非侵襲的生体膵島イメージングによる糖尿病の超早期診断法の開発

文献情報

文献番号
200712043A
報告書区分
総括
研究課題名
非侵襲的生体膵島イメージングによる糖尿病の超早期診断法の開発
課題番号
H19-ナノ-一般-017
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
稲垣 暢也(京都大学医学研究科糖尿病・栄養内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 豊田 健太郎(京都大学医学研究科糖尿病・栄養内科学)
  • 興津 輝(京都大学医学部附属病院臓器移植医療部)
  • 佐治 英郎(京都大学薬学研究科病態機能分析学分野)
  • 天滿 敬(京都大学薬学研究科病態機能分析学分野)
  • 河嶋 秀和(京都大学医学研究科放射線診断学・放射性医薬品学)
  • 上田 真史(京都大学医学研究科放射線医薬品学)
  • 松田 哲也(京都大学情報学研究科医用工学)
  • 富樫 かおり(京都大学医学研究科放射線診断学)
  • 斉藤 美佳子(東京農工大学共生科学技術研究院生命機能科学部門)
  • 平尾 佳(アークレイ株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
糖尿病の発症過程では、膵島量が耐糖能異常に先行して減少する。この知見に基づき、本研究では糖尿病の超早期診断を目的とした、生体内の膵島量を測定する非侵襲的画像診断技術の開発を目標とする。非侵襲的に膵島量を定量できれば、糖尿病発症以前の超早期に介入できるため、効果的な糖尿病発症予防が可能となる。
研究方法
生体内に存在する直径50-500mmの細胞塊である膵島組織を定量化するためには、膵島特異的に集積し、撮影機器が有する空間分解能と時間分解能にて識別可能な周囲組織とのコントラストを発生させるプローブが必要であるため、以下の手順で研究を進める。1)膵ベータ細胞特異的な機能蛋白のリガンドや基質、抗体などを標的とする分子の探索、2)各分子に応じた分子プローブの設計、作製、3)基礎評価、4)定量性などプローブとしての評価、画像撮像条件検討、5)最終的にモデル動物を用いた評価を行う。
結果と考察
平成19年度にまず、膵島特異的な標的分子の検索を行い、1)グルコース輸送担体(GLUT2)、2)KATPチャネル、3)小胞モノアミントランスポーター(VMAT2)、4)Gタンパク共役受容体、5)ペプチド受容体の5項目を選択した。それぞれについて、プローブの結合性や体内動態の制御を考慮して、プローブの設計を行った。平成19年度内に一部については作製を開始した。そのうち、ペプチドAの受容体のリガンドBについて、放射性ヨウ素標識体を用いてマウスにおける臓器特異性、膵ベータ細胞特異性に関する実験を行った。その結果、リガンドBの標識体は、膵臓への集積性が良好であり、かつ膵ベータ細胞への集積性も高いことが判明した。その他のプローブ候補についても、作製が完了したものから同様の検討を開始している。
超早期診断を可能とする定量性の高いプローブの開発が求められているため、さらにプローブの基礎評価とプローブの有効性評価と画像撮像検討を十分に行う必要がある。
結論
初期検討で良好な結果が得られたペプチドAの受容体を標的とするリガンドBをはじめとして、その他のプローブ候補分子についても、速やかに有効性の評価を進める。その上で、超早期診断という臨床応用を視野に入れ、モデル動物を用いた検討を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2008-06-05
更新日
-