がんを安全・高感度で鮮明に画像化できるナノサイズシュガーボールデンドリマー型新規MRI造影剤の開発研究

文献情報

文献番号
200712041A
報告書区分
総括
研究課題名
がんを安全・高感度で鮮明に画像化できるナノサイズシュガーボールデンドリマー型新規MRI造影剤の開発研究
課題番号
H19-ナノ-一般-015
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山下 光司(静岡大学 創造科学技術大学院)
研究分担者(所属機関)
  • 阪原 晴海(浜松医科大学 医学部 放射線医学)
  • 竹原 康雄(浜松医科大学 医学部 放射線医学)
  • 藤江 三千男(浜松医科大学 機器センター 構造解析)
  • 掛澤 俊英(静岡県工業技術研究所 浜松工業技術支援センター 機械材料科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
33,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究の目的は、血管造影機能、臓器選択性、がん組織造影機能を備えた新規なMRI造影剤の開発であり、特にがんの超早期発見を可能に出来る造影剤の実用化研究である。このがん組織を超早期に画像化可能とする技術は、死因の第1原因であるがんの早期発見・早期治療や患者のQOLの観点から社会的のみならず、医学・工学的に非常に必要とされている技術である。本研究課題では、一般表示式Gd-DTPA-DEN-Sugarで示され糖による生体内分子認識能力を利用した、がん病変部を認識して鮮明に画像化できるナノ分子サイズの糖デンドリマー型MRI造影剤の実用化がゴールである。
研究方法
1.研究課題(がんを容易に画像化するMRIの開発)をスタート、2.原料の合成(原料のパーツの合成)、3.原料のパーツの結合(Divergent法・Convergent法)、4.合成したMRI造影剤の構造、5.in vitro 及びin vivo 評価(非臨床試験)、6.構造・活性相関、7.生体内分子認識・メカニズム解析、8.安全性(非臨床試験)評価、9.規格及び試験方法、10.臨床試験、11.研究の目的の達成(ゴール)平成19年度に実施した項目は1.から8.であり、各項目の進捗度は70から90%であった。
結果と考察
「青島サンプル」Gd-DTPA-DETA-D2-4Glc(OH)の誘導体が、肝細胞がんの描出にベストの結果を与えた。サンプルの別途合成により、「小川サンプル」Gd-DTPA-DETA-D2-4Glc(OH)を調製したが、「青島サンプル」の造影効果には及ばなかったがin vivo評価に於いて、低濃度でもがん化ラットの1 mm程度の小さながんの描出に成功し、がんの早期発見に十分な描出能力を示した。更に優れたMRI画像を描出できる最適化された一般式Gd-DTPA-DEN-Sugarを極める課題が残った。
結論
1.「青島サンプル」は、今までに調製されたGd-DTPA-DEN-Sugar糖構造のデンドリマー型の新規な造影剤としては、最高の血管描出能および肝細胞がん描出能を備えている。2.「小川サンプル」は糖に保護基の導入なしに、短経路により高収率で化学合成され鮮明なMRI画像を描出した。この造影剤の構造はGd-DTPA-DETA-D2-4Glc(OH)である。3.「青島サンプル」を改良する研究(特許等の関係で本報告書では記述できない)、非常に有効な情報が得られた。4.Gd-DTPA誘導体錯体により平成19年度までの開発研究によって、1mm程度の小さな肝細胞がんが、低濃度でも描出された。5.サンプルA・Bは、急性毒性試験で問題はなかった。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
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