小児肉腫等に対する治療開発を意図した多施設共同臨床試験に関する研究

文献情報

文献番号
200717001A
報告書区分
総括
研究課題名
小児肉腫等に対する治療開発を意図した多施設共同臨床試験に関する研究
課題番号
H17-小児-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
牧本 敦(国立がんセンター中央病院第二領域外来部小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 森川 康英(慶応義塾大学医学部小児外科)
  • 大喜多 肇(国立成育医療センター研究所発生・分化研究部)
  • 麦島 秀雄(日本大学医学部小児科)
  • 角 美奈子(国立がんセンター中央病院放射線治療部)
  • 小原 明(東邦大学医療センター大森病院小児科)
  • 原 純一(大阪市立総合医療センター小児血液腫瘍科)
  • 横山 良平(国立病院機構九州がんセンター整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床試験推進研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
欧米に比して立ち遅れている我が国の小児がん臨床試験体制を改革し、ヘルシンキ宣言を遵守した臨床試験を行える環境を構築し、その基盤の上に、臨床試験を体系的・効率的に運用、実践し、その有効性・安全性データを基に治療開発を推進する。
研究方法
(1)進行性・転移性横紋筋肉腫に対する自家造血幹細胞救援療法を併用した大量化学療法の第II相試験(JRSG-HR03)
18歳未満で新規発症した高リスク横紋筋肉腫患者を対象として、多剤併用化学療法、手術、局所放射線療法、自家造血幹細胞移植を併用した超大量化学療法を包含する集学的治療法の有効性と安全性を評価。3年間で40例を登録。主要評価項目は3年無増悪生存割合。
(2)限局性ユーイング肉腫ファミリー腫瘍に対する集学的治療法の第II相試験(JESS 04)
30歳未満で新規発症した限局性ユーイング肉腫ファミリー腫瘍の患者を対象として、多剤併用化学療法、手術、局所放射線療法からなる集学的治療法の妥当性をみる。3年間で53例を登録。主要評価項目は3年無増悪生存割合。
(3)小児急性リンパ性白血病に対する寛解導入療法と早期強化療法の有効性・安全性に関する検討試験(TCCSG L04-16)
1歳以上18歳未満の小児急性リンパ性白血病の患者を対象に、寛解導入療法と強化療法の有効性と安全性を厳密に評価。全150例を1.5年で集積し、寛解割合で評価。
結果と考察
「JRSG HR03」は、平成20年3月現在31例を登録した。平成19年10月に予定登録症例の半数である20症例を対象として中間解析を行い、本試験が問題なく遂行されていることが確認され、引き続き症例登録を継続している。「JESS04」は、平成19年3月現在47例を登録した。試験を中止するような重大な問題は起こっていない。「TCCSG-L0416」は、平成18年1月に予定登録症例150例の登録を完了、最終解析を行った。寛解導入率は97%であり、当該レジメンの有効性が世界標準に比肩することが確認された。
結論
進行横紋筋肉腫の第II相試験、ユーイング肉腫に対する第II相試験、および急性リンパ性白血病に対する第II相試験を計画、実行した。前2つの試験はそれぞれ目標症例数の75%, 80%を登録し、現在も進行中である。急性リンパ性白血病の第II相試験は、予定症例数150例を登録終了し、最終解析を終了した。

公開日・更新日

公開日
2008-06-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200717001B
報告書区分
総合
研究課題名
小児肉腫等に対する治療開発を意図した多施設共同臨床試験に関する研究
課題番号
H17-小児-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
牧本 敦(国立がんセンター中央病院第二領域外来部小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 森川 康英(慶応義塾大学医学部 小児外科 )
  • 大喜多 肇(国立成育医療センター研究所 発生・分化研究部)
  • 麦島 秀雄(日本大学医学部 小児科)
  • 角 美奈子(国立がんセンター中央病院 放射線治療部)
  • 小原 明(東邦大学医療センター大森病院 小児科)
  • 原 純一(大阪市立総合医療センター 小児血液腫瘍科 )
  • 横山 良平(国立病院機構九州がんセンター 整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床試験推進研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
欧米に比して立ち遅れている我が国の小児がん臨床試験体制を改革し、ヘルシンキ宣言を遵守した臨床試験を行える環境を構築し、その基盤の上に、臨床試験を体系的・効率的に運用、実践し、その有効性・安全性データを基に治療開発を推進する。
研究方法
小児がん領域の研究者主導臨床試験体制の基盤整備の柱である小児がんデータセンターを国立がんセンター内に設立・運営し、以下の3つの臨床試験を含め、小児がん臨床試験のオペレーションとデータ管理を行った。また、小児がんの治療開発を目的として、手術療法や放射線治療の標準化、および多施設共同臨床試験の効率的運営と実践のために必要な研究を実施した。また、小児悪性腫瘍領域の治療開発を行うための科学性の保証において最も重要である正確な診断を行うための中央病理診断、および、患者由来腫瘍検体を取り扱う検体センターを国立成育医療センター内に整備した。
(1) 進行性・転移性横紋筋肉腫に対する自家造血幹細胞救援療法を併用した大量化学療法の第II相試験
(2) 限局性ユーイング肉腫ファミリー腫瘍に対する集学的治療法の第II相試験
(3) 小児急性リンパ性白血病に対する寛解導入療法と早期強化療法の有効性・安全性に関する検討試験
結果と考察
進行横紋筋肉腫の第II相試験、ユーイング肉腫に対する第II相試験、および急性リンパ性白血病に対する第II相試験を計画、実行した。前2つの試験はそれぞれ目標症例数の75%, 80%を登録し、現在も進行中である。急性リンパ性白血病の第II相試験は、予定症例数150例を登録終了し、最終解析を終了した。稀少かつ多様な疾患群を取り扱う小児領域では、統計学に基づいた臨床試験を通して治療開発を進めるために、正しい臨床試験方法論に基づいた多施設共同臨床試験体制を組織し、それぞれの施設が研究計画書に沿った厳密な手順を踏んで治療を行っていく必要があるが、本研究によってその事実が確認された。
結論
予後不良であった高リスク横紋筋肉腫に対し、有望と考えられる多剤併用・大量化学療法の安全性がある程度確認された。ユーイング肉腫において、手術や放射線治療をコントロールした形で行う集学的治療の有効性が示唆された。急性リンパ性白血病において、これまで日本の40%程度の患者が治療されてきたレジメンの有効性が世界標準に比肩することが確認された。

公開日・更新日

公開日
2008-06-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200717001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
欧米のみならず、国内成人がん領域と比しても著しく遅れていた小児がん領域の臨床試験を根本から考え直し、ヘルシンキ宣言を遵守した世界標準の方法論に則って行う臨床試験の実施を可能ならしめた。小児がんという稀少疾患においては、将来の臨床実践に還元できる質の高いエビデンスを求めるために、症例数を拡大した国際共同治療開発が望ましい方向性であると考えられるが、本研究で確立した基盤に基づけば世界的な水準のデータ管理が可能となり、国際共同臨床試験の実現への大きな第一歩であると考えている。
臨床的観点からの成果
予後不良であった高リスク横紋筋肉腫に対し、有望と考えられる多剤併用・大量化学療法の安全性がある程度確認された。ユーイング肉腫において、手術や放射線治療をコントロールした形で行う集学的治療の有効性が示唆された。急性リンパ性白血病において、これまで日本の40%程度の患者が治療されてきたレジメンの有効性が世界標準に比肩することが確認された。
ガイドライン等の開発
ガイドライン作成は、本研究の本来の目的とは異なるものの、本研究で行った臨床試験のうち、ユーイング肉腫と急性リンパ性白血病を対象としたものは、その治療方針そのものが標準治療と考えられるほど成熟した治療法を採用しており、これを全国多施設に配布して臨床試験を行ったことで、ガイドライン的役割を果たしたと考えられる。
その他行政的観点からの成果
将来的には「臨床的な使用確認試験」や「高度医療評価制度」の枠組みの中で、科学的に確かな臨床試験プロトコールを作成し、質の高いデータ管理システムが確保された基盤の上で、しっかりとした研究者主導型臨床試験を行うことで、新規治療法の保険適応拡大を初めとする薬事・医療行政への貢献が可能となる事が期待される。
その他のインパクト
新聞への掲載:
(1)2005年6月16日 日経産業新聞
(2)2005年8月26日 徳島新聞
(3)2007年12月2日 日本経済新聞
公開シンポジウムの開催:
(1)2007年2月24日「小児がんをみんなで克服するために」(丸の内カフェ)
(2)2008年1月27日「思春期がんを生きる」(虎ノ門パストラル)

発表件数

原著論文(和文)
9件
原著論文(英文等)
64件
その他論文(和文)
60件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
139件
学会発表(国際学会等)
18件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Hosono A, Makimoto A, Hasegawa T, et al.
Utility of immunohistochemical analysis for cyclo-oxygenase 2 in the differential diagnosis of osteoblastoma and osteosarcoma.
J Clin Pathol , 60 (4) , 410-414  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-