと灰白質体積は、前部帯状回、下前頭回で正の相関を示し、遅延再生スコアは楔前部、海馬傍回で正の相関を示した。以上の結果は、遅延再生が海馬傍回機能と密接に関わること、MCIの病態に応じた局所脳萎縮が生じていることを示している。
結論
確実な追跡調査とともに、登録時PET、MRI、神経心理検査の解析により、多くの新知見が得られた。
公開日・更新日
公開日
2008-04-11
更新日
-