臨床的リンパ節転移陰性胃癌に対するセンチネルリンパ節生検の安全性に関する多施設共同臨床試験

文献情報

文献番号
200717029A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床的リンパ節転移陰性胃癌に対するセンチネルリンパ節生検の安全性に関する多施設共同臨床試験
課題番号
H19-臨床試験-022
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
北川 雄光(慶應義塾大学病院)
研究分担者(所属機関)
  • 久保敦司(慶應義塾大学医学部 放射線科学)
  • 竹内裕也(慶應義塾大学医学部 外科学)
  • 夏越祥次(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 腫瘍制御学・消化器外科)
  • 藤村隆(金沢大学附属病院 胃腸外科)
  • 津田均(防衛医科大学校 病態病理学)
  • 矢永勝彦(東京慈恵会医科大学 外科学講座消化器外科)
  • 坂本純一(名古屋大学大学院 医学研究科社会生命科学講座)
  • 高木融(東京医科大学 外科学第三講座)
  • 宮代勲(大阪府立成人病センター 消化器外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床試験推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,375,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本試験は、多施設共同試験で、胃癌センチネルリンパ節生検の安全性、転移診断としての有用性に
関する認容性試験であり、日本で実施可能な色素、アイソトープ粒子でのセンチネルリンパ節生検
の安全性ならびに転移検出感度を検証する。
研究方法
 画像診断上、明らかな所属リンパ節転移を伴わないcT1, T2胃癌患者を対象に、色素法単独、アイ
ソトープ法単独、あるいは色素+アイソトープ併用でセンチネルリンパ節生検を行う。
その際に使用した色素あるいはアイソトープ粒子の安全性に問題がないことを、有害事象の有無で
評価する。また、データ集積は前向きかつ連続的に行い、センチネルリンパ節の同定率、転移検出
感度を算出する。さらにセンチネルリンパ節を標的とした精査により、通常の病理診断では検出で
きない微小転移が検出される率(up-staging率)を検証する。
結果と考察
青色色素・放射性同位元素標識コロイドを併用した胃癌センチネルリンパ節生検に関して、すでに自施設での臨床研究を当該施設倫理委員会の承認のもとで施行した12施設が集まり、共通のプロトコールを作成して前向きな多施設共同臨床研究を遂行してきた。2008年3月時点で400例をこえる症例登録を完了している。中間解析ではこれまで報告された単施設研究とほぼ同等の成績が得られている。早期胃癌については乳癌やメラノーマと同様、センチネルリンパ節理論がほぼ成立することが示されている。ただし、胃癌センチネルリンパ節生検を早期胃癌の低侵襲・機能温存手術に臨床応用するためには偽陰性による転移リンパ節の遺残を回避することが大きな課題である。これまでの多施設共同研究の結果から術中転移診断の検出感度が問題の一つであることが判明しており、術中センチネルリンパ節検体の適正な取り扱い処理、診断方法の確立が望まれる。
結論
早期胃癌については乳癌やメラノーマと同様、センチネルリンパ節理論がほぼ成立することが示されている。ただし、胃癌センチネルリンパ節生検を早期胃癌の低侵襲・機能温存手術に臨床応用するためには偽陰性による転移リンパ節の遺残を回避することが大きな課題である。

公開日・更新日

公開日
2008-06-25
更新日
-