小児肉腫等に対する治療開発を意図した多施設共同臨床試験に関する研究

文献情報

文献番号
200715005A
報告書区分
総括
研究課題名
小児肉腫等に対する治療開発を意図した多施設共同臨床試験に関する研究
課題番号
H17-チーム(小児)-若手-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
牧本 敦(国立がんセンター中央病院第二領域外来部小児科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究基盤整備推進研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
9,936,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児がん領域におけるエビデンスに基づく医療(EBM)の推進と治療開発、および抗がん剤併用療法の最適化と医療行政への反映、を目的として、以下の多施設共同臨床試験を支援し、データの品質管理を実践する。
(1)進行性・転移性横紋筋肉腫に対する自家造血幹細胞救援療法を併用した大量化学療法の第II相試験(JRSG-HR03)
(2)限局性ユーイング肉腫ファミリー腫瘍に対する集学的治療法の第II相試験(JESS 04)
(3)小児急性リンパ性白血病に対する寛解導入療法と早期強化療法の有効性・安全性に関する検討試験(TCCSG L04-16)
研究方法
1.臨床試験基盤の構築
国立がんセンター中央病院内に、専任のデータマネージャーを擁する小児がんデータセンターを組織した。データ管理の基礎となる各種手順書を整備した。
2.具体的な臨床試験計画の策定
臨床試験計画における業務内容は、臨床試験計画書の作成支援、症例報告書(CRF)の作成、それに対応した電子データベースの整備、データマネージメント手順・マニュアル・帳票類の整備、キックオフミーティングの開催、など。
3.具体的な臨床試験の運営
症例登録、CRF回収、CRF目視チェックと問い合わせ、データベース入力、ロジカルチェック施行、等の業務を行った。6ヶ月に1回の定期モニタリングを施行して「モニタリングレポート」を発行し、グループ研究会議にてグループに還元した。
結果と考察
「JRS-1 HR03」試験に関しては、平成20年3月現在31例を登録した。平成19年10月に予定登録症例の半数である20症例を対象として中間解析を行い、本試験が問題なく遂行されていることが確認され、引き続き症例登録を継続している。「JESS04」に関しては、平成19年3月現在47例を登録した。試験を中止するような重大な問題は起こっていない。「TCCSG-L0416」に関しては、平成18年1月に予定登録症例150例の登録を完了、最終解析を行った。データ管理の全ての過程(症例登録、データ蓄積、中央モニタリングによる品質管理)において、順調に試験が運営できている。今後、この臨床試験基盤を多分野へ応用する事により、研究者主導の臨床試験の質を高め、かつ、効率的に遂行する事が可能になると考えられる。
結論
倫理性と科学性を確保した小児がん領域の臨床試験の実践を通して、全国参加施設の医師の臨床能力を向上し、かつ、登録患者の質の高いデータの蓄積により、将来の臨床上の意思決定に役立つような治療開発をなし得る基盤を確立した。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200715005B
報告書区分
総合
研究課題名
小児肉腫等に対する治療開発を意図した多施設共同臨床試験に関する研究
課題番号
H17-チーム(小児)-若手-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
牧本 敦(国立がんセンター中央病院第二領域外来部小児科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究基盤整備推進研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、小児がん領域における研究者主導臨床試験を推進するためのプラットフォームである「小児がんデータセンター」の活動を円滑に行うための人材を雇用し、それを通してエビデンスに基づく医療(EBM)の推進と治療開発、および抗がん剤併用療法の最適化と医療行政への反映、を目指す。
研究方法
本研究に直接関連する多施設共同臨床試験は、以下の通り。
(1)進行性・転移性横紋筋肉腫に対する自家造血幹細胞救援療法を併用した大量化学療法の第II相試験(JRSG-HR03)
(2)限局性ユーイング肉腫ファミリー腫瘍に対する集学的治療法の第II相試験(JESS 04)
(3)小児急性リンパ性白血病に対する寛解導入療法と早期強化療法の有効性・安全性に関する検討試験(TCCSG L04-16)
これらの臨床試験を実施するための臨床試験基盤として、専任のデータマネージャーを擁する小児がんデータセンターを組織した。臨床試験計画書の作成支援、症例報告書(CRF)の作成、電子データベースの整備、データマネージメント手順・マニュアル・帳票類の整備を行い、キックオフミーティング後に試験を開始した。その後は、症例登録、CRF回収、CRF目視チェックと問い合わせ、データベース入力、ロジカルチェック、6ヶ月に1回の定期モニタリングを施行した。
結果と考察
「JRS-1 HR03」試験に関しては、平成20年3月現在31例を登録した。平成19年10月に予定登録症例の半数である20症例を対象として中間解析を行った。この結果、本試験が問題なく遂行されていることが確認され、引き続き症例登録を継続している。「JESS04」に関しては、平成19年3月現在47例を登録した。試験を中止するような重大な問題は起こっていない。「TCCSG-L0416」に関しては、平成18年1月に予定登録症例150例の登録を完了し、最終解析を行った。これらデータ管理の全ての過程(症例登録、データ蓄積、中央モニタリングによる品質管理)において、順調に試験が運営できている。今後、この臨床試験基盤を多分野へ応用する事により、研究者主導の臨床試験の質を高め、かつ、効率的に遂行する事が可能になると考えられる。
結論
倫理性と科学性を確保した小児がん領域の臨床試験の実践を通して、全国参加施設の医師の臨床能力を向上し、かつ、登録患者の質の高いデータの蓄積により、将来の臨床上の意思決定に役立つような治療開発をなし得る基盤を確立した。これらの活動を通して、将来この小児がんの研究者主導臨床試験を担う若手医師および研究協力者の育成に貢献できた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200715005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
欧米のみならず、国内成人がん領域と比しても著しく遅れていた小児がん領域の臨床試験を根本から考え直し、ヘルシンキ宣言を遵守した世界標準の方法論に則って行う臨床試験の実施を可能ならしめた。小児がんという稀少疾患においては、将来の臨床実践に還元できる質の高いエビデンスを求めるために、症例数を拡大した国際共同治療開発が望ましい方向性であると考えられるが、本研究で確立した基盤に基づけば世界的な水準のデータ管理が可能となり、国際共同臨床試験の実現への大きな第一歩であると考えている。
臨床的観点からの成果
倫理性と科学性を確保した小児がん領域の臨床試験の実践を通して、全国参加施設の医師の臨床能力を向上し、かつ、登録患者の質の高いデータの蓄積により、将来の臨床上の意思決定に役立つような治療開発をなし得る基盤を確立した。今後、この臨床試験基盤を多分野へ応用する事により、研究者主導の臨床試験の質を高め、かつ、効率的に遂行する事が可能になると考えられる。
ガイドライン等の開発
本研究は基盤整備研究のため、小児がんデータセンターにおける各種業務の手順書やデータベースの作成を通じて、臨床試験方法論のガイドライン的役割をなしたと考えられるものの、臨床医学的なガイドラインを作成した実績はない。
その他行政的観点からの成果
将来的には「臨床的な使用確認試験」や「高度医療評価制度」の枠組みの中で、科学的に確かな臨床試験プロトコールを作成し、質の高いデータ管理システムが確保された基盤の上で、しっかりとした研究者主導型臨床試験を行うことで、新規治療法の保険適応拡大を初めとする薬事・医療行政への貢献が可能となる事が期待される。
その他のインパクト
新聞への掲載:
(1)2005年6月16日 日経産業新聞
(2)2005年8月26日 徳島新聞
(3)2007年12月2日 日本経済新聞
公開シンポジウムの開催:
(1)2007年2月24日「小児がんをみんなで克服するために」(丸の内カフェ)
(2)2008年1月27日「思春期がんを生きる」(虎ノ門パストラル)

発表件数

原著論文(和文)
9件
臨床試験推進研究「小児肉腫等に対する治療開発を意図した多施設共同臨床試験に関する研究(H17-小児(一般)-001)と共通
原著論文(英文等)
64件
同上
その他論文(和文)
60件
同上
その他論文(英文等)
0件
同上
学会発表(国内学会)
139件
同上
学会発表(国際学会等)
18件
同上
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件
臨床試験推進研究「小児肉腫等に対する治療開発を意図した多施設共同臨床試験に関する研究(H17-小児(一般)-001)と共通

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Hosono A, Makimoto A, Hasegawa T, et al.
Utility of immunohistochemical analysis for cyclo-oxygenase 2 in the differential diagnosis of osteoblastoma and osteosarcoma.
J Clin Pathol , 60 (4) , 410-414  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-