人間・機械・情報系の融合複合新技術サイバニクスを駆使したロボットスーツHALの開発

文献情報

文献番号
200713008A
報告書区分
総括
研究課題名
人間・機械・情報系の融合複合新技術サイバニクスを駆使したロボットスーツHALの開発
課題番号
H17-フィジ-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山海 嘉之(筑波大学 大学院システム情報工学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 泰久(筑波大学 大学院システム情報工学研究科)
  • 居村 茂幸(茨城県立医療大学 保険医療学部理学療法学科)
  • 中島 孝(国立病院機構新潟病院 脳神経内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(身体機能解析・補助・代替機器開発研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
46,320,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
当該研究では、人間・機械・情報系を融合複合した新しい学術サイバニクス技術を駆使して臨床レベルの活用を視野に入れ、運動機能を拡張・増幅・補助することができるロボットスーツHALを開発させ、これを実用化することを目的とする。
研究方法
1)ロボットスーツHALの開発
これまで開発されたHALの改善点を基に、ロボットスーツの開発を行う。また、HALを2体活用し、双方向に運動情報を通信し相手の動きを共有するインタラクティブなシステムを構築する。

2)歩行訓練のための運動意思推定に関する研究
装着者の歩行中の運動意思を捉えるための意思推定手法を開発し、装着者の運動意思に応じた歩行訓練を試行するための研究を行う。

3)適用および評価
下肢に完全麻痺を有する方に適用し、動作訓練を試行するための研究を行う。また、新たな評価手法として生理学的エネルギーと視線に着目した評価手法開発する。

結果と考察
1)HALの開発
小型軽量化を行うと共に、膝折れ防止機構、ハーネスを用いた装着手法を開発した。インタラクティブシステムとしてマスタースレーブ型HALシステムを構成し、相手の動きを共有することが可能なシステムを構築した。

2)歩行訓練のための動作意思推定に関する研究
本研究より、HALに搭載されたセンサシステムで意思の推定が可能となり、推定アルゴリズムの実装も比較的容易なもとなった。重度の障害を有する方をHALの装着者として想定した場合でも、装着者が脚の振り出しを自力で行えるか行えないかに関わらず、歩行のイメージを持って重心の移動を実施することによって、装着者の意思に合わせてHALからの支援を受けることが可能となった。

3)適用および評価
下半身完全麻痺を有する方に協力していただき、実証試験を実施し、動作意思に基づいた歩行が行われた。また、新たな評価手法として呼吸代謝計測装置と視線追尾システムを導入した。

結論
本研究では 当該目的を実施するためのHALの開発を行った。HALによる歩行訓練のための動作意思推定手法として、主に人間の歩行動作中の体重移動から運動意思を抽出する手法を開発した。本手法の有用性を確認するため、下半身完全麻痺を有する方で実証試験を行った。その結果、装着者自らの動作意思に基づいて歩行動作支援手法を構築し、歩行訓練に向けた良好な結果を得ることができた。また、HAL による支援効果を評価するための手法として新たに生理学的エネルギーと視線に着目した評価手法開発し、基礎実験で本手法の有効性を確認した。

公開日・更新日

公開日
2008-06-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200713008B
報告書区分
総合
研究課題名
人間・機械・情報系の融合複合新技術サイバニクスを駆使したロボットスーツHALの開発
課題番号
H17-フィジ-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山海 嘉之(筑波大学 大学院システム情報工学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 泰久(筑波大学 大学院システム情報工学研究科)
  • 居村 茂幸(茨城県立医療大学 保健医学部・大学院保健医療科学研究科)
  • 中島 孝(独立行政法人国立病院機構新潟病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(身体機能解析・補助・代替機器開発研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
当該研究では、人間・機械・情報系を融合複合した新しい学術サイバニクス技術を駆使して臨床レベルの活用を視野に入れ、運動機能を拡張・増幅・補助することができるロボットスーツHALを開発し、これを実用化することを目的とする。
研究方法
人間の運動特性に適した歩行訓練を実施するため、健常者歩行の関節角度軌道 に、HAL装着者の関節角度を追従させる軌道追従制御手法、及び装着者の歩行中の運動意思を捉えるための意思推定手法を開発する。
結果と考察
運動機能に障害を有する方々に適用し、動作訓練を試行するための研究を行う。 また、新たな評価手法として生理学的エネルギーと視線に着目した評価手法を開発する。

1)HALの開発
小型軽量化を行い、調整機構を開発することにより、装着性、運用性が高いHALシステムとなった。また、インタラクティブシステムとしてマスタースレーブ型HALシステムを構成し、相手の動きを共有することが可能なシステムを構築した。

2)歩行訓練のための動作生成に関する研究:
軌道追従制御により健常者の歩行動作を抽出し、その歩行動作に追従させることが可能となった。意思推定手法では、HALに搭載されたセンサシステムで意思の推定が可能となり、目標パターンに随時修正を加えながら、装着者自らの動作意思に基づいて歩行動作支援手法を構築した。

3)適用および評価:
筋ジストロフィーや脊椎損傷を有する方々に協力していただき、動作試験を試行した。また、新たな評価手法として呼吸代謝や視線追尾システムを導入した。
結論
<結論>
本研究では 当該目的を実施するためのHALの開発を行った。本システムを運動機能に障害を有する方に適用し実証試験を行った結果、歩行訓練活用への有用性を確認することができた。さらに、HALによる支援効果を評価するための手法として新たに生理学的エネルギーと視線に着目した評価手法を開発した。 今後は、当該プロジェクトの研究成果により開拓されたHALを多くの利用希望者への適用を医療従事者と共同で推進し、在宅での遠隔運動訓練など真に社会に貢献できる実用化研究開発へ展開する予定である。

公開日・更新日

公開日
2008-06-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200713008C

成果

専門的・学術的観点からの成果
サイバニクス技術(人間・機械・情報系の融合複合新技術)を駆使しすることにより、人間と機械が一体となり人間の身体機能を補助・拡張・強化するロボットスーツHALを開発することを目的としている。ロボットスーツHALの小型軽量化を実施することにより、装着性、運用性が高いHALシステムを構築することができた。世界で初めてHALを2体活用し、双方向に運動情報を通信するマスタースレーブ型HALシステムを構成することで、動作の教示や共有を行うことができるインタラクティブシステムを提案・構築することができた。
臨床的観点からの成果
HALによる歩行訓練手法として、健常者の歩行動作に追従させる軌道追従制御、HALのセンサシステムで装着者の運動意思を推定し、装着者の意思に基づいた歩行動作を実施する意思推定手法を開発した。本手法を脊椎損傷により下肢麻痺を有する方に協力していただき、実証試験を実施した結果、装着者の動作意思に基づき、健常者に近い歩行動作による動作支援が行われ、本手法の有用性を確認することができた。ポリオ患者に対して、膝の屈伸動作であるが、動作支援を実施し、本手法により運動意思に応じた屈伸動作を行うことができた。
ガイドライン等の開発
第3者組織として、医学、脳科学、社会科学、倫理学、哲学、法学、安全工学等の専門家で構成される「サイバニクス臨床研究推進のための倫理検討委員会」を設立(平成19年9月1日、メンバー約30名)し、定期的に委員会を開催した。サイバニクス技術の適用に関するガイドライン開発を目的とし、サイバニクス技術の適用に関して諸問題の検討を行ってきた。当該委員会では、専門家で構成されるメーリングリストやwebサイトを準備し、ロボットスーツに関する被験者の選定、実証試験に伴うコメントを得る体制を構築することができた。
その他行政的観点からの成果
総合科学技術本会議にて、我が国の今後の重点研究開発領域として、柘植議員よりロボットスーツHALについて説明・デモが行われ、当該分野の重要性が示されることになり、今後、当該関連分野の開拓を強化することが閣議決定された。(会議名:総合科学技術本会議、場所:首相官邸、年月日:2006年5月23日)
その他のインパクト
テレビ放映:21件
ラジオ放送:4件
新聞・雑誌掲載:145件
国際シンポジウム、招待講演/特別講演(平成17年~平成19年)67件

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
7件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
16件
学会発表(国内学会)
71件
学会発表(国際学会等)
41件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計10件
その他成果(特許の取得)
0件
サイバニクスの人支援技術への応用について、自立動作を支援するロボットスーツHALの応用・改良技術および新規用途への展開、高齢者の見守り支援、生体情報の計測技術について特許出願を行った。
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
32件
平成17年13件(国際ロボット展 展示/デモ(平成17年11月30日-12月3日)、他)平成18年度5件(こども未来博 デモ(平成18年8月5日?20日)、他)平成19年14件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Suzuki K., Mito G., Kawamoto H., Hasegawa Y., Sankai Y
Intention-Based Walking Support for Paraplegia Patients with Robot Suit HAL
Advanced Robotics , 21 (12) , 1441-1469  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-